SwordkillJane story3

サイベリアは、かねてから進めていた内部分裂作戦を遂行することにした。

いくつか場所をつかんでいる敵のアジトから薄情な人間を選出。

この女が調度いい。

監視ドローンが送って来たデータを分析しながらターゲットを定める。

強欲で残忍。

簡単に味方を裏切るだろう。

彼女の持つPDAにアクセスし取引条件を送信する。

仲間を売ってくれたら、あなたの望みの物を与えよう。


マシーネのばらまいた細菌兵器も、ひとしきり壊滅したシェルターの一角に

ジェーンの所属するレジスタンス“バークレイ”の本拠地はあった。

対ウィルス粉で白く覆われた地表は雪が降ったようだ。

かりそめの終の住処。

ジェーンの所属するレジスタンスは50名程。

現在、確認される男性の最後のひとりをかくまっていた。

まる一日つぶした局地戦から帰還してベッドにもぐる。

愛猫のミーシャが枕元に寄って来た。

使うタイミングを逃した新しい機動兵器が心残りだが。

新しいクルマを手に入れたので良しとする。

まぶたを閉じて、数分で浅い眠りについた。

「離れて。もう乗れないんだ。」

エアポートに押し寄せる多くのひとを無慈悲に残して巨大な箱船が浮かび上がる。

「邪魔だ。どけ。」

「おい。子供が可哀想だろ。」

飛交う怒号。

泣き叫ぶ赤子とあやす母親。

大きなトランクが割れ、中の荷物をばらまきながら走り寄ってくる小太りの男。

人ごみに押し倒され怒り狂う青年。

「マシーネの大群だ。2時の方角。」

空港に迫り来る殺人機械の群れ。

付け焼き刃の寄せ集め軍隊が迎撃に向かう。

その場に泣き崩れる

もう、こんな光景は見たくない。

耳を塞いで、しゃがみこんだ瞬間、夢から覚めた。

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