使いたいのに使えない国の助成金制度~株式会社サイゼリヤの場合~

現在、労働組合に加入して、サイゼリヤに対し「国の助成金を利用してほしい」と団体交渉の申し入れを行っていますが、その経緯などを書いていきたいと思います。

私はこれまで、労働組合がどういうものが、どんな事をしているのかも全く知らず、なんなら私には縁のないものだとさえ思っていました。

なぜ私がこんな行動を起こしたか・・・

それはきっと守るべき者があるから、だと思います。

子供がいなければ、きっとこんなこと面倒だし諦めていたと思います。

私は千葉県に住む35歳。高校も中退、正社員で働いたことがあるのはもう10年以上前の約2年間。

特に資格を持っている訳でもなく、特別な技能があるわけでもない、ごく普通の主婦。夫ともうすぐ4歳になる息子と3人で暮らしていて息子は満3歳から入園できる幼稚園に通い、私はサイゼリヤでパート勤務をしています。

私のお給料で、息子の習い事や幼稚園の費用、毎月の食費を賄っているのですが、新型コロナウイルス感染拡大防止に伴い、息子が通う幼稚園は、令和2年3月4日から休園になってしまいました。

息子の面倒を見なくてはならなくなり、サイゼリヤにも行けなくなってしまいました。

そんな時ニュースで、小学校休業等対応助成金とゆうものがあるのを知りました。

これは、コロナウイルス感染拡大防止策として小学校や幼稚園などが臨時休校し、子供の面倒を見るために仕事を休まなければいけなくなってしまった保護者等が対象となる助成金です。

国がこのような制度を作ってくれたので、私は是非とも利用したいと思いました。でも、3月前半のこの時は、まだ制度の内容がハッキリ明確になっていませんでした。

そして、同時期にサイゼリヤからこのようなアンケートがありました。

「休業による補償(助成金)」について、会社として効果的に活用したいため下記①~④について、社員がクルーからの意見を集めてコメントで報告ください
①使いたい人数②使いたい理由③使いたくない人数④使いたくない理由
期限3月7日(土)まで
~休業による補償(助成金)について~
・制度対象期間
 令和2年2月27日~3月31日の間に取得した休暇
・制度利用者該当者
①新型コロナウイルス感染拡大防止策として、臨時休業した小学校等に通う子
②風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある、小学校等に通う子をもつ従業員の方
・支給金額
 対象日1日あたり2,000円(一律)
・申請できる日数
 自身の勤務計画日数に対して、実際に働いた日数を除いた日にち
・本人から申請→OSPもしくは所属店舗社員が確認→総務にFAX送信

これを見て、率直な私の気持ちは・・・使いたくない人なんているの?

まぁいたとしても、私は使いたい!!!生活ができなくなる!!

でもこの一律2,000円てなんだろう?

確か国の助成金は8,330円上限だった気がするんだけど・・・

まだ制度がハッキリしてないからかな?

と、疑問を感じました。

その際に社員の方に聞いてみても、国の方策も二転三転しているから、まだ確定の話ではない、とのことでした。

数日後、職場の近くへ行く予定があったので、お店に寄ってみると店長がいました。私が疑問に思っていたことを本社に確認してくれたようで、その時に店長からこう言われました。

「この制度はサイゼ独自のもので、国の制度は使わない」

なんで使ってもらえないのか聞くと、国の制度を利用すれば、使いたい人が多くお店が営業できなくなるから、と言われました。

店長に言っても無駄なことは分かっていたので、店長にはあまり言っていませんが、その時はかなり腹が立ったのを覚えています。

お店が営業できなくなるからって・・・。

従業員の心配じゃなく、店の心配かとガッカリしました。

それから私は、自分なりに調べ始めました。自分はこの制度の対象者であるのか、厚労省に問い合わせたりもしました。そして、私と同じように困っている人がいるのではとSNSなどでも検索しました。

しかし、SNSでは見つけられず、このまま諦めて泣き寝入りするしかないのか・・・と思っていた時に、ネットである記事を見つけました。

コロナ休業は「使いやすい」のに「使われない」

この記事を読み、そこに記載されていた無料労働相談窓口NPO法人POSSEに相談してみることにしました。たしか3月19日だったと思います。

コロナの影響で幼稚園が休園になり、働きたくても働くことができず、助成金を利用してもらえるように会社に相談したものの、会社が制度を利用してくれず困っていることを伝えました。

すると、個人が何かを会社に訴えたところで、直属の上司に言うことくらいしかできず上の方に声を届けるのはなかなか難しい。でも、組合に加入し組合から会社に直接交渉を申し込む事で解決できると思うと教えてくれました。

