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【林業日記13】林業やりたいなら死なない努力をしよう

「木を伐って倒すという行為は、電柱が倒れると同じくらいの事故」

という脳裏に焼き付くような言葉を残したのは、一般社団法人林業技能教育研究所の飛田京子さん。

時をさかのぼりますが、今年の1月末に2日間にわたり「チェーンソースキルアップ講習会」が、私の暮らす高知の本山町で町主催で開催されました。

内容は、機械整備と伐木基礎研修で、学科と実技に分けて学びます。

今回講師の飛田京子さんは、今暮らされている鳥取に移住される前まで、東京大学大学院で、いかに危険度を減らして、どうすればもっとも安全にチェーンソーを使うのかを研究されてきました。

死亡率が高い林業という職種ですが、死亡事故や怪我の災害は、どれも多くは防ぐことができるものばかりだとか。

予測不可能な事態を招かないために、自分の技量を超えたことはしないということも大切だと教わりました。


そして、林業をやる上での大前提として、林業は「死のリスク」は必ずあるということも認識をすること。

これって他の仕事ではそうそうない概念ですよね。

たとえば事務作業などデスクワークであれば、紙で指を切る程度のものですが、林業の場合、自分の上に思いがけず枝が落ちてきたり、思いがけない方向に木が倒れてきたりすることで、怪我や死亡事故につながることもあります。

枝というと、一般の人からすると「枝ごときじゃ怪我しないでしょ」と思いそうなものですが、径の太い「大径木」の枝となると、自分の上に落ちてくると、骨折する人もいるとか。

それらを理解した上でも、やっぱり林業がしたいと思うのであれば、死亡や怪我のリスクを減らすために、それ相応の安全対策をしましょうと、飛田さんは言います。

今はチェーンソーパンツをはじめ、チェーンソーブーツ、イヤーマフなど防護服もたくさんありますが、そういったものを活用するのは当たり前にし、同時に技術の向上も、日々の施業から行うことも大切だとか。

たとえば、自分が狙った方向に木が倒れても、倒れなくても、その後に切り株などをみて検証する。受け口の角度や大きさ、ツル幅などを意識して、次の伐倒作業に活かすことで、自分の伐倒技術もあがってきます。

そこで、飛田京子さんの開催するチェーンソー操作技能実習では、実際に普段するように狙った方向に対し、受け口と追い口(※)をつくり、それを数値化することを行います。

(※受け口と追い口とは、木を倒すためにつくる仕掛けのことを言います)

私の場合、普段の伐倒作業でも苦手だと思っていたクセがそのまま数字に出ていて「あ、やっぱりな」と思ったのと同時に、数字に出されると「思ったより左右で差があるので、これはまずい」と感じたことでした。

左右バラバラのツルということは、狙った方向へ木が倒れてくれないことになり、伐倒木が別の方向へ倒れて、違う木にかかってしまう「かかり木」というような状態を引き起こす可能性もあります。

他にも、チェーンソーの正しい掃除方法やチェーンソーパンツの洗い方など、知らなかったことがたくさん得られた講習会で、とても学び深かったです。

年配のベテランの林業従事者の中には、防護服を身につけずに行われる状況もあるようで、飛田さんはそういった方にこそ「ダメ」「使えない」ではなく「どうしたら快適に使えるのか」という工夫が必要で、ひとりでも安全に林業作業に従事してほしいと、母性が溢れるコメントをされていたことが印象的な講習会でした。

今あるいろんな規制や法律などは、災害が起こったから「じゃあこうしましょう」と基本的には林業従事者の命を守るために、つくられたものが多いので、自分が死なないためにも、そういう過去の失敗を繰り返さないようにしたいものです。

という、今回はちょっと真面目な話もまじえて、お送りしました。

さて、間伐は先月3月末でオフシーズンになり、今月はチェーンソーを一度も触らずに終わりそうで、次にちゃんとチェーンソーのエンジンをかけられるのか心配なセイカでした。

今回もお読みくださり、ありがとうございました!

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