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【林業日記19】2トンダンプを運転する日。

2トンダンプを運転する日、というのは、小規模の林業従事者ならピンとくるかもしれませんが、木材の搬出の日ということ。

つまりは「土場(どば)」といって、木材を積んでおく土地を構えて、そこで木材搬出のための準備をするのですが、2トンダンプを運転する日というのはまさに勝負の日でもあるのです。

土場で作業する夫

どういうことなのか。

私たちは夫婦で「ヤドリギ」という屋号で林業を営んでいますが、この2トンダンプをレンタルで借りた日は、夫婦で役割分担をします。

夫が土場に残って作業をし、妻の私はひたすら木材市場へ運搬するための2トンダンプを運転する係。

ひたすら土場と木材市場を行ったり来たり、木材が土場にある限り、往復しつづけます。

本来ならば、車でひとりの時間には大好きなVoicyという音声アプリを聴いて、ながら時間を楽しみながら、耳の空いた時間さえも充実させたいのですが、この2トンダンプの日には、道がボコボコなところが多い上、エンジン音もうるさいから、私のスマホのスピーカーなんかでは太刀打ちできないのです。

それならば、スピーカーを構えたり、ワイヤレスイヤホンでもすればいいじゃないかと言われそうですが、そう言われたらその通りだけれども、今のところはそこまでのモチベーションはなく、重たい木材を積んで2トンダンプを走らせることに全集中することで実はいっぱいいっぱいでもあります。

2トンダンプを運転するということだけで、こんなに文章が書けるだなんて自分でも正直驚いているのですが、実は2トンダンプを運転しながら、とてつもなくツラく感じたことがあり、筆をとることにしたのでした。

そう、それは、毎日の中で2トンダンプを運転する日は圧倒的に「夫との会話が少ない」日ということ。なんだ、ただのノロケかよ、と思われた方、すみません。

上述した通り、私たちは夫婦で林業を営んでおり、林業はコミュニケーションがめちゃくちゃ必要な職種でもあります。

そんな中、2トンダンプを借りる日というのは、土場と木材市場を往復する回数が多ければ多いほど、それだけ木材を市場へ卸せた=収入に直結ということになるので、どれだけ効率よくピストンさせるかが重要になります。

2日間ですべての木材を搬出できたかもしれないのに、おしゃべりや休憩をとりすぎたせいで、3日間も2トンダンプを借りてしまうなんて状況が起きたら、1日分のダンプのリース代で贅沢なランチができたかもしれないですよね。

つまりはこの日に限っては、夫と話している暇なんてない。

そんなことを書くと冷たい妻のように感じられそうですが、夫も「話している暇あればさっさと木材市場へ行きなさい」と思っていると思います。

効率よく、と言いながら、疲れが出て事故ったり横転したら元も子もないので、安全には十二分に気をつけながら運転をしていますので、そこはご安心ください。

そんなわけなので、いつもはぬくぬくの味噌汁つきの温かいお弁当なのだけれど、2トンダンプを借りる日には運転しながらでも食べられるように、おむすびだったりすることもあります。

2トンダンプを借りた日は2トンダンプの車内で1日の大半を過ごすことになるわけですが、こんな日は半年に一度もいらないなと思ったけれど、そんなこと言っていたら収入ないじゃんかと、運転しながら自分の脳内で色々考えました。

夫とのんびり休憩しながら話す時間って、実は癒しの時間でもあったんだと、その時間がなくなったことで気がつくこともありますね。

今やこんな生活も私たち夫婦にとっては当たり前ではあるけれど、きっとこんなときもあったなっておじいちゃんおばあちゃんになったときに読み返したらおもしろいかもしれないので、記録としてここに記しておきます。

2トンダンプの思い出の話。

土場から完全になくなった原木

そんなわけで、夫婦林業ヤドリギ、今季の林業はこれにて一旦おしまいです。おつかれさまでした。

さて、次は家づくりの準備の続き!

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