総合サポートユニオンは、株式会社イーストアジアホールディングスに対して、インド人の組合員Aさんに対する多額の未払い賃金を支払うように求めています。


株式会社イーストアジアホールディングス(東京都中央区新川一丁目22番11号茅場町イーストスクエア4階。代表取締役:王雪、CEO:堤誠)は、医療用品を中国企業から輸入して日本で販売している会社です。

2年間で270万円以上の未払い賃金

Aさんが2年前にイーストアジアホールディングスで働きはじめてから、賃金の支払いは不定期であり、賃金が全く支払われない月やほとんど支払われない月が多くありました。Aさんは会社と基本給20万円という契約を結んでいるため、本来ならば現在までに総額でおよそ500万円の収入があるはずです。しかし、実際にはその半分も支払われておらず、270万円以上という多額の未払い賃金があります。平均して月に8万円程度しか支払われていないのです。

イーストアジアホールディングスは、賃金を支払わずに労働者を働かせることで利益をあげています。つまり、労働者から賃金を盗むことによって利益を得ているのであり、断じて許されるものではありません。

また、イーストアジアホールディングスは、Aさんを社会保険に加入させない、健康診断を実施しないという違法行為も行なっています。
 
さらに、会社に対する恐怖心から数日間出勤することができなくなったAさんに対して、イーストアジアホールディングスは、出勤しなければ在留資格を更新しないと連絡しました。これは、在留資格を更新させないと言ってAさんを脅すことで、賃金は支払わないまま強制的にAさんを働かせようとする許しがたい行為です。

会社は団体交渉を拒否

私たちは、7月16日、これらの労働問題の是正を求めて、イーストアジアホールディングスに団体交渉の申し入れを行いました。しかし、会社は期日を過ぎても回答せず、組合が催促したのち、8月2日にようやく回答書を提出しました。非常に不誠実な態度です。

そればかりか、回答書のなかで団体交渉を拒否しました。イーストアジアホールディングスは、Aさんとの間に雇用関係は存在しないと主張しています。また、Aさんは日本語が話せないから労働力として使えないとも言っています。

Aさんを労働力として利用しているという明らかな事実を否定するのは全く理解できません。また、Aさんの日本語能力について言及するのも支離滅裂です。

Aさんの権利主張は、他の多くの外国人労働者のためにも重要な闘いです

これまで見てきたように会社は、在留資格の不安定さを利用してAさんを命令に従わせようとしたり、能力が劣っているという差別意識にもとづいてAさんは雇用関係にないと主張したりしています。Aさんの置かれた状況は、会社が外国人労働者を劣悪な条件で働かせることが可能になってしまっているという日本社会の問題そのものです。

また、Aさんは、会社に対して権利行使するために、転職先と転居先を自分で見つけなければなりませんでした。会社の用意したアパートに住んでいたため、会社を辞めさせられたら在留資格と住居を同時に失うことになってしまう状況だったからです。これは日本社会における労働者、特に外国人労働者に共通する問題です。彼らが権利を行使しようとしたときに、住居の不安定さや在留資格の不安定さがハードルになります。

会社に対して権利を求めている労働者がそもそも少ない今の社会で、外国人労働者が会社に対して権利を主張することは非常に困難です。そのために、Aさんのように賃金が支払われないといった劣悪な労働条件で働かなければならない外国人労働者が、Aさんの背後にたくさんいます。Aさんがしているような、会社に対して権利を実現しようとする一つひとつの闘いなしに、外国人労働者が声を上げられる社会をつくっていくことは絶対にできません。

私たちは、イーストアジアホールディングスに対して、労働問題の是正を今後も求めていきます。

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