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riot future troops ep51

荒涼とした瓦礫の街をいく。
識別カメラを赤、青にチカチカ光らせながら静かに前をいくエレーヌ。

、、、、、ちかれた。。。。。。
レキはレールガンを担ぎ直しながら
なんとか肩のこりをほぐそうと工夫しながら歩くのだが
数日前からの行軍は疲労の波を大波へと変えた。

もう歩けないと半ば意識を失いそうになりながらも
ここでは止まれない状況であるのを思い返す。

あとにつづくフレアもモーションセンサーで周囲の敵を索敵。
確実に後をつけられている話を昨夜の焚き火で聞いた後は眠れず
何故、敵は襲って来ないか理由がわからない。

ハイエナのようにターゲットが力つきるのを待っているのか。

もう、だめだ、、、なんて気が緩んだ刹那、ふいの地面の段差に勢い良く転倒。
銃の安全装置が外れてレーザーが朽ちた建物の窓を射抜いた。

即座に振り返り銃を向けるエレーヌ。

フレアはやれやれといったそぶりで両腕をあげた。

二人、、、2体共、ロボットながら、どこか人間らしい、、
人間以上の感情表現を動作で表すのにレキはぬくもりを感じた。

「ごめん、びっくりさせて、いたたた。少し休みたいんだけど。。もう歩けないよ。。」
止まるのは、死を意味する緊張状態でもあるのはわかっていたが気持ちに身体がついていかず
悲鳴をあげる膝を抱えた。

「人間は面倒くさいね。」
エレーヌが銃をおさめながら側に立った。

「さっきの砲弾で敵も怖じ気づいたかな。」
フレアが周辺をサーチ。
今のところ危険は無い。

少し気が緩んだ瞬間、その場でレキは泥のような眠りへと引きずり込まれた。

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番号化された会話をするエレーヌとフレア。
ロボットである彼女らは簡略化された言語で今後を語る。

パチパチとなる焚き火に目を醒ますレキ。
気を失ったように眠ってしまった。

いいにおいがする。
大好物のビーフスープ。

「さあ、食べなよ。」とエレーヌ。
じっくり煮込まれた熱い汁をすすりながら
どのくらい寝たのかをレキは悟った。

その時だった。

向いの廃墟ビルから颯爽と黒いマントを身につけた何者かが舞い降りた。

咄嗟に戦闘態勢にはいるエレーヌとフレア。

食事中のレキはスープのお皿を大事そうに抱えた。

長い白い髪の
美しい女戦士だった。

かぼそい声で何かを言っている。

両サイドから徐々に距離をせばめるフレアとエレーヌ。

大きなマントの中に白い長いスナイパーライフルが見えた。
正規軍のものだ。

「仲間だよ!。僕はレキ。二人はエレーヌとフレア。君、先遣部隊だね。」

長距離からの攻撃を主力とする24部隊のことを聞いたことがある。
女性だけで構成されたプラトーンもあったような。

「、、、、それ、もらえる?」

かぼそい指でレキの抱えるスープの皿をさした。

エレーヌが焚き火から、もうひとつの器を取り出すと彼女に差し出した。

警戒しながら、そっと器を受け取ると
盛られたチキンにかぶりついた。

くちのまわりをべたべたにしながら
おいしそうに一心不乱に食べる。

美人の食いしん坊ぶりにレキはおかしくなってクスクス笑った。

女戦士もつられて微笑む。

「ここ数日、何も食べられなくて。。。。。私はシャーリー。」

「随分前から、こちらをつけてただろう。気配を隠すのが上手いな。」
フレアがシャーリーの全身をスキャンしながら話す。

人間になりすましたマシーネの存在も報告されている。
用心にこしたことはない。

食後の口元をぬぐいながらマントから銃を取り出すと
焚き火の前にさした。

「少しあたためないと温度で飛距離が変化するんだ。」
シャーリーはどさりと突き立てた銃の横に腰を下ろした。

互いの自己紹介もそぞろに、数日前からの謎の存在が味方とわかった安堵で
レキは残りのスープをゆっくりとたいらげた。

焚き火の火の粉の向こうの美しいシャーリーの横顔を眺めながら
いつの間にか惹かれてるのを意識した。

「食事したり眠ったり、あなた達もウォーマナイズしたら、疲れ知らずよ。」

体力や感情に左右される人間に
ウォーマナイズサイボーグ化を薦めるエレーヌ

「いや。僕はこのままでいいんだ。」
と、手で断るそぶりを見せながら
愛を感じることのできる人間である所以を想った。

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