登山のようなゲーム体験【 東京クロノス 】(PSVR)
そんなデスゲームちっくな雰囲気から始まる本作はなんとVRアドベンチャー。渋谷を舞台に全方位が舞台となるVRらしい新しい試みのアドベンチャーゲームだ。
まぁ個人的には体験版での印象が微妙で、結構アクの強い絵柄などからちょっと敬遠していたが、VRゲームならもうなんでも遊んでみたいという気持ちが強くなってしまって体験版だけじゃわからないと思いプレイしてみた。
本作はサスペンスミステリー風だがゲーム的な要素はかなり削ぎ落とされ、数カ所の選択肢以外はほとんど読み物に近いくらいのテキストノベルと言って良いものだ。犯人を自ら見つける事も無ければ、矛盾を突きつける事も無い。ただとにかく読み続けるのだ。
正直序盤はとにかくツラかった。
なかなか進展しない話、正直魅力が湧かないキャラクター。登場人物達は全員小学校時代からの親友チームらしいが、正直そんなチームに自分が突然入れられても困惑するよ!
それにグラフィックも今イチだった。いや、キャラクターのグラフィックはかなり良いのだが、それ以外…背景や小道具などはシンプルシリーズもびっくりなPS2の安物ゲームを思わせるディテールで、結構厳しいものを感じてしまう。普段はあまりグラフィックについて文句は書かないのだが、こういった荒はシナリオの雑音になってしまう。
ミステリー…?
そして分けもわからず終わってしまう本編は正直言って想像していた形のストーリーからは掛け離れた方向に行くものだった。
一周目が終わった時点で明かされた事実は本作がサスペンスでもなければミステリーでもない事に気づく…これはそれとは全く違う物語だったのだ。
そして始まる二周目は同じストーリーだが真実に向かって加速する。
よくある、二周目から謎の答え合わせが始まるパターンだ。
ただし、ここも同じイベントを繰り返すシーンが多く、スキップ機能はあるもののやっぱりダルい。重いVRゴーグルをしているから更に厳しい。
あと場面転換すると過去のバックログを読めなくなるのも痛かった。更に答え合わせになるシーンがどれもこれも面白みに欠けるのが更につらい。
全ては頂上があるから
しかし最後の最後、全てのバッドエンドの選択を全て見終えた後の、行き違いと不幸による真実とその結末は僕が思っていた以上に晴れやかなものになっており、結構ウルっと来てしまった。
荒はあるけれど上手な着地点で正直とても感動してしまった。良かったなと思う。
こんな晴れやかな気分でゲームを終えられるのは久しぶりだ。
まさに気分は険しく厳しい山を登りに登りそして頂上で観た最高の景色のようだった。
そう、道のりは険しかった。感情的なシーンはうるさかった。つまらなかった。ロウの怒鳴り声はマジでキツかった。主人公の感情的になった時に出す引きつった声が聞くに堪えなかった。正直ある部分に関しては「この話いるのか?」と思った。
しかし全ては最後の最後の最後の頂のために用意されたものだったのだ!
そう、それまでは全てつらくて当たり前だったのだ!
…という、終わりよければ全て良しだし、満足はしてるし、問題ないんだけれど…冷静に考えるとゲームってこれでいいのか?
もっと途中途中で刺激を与えて楽しませてくれるもんじゃなかっけ?…と思ったりもするが…まぁ、あれだ。**
今となっては全ていい思い出です。(´ω`)**
あと本作は本編以外の部分ではVRの魅力を引き出す点ではかなり成功しており、特にオープニングのムービーやエンディングでの演出はかなり凝っている。
キャラクターが自分の周りを飛んでいたり、スタッフロールに囲まれたりとVRをかなり上手に使った新たなる未来のアニメを観た感覚にさせてくれる素晴らしいものでした。これが本編で活かされなかったのがちょっと残念。(ただしあるルートのシーンの演出はかなり怖くて良かった)
本作は僕としては正直ゲームとしては作りが荒く微妙な点が多い本作でしたが、最後の最後にそれを覆すくらいのシナリオを持っており、更に新しいVRの見せ方をしてくれた素晴らしい登山のようなゲーム体験でした。
DATA
東京クロノス
発売 / 開発:MyDearest
対応ハード:PS4(PSVR専用)、PC(Oculus、VIVE他)
発売日:2019年8月22日
ジャンル:VRミステリーアドベンチャー
公式サイト:https://tokyochronos.com/
映画鑑賞と積みゲーの資金となります…たぶん