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数学月間

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社会と数学の架け橋=数学月間(7月22日--8月22日).この期間は,π(22/7=3.142..) とe(22/8=2.7..) に因んでいます.この期間に,数学への関心を高め… もっと読む
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#美しい幾何学

円による反転作図の機械

円による反転作図の機械

ジェームズ・ワットの蒸気機関の発明以来,円の動きを直線の動きに変換するヒンジ機構を構築することが課題でした.
色々なヒンジ機構を組み合わせてできる運動の軌跡の問題は,私の特に好きな分野です.円による反転を作図できるヒンジ機構は,最も興味のあるものです.
この装置の仕組みは,上記掲載の動画を見れば理解されるでしょう.証明は2つのペン先と反転円の中心は常に直線上に乗りますから,この時出来る2つの相似な

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結晶群とその一般化(3)

結晶群とその一般化(3)

結晶空間群の発見

群拡大理論に基づいた空間群の構成

群の一般化.特性の対称性

対称性の重ね合わせ.対称化と非対称化

3次元結晶群(点群,あるいは,空間群)は,3次元の幾何空間に作用する対称操作が作る群でした.一般化の第一歩は,幾何学的次元とは異なる何らかの超幾何学的な1つの特性(代表して「色」と呼ぶ)空間を付加する[3次元+1次元]ことで得られました.A.V.シュブニコフは,+/-の2値を

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立体万華鏡

立体万華鏡

正多面体の二面角は,多角形の頂角のように単純ではありません.凸正多面体Mとその頂点Cを中心とする小球の交差線で,凸球面多角形が形成されます.
頂点Cからq本の辺が出ているとすると,凸球面多角形の辺の二面角の和はπ(q - 2)よりも大きい.
正多面体Mのすべての二面角がπ / 2を超えない場合(たとえば,コクセター多面体の場合),各頂点から出る辺は3本だけであることがわかります.この最後の性質を持

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正多面体

正多面体

正多面体の対称性は,中心に特異点を(点群)もちますが,特異線はありません.正多面体の対称性を持つ図形では,各軸はそれと等価な複数の軸を持っているので,どの軸も特異軸となり得ません.正多面体のリストから球を除外すると,これらの図形の対称性は,次の3つの点群に還元されます.
[~4,~6,~10の~は,数字の上に乗せて表示し,回映軸を意味します.]
 3/2・m = 3/~4    ~6/4=3/4・

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万華鏡でネットワークパターン

万華鏡でネットワークパターン

[訳者注]ここでは万華鏡で作るネットワークパターンについて述べているが,平面のタイル張りの対称性(5つのブラベー格子)が念頭にある.万華鏡は鏡の組み合わせで作られる対称性なので,そのうちの4つのブラベ格子が実現しうる.これらは格子の対称性そのもの(その格子で許される最も高い対称性)で完面像と呼ばれる.

完面像クラスの4つのパターンだけが万華鏡で作ることができる.これらは紙の折り畳みとカットにより

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繰り返し模様pg

繰り返し模様pg



上図の模様は,どちらも同じ対称性で,横軸に映進面があります.縦軸(上下方向)方向には映進面はありません.

上図は有名なエッシャー作品(邂合)です.この図は縦方向b軸に沿って,映進面~bがありますので,先の例を90°回してみなければ対応できませんが同じ対称性に属します.
■映進操作の説明を以下で行います.

美しい幾何学p.93-95

繰り返し模様p1

繰り返し模様p1

対称性が並進(格子の周期)以外に何もないパターンの例です.
表紙の図は 格子(並進)以外になんの対称性もありません.

図中に同じ部分が繰り返し出てくる様子を調べます.例えば,上図のような格子が見つかるでしょう.このように格子以外の対称性がない場合は,単位胞タイルの中身全部が非対称要素(モチーフ)です.

平面群の記号で,格子を表す部分は,国際記号でp(なんの条件もない平行4辺形),ロシア式記号で

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ネットワーク・パターンの対称性2

ネットワーク・パターンの対称性2

点の対称性は∞・mと仮定します.この記号の意味は,紙面に垂直な∞回転対称軸(回転対称の極限)とその対称軸を含む鏡映面mがあるという意味です.理想的な点は,その点を通り紙面に垂直な軸のまわりに任意の角度回転しても,あるいは,この回転軸を含む任意の面で鏡映させても,始めの点と一致するというものです.
1つの点を平方移動したものを集めた集合を点系(同価な点の集合)と呼びます.
点系の全体の対称性は,点の

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3次元のフラクタル構造モデル

3次元のフラクタル構造モデル

シェルピンスキーの3角形の窓,4角形のカーペットの3次元版は,シェルピンスキーの森(ピラミッド),メンガーのスポンジと呼ばれる興味深い物体です.シェルピンスキーの森で日除けを作ると涼しいとか,メンガーのスポンジで電磁波の閉じ込めができるとか興味深い性質が期待できます.

しかしながら,これらがフラクタル構造になるためには,繰り込まれる構造が無限に繰り返される必要があり,現実には作れる物体ではありま

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長さ∞で面積0(シェルピンスキー)

長さ∞で面積0(シェルピンスキー)

カバー写真は,シェルピンスキーの森という日除けです.

美しい幾何学 p.162,163 より

ペアノ曲線

ペアノ曲線

線であるのに,ペアノ曲線やコッホ曲線の次元(フラクタル次元)は2次元です.無限にこのステップを繰り返すと平面を塗りつぶします.