「最低限の保育」ってなんですか?はぐみっく保育園五反田園を運営する 一般社団法人双育会に申し入れを行っています。


 5月 18 日に、一般社団法人双育会に労働環境、保育環境の改善の申し入れを行いました。 この会社が運営する保育園、はぐみっく保育園五反田園に勤める保育士 2 名が介護・保育 ユニオンに加盟し環境の改善を求めています。申し入れをするに至った背景を保育環境に スポットを当てて代表理事、管理職の発言とともにお伝えいたします。

〇「排泄、食事、睡眠は同じ部屋。何か問題あるかな?」

 これは 3 月18日に行われた『四月からの保育の方向性を決める会議』の中での代表理事の発言です。この発言は 0 歳児の保育室の環境を決める際にでたものです。0 歳児保育室 に予定されていた部屋はもともと保育士たちの休憩室として使用されており、おむつの段 ボールやモンテッソーリ教室の教具、その他普段の保育では使わないものを置く倉庫とし ての機能もありました。「水道はおろかトイレもない部屋で排泄、食事、睡眠を行うというこ とですか?」という保育士の質問に対し、「何か問題あるかな?」との回答でした。

〇「モンテッソーリの棚はベニヤ板でおおう」

 これも同日の 0 歳児保育室に関する話の中で出た代表理事の発言です。モンテッソーリの教具には細かいものも多く間違えて食べてしまうと窒息の危険もあります。また棚は代表理事の手作りのものであり、つかまり立ちもする 0 歳児の保育室に置くには不適切です。 園では週に 2 回モンテッソーリのお教室が開催されていたのですが、その時間中(1 時間)は 1階にある 0 歳児保育室から2階の 1,2 歳児混合保育をしている部屋に 0 歳児の子どもた ちを移すという発言もありました。また詳しく説明しますが園の階段には大人用の手すり しかなく、危険だという保育士からの指摘も再三ありましたが一度見積もりに業者がきたのみで半年以上放置されています。


〇「保育室に保護者をいれないようにする」

 これも同日の会議内での代表理事の発言です。代表理事曰く、認可外園ではほとんどの園が園内の立ち入りを制限しているとのことです。
1 今は保護者に中を見られすぎていること。
2 複数の(ベビーシッターなど)保護者が迎えに来ることから防犯を考えて。
3 わざわざ保育室まで行きたくない保護者のためのサービス。
 という3つの理由を挙げていましたが、現場の保育士の意見として
1 に関しては保護者に保育室を見せられない環境は不健全である。
2 に関してはそもそも該当者が当園にはおらず、登録者以外がお迎えに来るという突発的
な事態には事前に保護者の方からお迎えに来られる方の写真名前をいただき、共通の合 言葉を設定後、インターホン越しにお伝えいただく。またその際身分証明書のコピーを 紙ベース、データとして両方を保管という対策をとっており十分である。
3 に関しては今までも祖父母のお迎えで階段がきつい、朝は急いでいるから外まで迎えに 来てほしい等個別に相談して対応してきた。むしろ保育室の中を見たい、保育士と話し たいという保護者の方が多く強い反発が予想される。
と伝えました。 

 補足ですが私たちが入社する前である 2018 年度の保育では2階で保育をして園児の登降 園時に1階まで保育士が子どもを連れていくというシステムでした。しかし登園の時間を担当する朝番は1人のみのシフトとなっており、子どもを迎えに行く際は2階に園児を置 き去りにしていたそうです。

 2019 年 2 月に入社した園長によりその環境は改善され私たちが入社した 2019 年度の保育では 2 階まで保護者の方に迎えに来ていただく方法に変更。以降 1 年間、関連したクレー ムが入ったことはありませんでした。その園長が 2020 年 3 月に退職されたため(保育環境 の改善のため本部に働きかけてくださっていた結果、事実無根のパワーハラスメント加害 容疑をかけられ自主退職をされました)元の環境に戻そうとしたと考えられます。

〇「保護者の相談にのらないっていうのも手だよね」

 これはひとつ前の項目、【保育室内に保護者をいれないようにする】に関する話の中でで てきた代表理事の発言です。3の反論である「保育室の中を見たい、保育士と話したいとい う保護者の方が多く強い反発が予想される」に対し上記の発言をしていました。そもそも私 たち保育士の中での認識では認可、認可外関係なく保育の質は高めていくべきであり、保育 という仕事の中には保護者相談も含まれていました。特に 0~2 歳児が集まっている乳児保 育園である当園では保護者の方からの相談も多く、またその対応に関しては保護者から高い評価を受けていました。保護者からの相談を遮断しながら子どもの成長を支援し保育することは不可能です。当園の保育理念は『こどもの可能性を信じはぐくむ保育』です。保護者との連携なしにどうやってはぐくむのでしょうか。また、保護者対応をしない保育園は 本当に保育園といえるのでしょうか。

