ケアマネジャーを過重労働やハラスメントで休職に追い込んだ八王子市「やまびこケアセンター」の責任を問う!〜団体交渉編
東京都八王子市の居宅介護支援事業所(以下“居宅”)「やまびこケアセンター」
で働いていたケアマネジャーのAさんは、休日の電話対応など連日の超過勤務と職場でのハラスメントで心身ともに疲弊し、適応障害と診断されて休職。その後退職に至りました。
Aさんが総合サポートユニオンに加入した経緯については前回のnoteをご覧ください。
本記事では、第一回団体交渉の内容をご報告しますので、ぜひご覧ください。長時間労働、残業代不払い、パワハラなどの問題について、私たちは改善を求めていますが、会社は不誠実な対応を繰り返しています。
【団体交渉に先立つ会社側との交渉〜こんな回答でほんとにいいんですか…?】
8月28日、会社との第一回団体交渉が行われました。
以下1〜7が団体交渉に先立ちユニオン側が要求したことと会社側の書面回答の内容です。
1.長時間労働の事実を認めてください。
→長時間労働を(会社側からAさんに)求めていないし、認めていない。
2.利用者対応で休憩が取得できていなかった事実を認めてください。
→休憩を取るよう指示している。
3.未払い賃金を支払ってください。
(1)過去3年分の支払いを求めます。休日も社用携帯で利用者対応していたことから、24時間対応していた前提で支払いを求めます。
→ない。
(2)今年度から東京都がケアマネジャーに支給する毎月2万円(※後に月1万円と判明したため訂正して要求)の支援額を支払ってください。
→東京都へ補助金は申請していないため、支払わない。
(3)規定にあるインセンティブを支払ってください。
→退職日に精算して支払う。
4.パワハラ
(1)以下のパワーハラスメントについて調査し認めてください。
①〜⑤(パワハラがあった5項目をそれぞれ列挙し、回答を求めた。その内容は省略)
→パワハラはない。
(2)上記パワハラについて把握していたにもかかわらず対応しなかった理由をお答えください。また、謝罪・賠償・再発防止してください。
→パワハラの事実がないので対応できない。
(3)仕事用に購入せざるを得なかった自転車の購入代金を支払ってください。
→指示していない。把握していない。後日知った。
(4)Aさんが会社に貸与したファンヒーター2台が未だに返却されていませんので返してください。
→借りた認識はない。Aさんが不要となったものを持ってきた。ただし、お返しするので返却先を連絡いただきたい。
怒るより先に困惑しました。私たち総合サポートユニオンと、そのケアワーカー支部である介護保育ユニオンではこれまで様々な案件に対応してきましたが、これほど内容の乏しい回答はそうそうありません。
労働組合との交渉では、必要な資料などを提示して理由を丁寧に説明するなど、組合側に理解を求める姿勢が会社側には義務づけられています。これではお話にならないので、私たちは団体交渉で明確な説明を求めることとしました。
【団体交渉開始、しかし…】
当日は、予定の2時間を大幅に超える交渉となりましたが、
とにかく、会社には話が通じませんでした。会社側は運営基準や労働法をちゃんと理解しているのだろうか?と困惑する場面が多々ありました。
例えば、法的に義務付けられたハラスメントの相談窓口が車内にあるのかを尋ねたところ、回答が二転三転した挙句に「10年前にハラスメント委員会を設置している」と会社側は発言しました。
パワハラ防止法は中小企業へ2022年4月から適用されましたが、それもない時代に先取りする気概があったのならば、こんな事態になっていないでしょう。
なお、後日受け取った会社側からの回答書には「安全衛生委員会」についての説明が縷々記されていました。しかし、私たちが尋ねているのは「ハラスメント委員会」の話であり、そこも噛み合いませんでした。
一方で勝ち取ったものもありました。東京都のケアマネージャーに対する支援金の件は、在籍期間分支給させています。また、申し入れ時に労働組合への嫌悪感をあらわにしていた社長からは、今後は誠実に交渉に臨む旨表明がありました。まだ局地的な勝利ではありますが、大きな一歩です。
【次回団体交渉に向けて】
介護職の人手不足は低賃金だけに起因するものではありません。これは前回のnoteでもご説明した通りです。
利益を最優先しケアワーカーの尊厳を顧みない企業運営は、働く私たちのモチベーションやロイヤリティを大きく低下させてきました。私たち総合サポートユニオン、介護保育ユニオンはこのような流れに真っ向から立ち向かいます。
2回目の団体交渉も先月行われましたので、その内容も近日中にアップします。
一人でも多くのケアワーカーの方々、職場でのハラスメントに苦しんでいる方々からのご支援、ご賛同をよろしくお願い申し上げます。
◾️「介護保育ユニオンとは」
労働者が一名から誰でも加入できる個人加盟制労働組合である総合サポートユニオンでは、これまでにも様々な産業のブラック企業と対峙して交渉し、労働者の権利を勝ち取ってきました。私たち介護保育ユニオンは、その総合サポートユニオンの介護・保育支部として活動しており、様々な企業で働く介護職員や保育士がケア労働者として相互に支援を行っています。
ハラスメントや賃金未払いなどの被害にあっている、事業所の不正が改善されない、などの問題を抱えている介護•保育従事者の皆さん、一人で悩まずにまずは私たちにご相談ください。
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