【F学園】いまでも夢に見る、納得できない謝罪強要

千葉の私立学校で常勤講師として働いていた20代の若手教員が、私学教員ユニオンに加入をし、労働環境改善のために、団体交渉を申し入れました。

保護者へ一方的に謝罪するように命じる等のパワハラや、タイムカードがない状況下での残業代・休日出勤手当の不払いなどがありました。

泣き寝入りをせず、戦っていきたいと思います。

♦きっかけは下級生をベンチ入りさせなかったこと

教員2年目に着任したF学園では、女子バレー部の顧問となりました。バレー部全体は5人の顧問がおり、私は非常勤で体育科のT教諭と女子バレー部をみることになりました。

バレー経験はありません。しかし非常勤のT教諭は週2回の来校なので、他の日は私が担当をしました。

ルールブックにかじりつき、一から覚える日々でした。2018年、新チームでのはじめての大会、メンバーが多く集まったため選抜しなくてはいけなくなりました。体育科でバレーが専門のT教諭が大きな裁量を持った上で、相談して決めました。

メンバー発表は私が行いました。一年生が数名、ユニフォームが着れない(ベンチ入りできない)ことになりました。その中には経験者も居ましたが技術面、態度面等を考慮して外すことになりました。

すると一人の生徒が「自分だけユニフォームが着れないのは恥ずかしい」「中学の友達も大会で会うのに」と言い始めました。彼女は経験者であったため、他のポジションも打診をしましたが断りました。競争率の高いポジションにいたため、総合的に判断をしてメンバーを外しましたが不満をもったようでした。

♦荒れた保護者と過呼吸

大会当日。彼女は2日間ある大会のうち、2日目を欠席し、その後部活動に現れることがありませんでした。後日、保護者から激しい口調で私を責め立てる電話が入りました。「あなたのせいで娘は部活動に行けなくなった」「部活と勉強の両立ができなくなったのはあなたのせいだ」と執拗に責められました。

来校をした時も必要以上に責められました。しかし、同じ顧問でもある管理職のK氏は、「あなたが悪い」と言うばかりでした。

保護者はエスカレートし、クラス担任との面談でも私への怒りを何度も呈しました。私をかばう教員はいませんでした。謝れと言われましたが謝りたくはありませんでした。生徒のためにならないと考えたからです。体調がだんだん悪くなり過呼吸を起こすことが多くなりました。

保護者の要求の中には「他の生徒の前で、あなたのせいでうちの子が部活を辞めることになったと言え」というものもありました。彼女の問題なのになぜ私が謝るのかと疑問に思いました。

♦渡された謝罪台本

ヒートアップする保護者はいわゆるモンスターペアレントの域でした。謝れないという私にK氏が「校長先生が謝れと言っていたから」と謝罪の会を一方的に設定しました。

謝りたくないという私に、K氏は謝罪台本を渡し、明日までに覚えてくるようにと述べました。私自身は「謝ることではない、間違った指導はしていない、レギュラーには入れることができなかった、体育のT教諭と相談して決めたことだ」と主張するもK氏から「教員は我慢が仕事だから、謝るべきだ。こんなお怒りになっているのはあなたの責任だ。」と執拗に責められました。

台本には「私の経験の浅さと、指導力不足により不快な思いをさせて申し訳ございません。」という文言がありました。悲しくて、悔しかったです。

♦「謝罪の会」を開かれて

その後、「謝罪の会」が開かれました。生徒と保護者、そしてK教諭、男性顧問、私の5人が出席しました。
冒頭よりK教諭が「●●から謝罪があります」と促され「立って話しなさい」と言われて、立ち上がり覚えてきた文言を読みました。涙が出ました。呼吸が苦しくなりました。

泣きながら謝る私を満足げに見ていた親子がいました。私の謝罪でことは円満に終わったかの体裁を整えられました。その後、生徒は、部活を即日退部しました。

♦いまでも夢にみます

あの時の「謝罪の会」のこと、いまでも夢にみます。冷たい部屋で泣きじゃくりながら、保護者と生徒の前で覚えてきた台本を読んだこと、忘れられません。

退職日にK氏から「●●先生には辛い思いをさせてしまい、本当に申し訳なく思っています。ごめんなさい。」という手紙をもらいました。そんなものでは私の心の傷は癒えません。

♦年6万円で週6出勤を命じられる

問題はそれだけではありません。入職前に、教科主任のA氏より「土曜講座を持ってくれないか」と電話で打診がありました。採用時に出勤日は週5日と言われていました。土日がしっかり休めると聞いて、この学校へ勤務を決めたので驚きました。

「土曜は皆出るのですか。」と尋ねると「出る。出るが講座を持つとプラスアルファでお金が出るから悪い話ではないのではないか」と言われました。他のみんなも出るのなら、と打診を受けました。そうでなくても新入社員には断るという選択肢はなかったのです。

蓋を開けてみると土曜日は一律の出勤日ではありませんでした。私の担当している教科は若手の3人だけが講座を持っていました。月額は5千円のみ。選抜クラスの、難易度の高い教材研究をして授業も毎週2コマあったのに、5千円。年6万で土曜日は強制出勤になり、騙されたと思いました。

非常勤講師の給与は1コマ3600円。非常勤を配置するより常勤を月5000円、たった年6万円で講座を持たせたほうがお得だったのでしょう。
私を含め比較的若い国語英語数学の教員数名が、たった6万で難易度の高い授業を持たされていました。

タイムカードもなく、残業代も払われませんでした。

♦「担当者不在」といわれて

退職したのち、払われていなかった分の休日出勤名目で入ってきたお金はたった3万円ほど。これに対し疑問を持ち、事務の給与担当に連絡するも「担当者不在」「折り返す」と言われ、その後音信不通になりました。

♦教員を大事にしない学校は、生徒のためになるのか

私が謝罪をした時の満足げな生徒、保護者の顔を忘れられません。K氏は「生徒がこれでスッキリ次に進めたらそれでいいじゃないか」と言いましたが、果たしてそうでしょうか。本当にその生徒のためになったのでしょうか。

理屈が立たないことを、立場を利用しねじ伏せて、謝らせたこと。自分の思い通りにことがすすんだことは本当の意味で、ためになったのでしょうか。下っ端の教諭を切り、体裁だけを整えた指導をしたこの学校は「生徒のため」になるのでしょうか。

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