〇「最低限の保育でいいです」

 4 月 17 日のエリアマネージャーの発言です。(緊急事態宣言発令後から 5 月 1 日まで)新型コロナウイルス禍において登園自粛をしてくださるご家庭が多く(本来、会社から保護者に対して、家庭保育のお願い、登園自粛要請をきちんとすべきですが、なされておりません) 2 人の保育士のみで3~5名の子どもたちの保育を していました。

 開園するために必要な最低人数でのシフトを組まれていること、呼吸器系の 疾患があるため発作が起きた際代わりがいないこと等の不安を相談したところ「最低限の 保育でいいです」との発言がかえってきました。「最低限の保育とはなんですか?保育の質を落とすということですか?そんなことできません。」と聞き返しましたが、明確な回答は得ら れませんでした。

 今回は保育環境に関する特にひどい5つの発言についてお伝えさせていただきました。


このほかにも以下のような問題があります。
■保育をする上で危険だと報告し、「改善する」との返事が来たまま放置されている設備が ある。
(1)階段のてすり →大人用の高さにあり散歩や登降園の際に子どもがつかむことができない。
(2)水道を囲む柵 →子どもが怪我をする事故が起きています。
(3)保育室に置くには不適切な大型機械を撤去した際、空いたスペースに突起が付いた窓があったため危険であると報告したが放置 →子どもが怪我をする事故が起きています。


■防災頭巾の発注を何度かけても本部が承認することなく半年以上にわたり防災訓練が行えなかった。
→2020 年度の防災訓練についてエリアマネージャーに相談した際、「年12回やればいいなら3月に12回でもいいってことでしょ」との発言もありました。


■身体測定は問い合わせをしてきたご家庭だけやる
→「新型コロナウイルス渦において、看護師もいない状態でさらに2人体制では感染対策を万全にしながら子どもの安全を確保しつつ身体測定を行うことは難しい。人を増やすか今月の測定は延期にするのか、どちらにしても事前に保護者に説明をしてほしい。」との要望を 4月9日、4 月 23 日そして身体測定予定日である24 日にも話したが「ここで答えをだすことはできない」との回答。

 保護者からの問い合わせもあり再度4月 30 日にも相談するが 回答すらない状態でした。5月 1 日に再度対面で相談、その際に「○○さんち(問い合わせをされた保護者)だけ測ればいいんじゃない」とエリアマネージャーからの回答がありました。そんなことはできないと意見しましたが、「じゃあどうするの?全員はできないんでしょ?じゃあやるしかない。それがあなたたちの仕事」と高圧的に話を終わらせられました。 また前年度の測定カードのひな形が見当たらず行えないとのことですが、今年度分の測定 カードはすでに用意してありますし、その件はエリアマネージャーにお伝えしています。

 以上の保育の知識がない経営陣による現場への不適切な業務命令が多く、このままでは子どもたちの権利を守ることはおろか、命すら危ないのではないかと考え申し入れをするに至りました。

【現在の状況をお伝えします】


 申し入れ後、 組合員の社内連絡アプリの停止、そして30分というあまりにも短い団体交渉日時の設定を受けて 5 月 25 日に「講義申入書及び要求書」を本部に送りましたが 返事が来たのは団体交渉前日である 5 月 29 日 21 時 58 分でした。

第一回団体交渉(5 月 30 日)について

〇二転三転する事実・・・「復職のご案内はすでにさしあげています」、1 分後には「これからご案内します」 

 復職にあたっての手続きについて質問したところ、すでにご案内済みですとの発言があり ました。しかし、実際には休職に関する連絡のみで復職に関する連絡は一度も来ておりませ ん。(会話は全てスクリーンショットで保存しています)しかし、「ご連絡いただいていません」と指摘するも 2 度も「すでにしております」との回答がありました。 「スクショとってありますよ」「現在も 2 日間にわたってメールを無視されていますよね?」 と再度指摘をすると謝ることもせず「これからですね、復職に関する必要な届出書を E メ ールのほうでお送りします」と先ほどの発言とは正反対の発言をしはじめました。


