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就活生だった当時の私に伝えたい、ほんとうの就活の意味。


『仮にそこだけになったら、それはそれで縁だから、いいと思ってるよ』

『志望順位は確かに低いけど、どうしてもやりたくない事ならそもそもエントリーしようなんて思わないし』

『今までそれで数社、ES提出しなかったし…』

『…お母さんが出せって言ったしさ』


「……それさ、全部、自分に言い聞かせてるみたいに聞こえる気がするよ」




昨夜の、とある就活生との会話。
10年前の私に言ってあげたいと思ったから、ここに残しておこうと思う。

チャットログを最低限編集しただけだから、読みづらくてごめんね。(以下、私「 」・就活生『  』)



「……すごい縁起でもないけど、ひとつ何かクリアになりそうな質問をするね。

  もしたった今、お前のお母さんやおばあちゃんや……周りの人達が死んじゃったとする。葬式とかそういう物理的なところは置いておいてさ。…その時に、そこにも出すかい? つまり、就活において君だけの意思しかそこに存在しないってことをリアルに想像して欲しいってことね。

  もしそれでも出したいって思うなら、出していいと思う。それが打算であれ、博打であれ、本心の希望であれ」

『…自分しか、自分の進路を決められる存在が居ないならってこと? ……それなら、出さない。もっと興味を持てたり、働きたいという意欲をより持てるところに出したい』

「……それがさ、大人になるってことだよ。これから君が踏み出す世界。そしてこれは、その練習なんだ、就活って。

  そして、明日もお母さんやおばあちゃん達が死なない保証はどこにもないんだ。

  就活も、結婚も。誰かのために決めちゃって、もしそれを選んだ直後に、それを実現する前にその人が死んじゃったら、残るのは後悔だ。

  …起こりえないことじゃない。だから、この期間を通して君は、君の為にだけ戦わなくちゃいけない。会社に選ばれるためじゃなく、親や会社やまわりの意見じゃなくて、ちゃんと自分の気持ちを守ってやる戦い

会社に選ばれる方がよっぽど楽だと思うよ、会社が喜びそうなこと言って、自分の気持ちに嘘つけば結構なんとかなっちゃうからさ。

  それだけは、私も守ってあげられない。この世界で、君たった1人しか出来ないんだ」


『…さっき志望動機書いてた会社は、志望順位高い会社なんだ。だから、考えるのは大変で疲れても、何が出来るか、どんな風に仕事してるか、想像しながら書くのは苦じゃなかった。でも、今書こうと思ってたところの履歴書に関しては、苦でしかない…』

「ちゃんと心は分かってるじゃんね。でも、それを無視して押し込めることが出来ちゃうんだよな。自分より、お母さんや、先生や、他の誰かの意見を選ぶことも。

  ……ただ、それを何度も繰り返すと、そのうち心は動かなくなる。反応してくれなくなる。何が欲しくて、何を叶えたくて、何が本当の願いなのか。それを教えて叶えてくれる自分の中の大事なコンパスなのに、応えてくれなくなっちゃうから、気をつけて。

  もちろん何から何まで正直にってわけにもいかないのは分かる。けど、自分を押し込めてその場を何事もなくこなすことを、便利な道具みたいに使っちゃいけない。知らないうちにコンパスが動かなくなって、そうなった時には、手遅れじゃないけど大変なことになる。

  ……だから、もし何かに迷ったら、さっきの質問を自分の胸に手を当てて聞いてみて欲しいんだ。前に訊いた、余命半年だったらってのでもいい。リアルに想像した時に、心が動くものが君の選ぶべき道。それがどれだけ困難でも。

  結果じゃない。苦しくて結果が早く欲しくなるけど、就活において一番大事なのは、いかに自分の心を尊重してやれるかの練習だからさ。極論、別に結果が出なくたって人生詰むわけじゃないしね。

  無理に受ける必要なんてどこにもないし、数打ちゃ当たるものでもない。ちゃんと自分の心で選ぶことは、むしろ向こうにとっても労力が減るからいい話でもあるしな」


『沢山エントリーする人は居るし……全員分のESに目を通さなきゃならない採用側も大変だ』


「適当にとりあえずとか、行く気ないけどとかで提出される会社はたまったもんじゃないんだよな、そこに人件費もかかってるんだしさ」



『言われてみると確かにそうだ、それを考えると、悩みまくってたのが阿呆らしくもなってくるような…』


「それが、"優しさ"だと思う。相手の立場に立って考えること。これを見てくれる人がどんな気持ちで、どれだけ時間を割いて、そしてそこにかかる人件費、それはどっから来てるのか…………だからさ、せめて面接とかでは、面接官のこと楽しませてあげよう笑 

なかなか就活する立場からだと、選ばれることについ必死になっちゃうから見えづらいんだよね」

『…自分の選択が自分の為だけじゃなくて、相手の企業の為にもなるってことか』

「そう。そういう優しさのあるやつと働きたいって思うと思う。少なくとも私だったら、そういう人を選びたいと思うよ」




家出までした信念も思いもあったのに、それでも気付けば焦って「内定を貰わなくちゃ」となって、本来の大事なことが抜け落ちた時期があった。

どうやって生きたいのか。人生において何を大事に思うのか。




成人したばかりでそれを考えることが容易くないことも知っている。当時の私も私なりに必死に考えたけど、見える世界が狭すぎて、選択肢が少なすぎて。


就活生に出会ったら、かつての私に出会ったら。ずっとこういう話をしていきたいなぁと思うんだ。




6/29 加筆

そうやって何度も体当たりして行った末に掴んだ第一志望内定、おめでとう!!!

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