同日、サイゼリヤからはこのような通達を受け取りました。

『新型コロナウイルス特別休暇の利用について』
日々の新型コロナウイルス対策に対応頂きありがとうございます。当社は独自に『新型コロナウイルス特別休暇』の制度を特設しましたのでお知らせ致します
《対象者》
本制度の利用は、3月4日通達の休業補償に関するコメントで
「利用したい」と希望された方
①新型コロナウイルス感染拡大防止策として臨時休校した小学校等に通う子を持つ従業員の方
②風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある小学校等に通う子を持つ従業員の方
※「小学校等」とは:小学校、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園、特別支援学校(は高校まで)等
《適用期間》
・令和2年3月11日(水)~3月31日(火)
《対象日》
・発表された勤務予定表について、上記①②の事由により、特別休暇を利用する日
《支給額》
・一律2,000円
《申請手順》
中略させていただきます
《申請書提出期限》
・3月31日(火)まで

これを受け取ったとき、あれ?国の助成金じゃなくサイゼ独自?

この前のアンケートってやつも国のじゃなく、サイゼ独自のものだったの?

と驚きを隠せませんでした。

店長に確認したところ、やはりこれは国の助成金制度ではなく、サイゼ独自のもので、国の助成金は使わないと本社から言われたそうです。

また、こんな状況でもなんとかして勤務してくれている人もいるのに、働かなくても働いたであろう金額を助成されるのは不平等になるからとも言っていたそうです。

まるで、働かずに助成金を使いたいと言っている方が悪いかのように・・・。

もう、コロナの一件で、どんどんサイゼリヤの印象が悪くなっていきました

そして、ちゃんと会社に自分の口で伝えたい!!!そう強く思うようになりました。

その後、組合の方と直接お会いし、話を聞いてもらい、今後についてわかりやすく説明していただき、帰宅後、夫と相談したうえ、加入を決心することとなりました。

それから数日で、サイゼリヤの本社がある埼玉へと団体交渉の申し入れを行うこととなります。

<続く>

*********************************
総合サポートユニオン
東京都世田谷区北沢4-17-15 ローゼンハイム下北沢201号室
TEL:03-6804-7650 FAX:03-6740-1690 メール:info@sougou-u.jp
*********************************


note用寄付呼びかけ画像
【総合サポートユニオンのコロナ相談体制の支援のお願い】


 緊急事態宣言の解除以降、新型コロナウイルス被害の雇用に対する影響がますます深刻化しています。解雇、雇い止め、そして派遣切りの労働相談が増加しています。特に、女性の非正規からの相談が膨大に寄せられています。
 総合サポートユニオンでは、月1000件に及ぶ労働相談を受けて法律や制度のアドバイスをしながら、団体交渉を通じて、解雇の撤回、休業補償の支払いを認めさせています。
 一方で、相談受付になどかかる費用の不足が、私たち総合サポートユニオンの課題となっています。コロナにかかわらず、通常の労働組合の一般業務に加えて、コロナ相談に対して週6日(平日夜間と土日祝日の日中)の4〜5時間の電話相談に、最低3〜4人の相談員を配置して対応しています。これにメールでの労働相談のやりとりが加わります。
 この相談体制を維持し、これからの解雇・雇い止め拡大の情勢に備えて拡充するには、資金が枯渇しているのが実態です。
 ぜひ、寄付での応援をお願いします。寄付の方法は以下の3つがあります。

(1)クラウドファンディングでの応援(2020年7月30日まで)
「新型コロナ被害による労働問題で困っている人を応援したい!」
https://camp-fire.jp/projects/view/282148

(2)振り込みでの応援
●ゆうちょ銀行での振り込み
(a)郵便局で振込用紙を使って納入する場合
  郵便振替口座:00150-8-765273 口座名義:総合サポートユニオン
(b)銀行などから振り込む場合
  ゆうちょ銀行 預金種目:当座預金 店名:〇一九店(ゼロイチキユウ店) 口座番号 0765273
●みずほ銀行での振り込み
 みずほ銀行 店名:北沢支店 預金種目:普通預金
 口座番号:3024622 口座名義:総合サポートユニオン

(3)noteでの支援
本ページ末尾の「サポートをする」からご支援ください。

 よろしくお願いします。

総合サポートユニオンの活動を応援してくれる方は、少額でもサポートをしていただけると大変励みになります。いただいたサポートは全額、ブラック企業を是正するための活動をはじめ、「普通に暮らせる社会」を実現するための取り組みに活用させていただきます。