〇肝心なことは全て「顧問弁護士と相談中なのでおこたえできません」

 復職が最短でいつになるのかという質問にも「この場ではお答えしかねます」。 復職のながれについても「顧問の弁護士と相談して行ってまいりますので」との回答。「弁護士と相談しないと復職の流れがわからないということですか?」に対する答えは 「本件は弁護士と相談してやっていますので」という全くかみ合わないものが返ってきま した。 

 このような返事は今回が初めてではなく、ユニオンに加入する前から「今は答えられない」 「後日こたえる」「後程資料を送る」など、毎度返事を先延ばしにされその『後日』が半年 以上こないということもありました。回答の日時を相談して定めていてもそれを守られる ことはなく事前に遅れるという旨の連絡もありません。 また保護者の問い合わせに関しても「後日電話します」といって一週間以上も着信はなくそのたびに私たちが保護者への謝罪、本部への確認を行っていました。


〇私たちの要求は「おかしな話だなぁ」組合への加入は「残念です」


 これは団体交渉申し入れ時の代表理事の発言です。「何がおかしいんですか?」と聞きましたが「話しません。言いません。しゃべりません」の一点張りで団体交渉時に説明いただけるとのことでしたが、当日説明はありませんでした。また組合へ加入したことに対しても「残念です。こうなる前に話がしたか った」と言われましたが昨年から何度も話し合いの場を求めていましたが応じていただけ ないどころか、お返事すらなかったという証拠も残っています。そもそも組合への加入は労働者の権利であり「残念です」と言われる筋合いはありません。

 6 月 1 日からの復職を求めて十分な時間を持って本部に申し出ましたがいまだに明確なお返事をいただけておりません。 昨年度の保育に共感、満足してくださって今年度も通ってくださっている保護者の方、 子どもたちも多い中で、休職していたたったの 1 か月弱でこんなにも保育内容をガラッと変えられてしまうとは思ってもいませんでした。 また引継ぎがなかったとの説明があったようですが、迷惑が掛からないように登園されている子どもたちの情報、発達段階、留意点、一日の流れを最低限ですが現場の方にお伝えしておりました。復職を待っていてくださること、大変うれしく思っております。わたしたちも早くかわいい子どもたちに会いたいです。きっとこの一か月でとっても大きくなってお喋りも上手になっているのかななどと想像しながら、今後も戦っていきたいと思いますので、みなさん応援よろしくお願いいたします。


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【総合サポートユニオンのコロナ相談体制の支援のお願い】


 緊急事態宣言の解除以降、新型コロナウイルス被害の雇用に対する影響がますます深刻化しています。解雇、雇い止め、そして派遣切りの労働相談が増加しています。特に、女性の非正規からの相談が膨大に寄せられています。
 総合サポートユニオンでは、月1000件に及ぶ労働相談を受けて法律や制度のアドバイスをしながら、団体交渉を通じて、解雇の撤回、休業補償の支払いを認めさせています。
 一方で、相談受付になどかかる費用の不足が、私たち総合サポートユニオンの課題となっています。コロナにかかわらず、通常の労働組合の一般業務に加えて、コロナ相談に対して週6日(平日夜間と土日祝日の日中)の4〜5時間の電話相談に、最低3〜4人の相談員を配置して対応しています。これにメールでの労働相談のやりとりが加わります。
 この相談体制を維持し、これからの解雇・雇い止め拡大の情勢に備えて拡充するには、資金が枯渇しているのが実態です。
 ぜひ、寄付での応援をお願いします。寄付の方法は以下の3つがあります。

(1)クラウドファンディングでの応援(2020年7月30日まで)
「新型コロナ被害による労働問題で困っている人を応援したい!」
https://camp-fire.jp/projects/view/282148

(2)振り込みでの応援
●ゆうちょ銀行での振り込み
(a)郵便局で振込用紙を使って納入する場合
  郵便振替口座:00150-8-765273 口座名義:総合サポートユニオン
(b)銀行などから振り込む場合
  ゆうちょ銀行 預金種目:当座預金 店名:〇一九店(ゼロイチキユウ店) 口座番号 0765273
●みずほ銀行での振り込み
 みずほ銀行 店名:北沢支店 預金種目:普通預金
 口座番号:3024622 口座名義:総合サポートユニオン

(3)noteでの支援
本ページ末尾の「サポートをする」からご支援ください。

 よろしくお願いします。

総合サポートユニオンの活動を応援してくれる方は、少額でもサポートをしていただけると大変励みになります。いただいたサポートは全額、ブラック企業を是正するための活動をはじめ、「普通に暮らせる社会」を実現するための取り組みに活用させていただきます。