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【林業日記14】夫がお金にならない山を施業したいと言います。さて妻はどうする?

日本の山は手遅れ。

そんな話を聞いたことがありますか?

確かに山に価値があるならば、どうしてこんなに山主さんは持ち山を放置してしまうのかわからないですよね。

担い手不足が深刻な林業、とは言っても、誰かがやらないとますます日本の山は荒れていくばかり。

畑作業をしたことがある方ならお分かりかと思いますが、大根だって、にんじんだって、種まきをしたあとに、芽が生えてきたら、間引いてやらないと、みんな共倒れで弱ってしまうんですよね。

山だってそれとまったく同じで、勝手に木が育つわけではなく、人間が手入れをしてやることで、立派に育つのです。

育つスパンは農林業で比較すると全然異なるものですが、個人的に本質的なところは同じなのではないかなと感じています。

さて、そんな林業でいう間引く作業は「間伐」といいます。

間伐作業が適正に行われていないと、木は弱々と育ち、いずれその林は荒廃する道を辿ります。

「俺がやらんと誰もやる人おらんねん」

と、夫が山の妖精に操られているんじゃないかと疑いたくなるような使命感に駆られているので、妻の私は頭を悩ますこともあります。

だって、間伐が適正に行われ、順調に育った木を出荷して売りに出すのと、手遅れの山の手入れで伐った細い木を出荷して売りに出す。

どちらが高く買い取ってもらえると思いますか?

誰がどう考えたって前者のほうが高値で買い取ってもらえますが、夫はそれでも後者だって誰かがやる必要があると言います。

実際に荒れた山をみたことがありますが、その山をみるだけで、とても悲しい気持ちになるし、夫の気持ちもわかります。

だけれど、自分たちにだって子どももいるし、生活があるのです。

生きるためには、きれいごと抜きにして、お金が必要なんです。

お金をある程度稼ぐためには、その仕事ばかりしていては家族みんな共倒れです。

もちろん夫自身も今後の働き方として、そういうめっちゃ儲かることはできないけど、やる必要があると思う山仕事と並行して、特殊伐採など比較的給料のいい仕事と掛け合わせてやろうと、準備を進めています。

だけど、私は私なりにできることを探しました。

それが情報発信。

山に少しでも価値を見出してもらえるように、山のことをもっと知ってもらえるようにとはじめたのが、このnoteを含めたSNSを使った情報発信なのです。

山から遠い都市部に住んでいると、ついつい忘れてしまいそうですが、普段飲んだり使ったりする水道水だって、買っているミネラルウォーターだって、もとを辿れば山から流れてくるものなのです。

「水」を育んでいるのは「山」。

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山が雨水をろ過し、それが川に流れ、海に流れ、その繰り返し。

山は日本が誇るべき、自分たちの命の源でもあるんですよね。

だけど、山だって環境をきちんと整えてあげないと、その循環だっていつ狂ってもおかしくない。

だからこそ、林業って本来はもっと評価される仕事だと、参入してばかりのど素人の私は思います。

死ぬリスクを背負ってまで、日本の山を守っているのだから。

「私は日本の山のためなら死んでもいい!命を捧げる!」と思って働いている人はそんなにいない気もしますが、だけれど、林業従事者の行なっていることはまさにこれなのです。

そんなわけで、夫が荒れていく前の山の管理をやっていきたいと言うので、夫はやりたいことをやってもらい、私は私にできる形で、夫をサポートできたらと思います。

というわけで、引き続き、このnoteの林業マガジンも読んで応援いただけると励みになります。どうぞよろしくお願いします!


サポートありがとうございます!私たち夫婦は山を買うのが夢なので、その資金に充てさせていただきます!