見出し画像

ムダにすればムダだし、ムダにしなければムダにならない。 池上彰さんの本を読んで。

池上彰氏著の「知の越境法」という本を読みました。久々の池上さんの本でした。タイトルというよりもサブタイトルにある「質問力を磨く」というところに惹かれたというのもあるのですが、今回はこちらの#読書感想文 です。いつも通り、キーワードをベースに展開していきます。

まず全体のイメージとして

この書籍は最終章までは、これまでの池上さんの歴史を軸に展開されていますが、6章の「越境のための質問力を磨く」と終章「越境=左遷論」というものに向けた布石のような展開になっています。サブタイトルにある「質問力を磨く」というテーマだけでいえば、この6章が肝にはなりますが、この6章の裏付けのためが1章から5章に具体例として挙げられているといえます。なので、今回展開するキーワードのほとんどは6章、終章のものをとりあげます。

愚かな質問はない、愚かな答えがあるだけだ

なかなか言える言葉ではありませんね。聞こえ方を問わずとも「生意気」なフレーズだと思いますが、これは真意をついているのではないかとも思います。つまり、質問をするということは「知ろう」とする熱意があるが故のことなので素晴らしく美しいものです。そこに対して同じくらいの素晴らしさで答えないといけないということだと思います。

このフレーズは質問者が思うことではなく、質問を受ける側が心に持たなければならない考え方であると思います。

リスペクト光線

聞きにくい質問をする際は、あなたを貶めるために聞いているのではありません。あなたのことを親身に思いながら、視聴者の思いを代弁しているんです、と先に述べた”リスペクト光線”を放つのです。

こんな文章があります。正しくこのフレーズはテレビ仕事をしているという前提、つまり「視聴者」がいることが前提となったフレーズですが、少し自分の仕事に置き換えてみました。自分の仕事の場合、視聴者=消費者や利用者です。また同時に、製作者とも言えるかと思います。伝えるということを考える際に、受けて側の気持ちを発信側に伝えることそれが質問という形に変わるのだなと感じました。

ゲノム

そのときはムダでも、あとで環境に激変があったときに、生き残る手立てになる

生命に関する番組をされた時の知見とのことですが、これがこの書籍のタイトルでもある「知の越境」との関連を示しています。一眼で見れば、自らの越境ではなく、他者や環境の影響をうけた越境で得られるものは、「ムダ」に見えるかもしれません。しかし、どこかで役に立つ可能性もある。生き抜く手立てになるということです。結局、「ムダ」か否かというのは、

ムダにすればムダだし、ムダにしなければムダにならない

結局は振る舞いなのでしょう。

まとめ

この書籍を読んで、質問にはいくつかの立ち位置があるように思いました。端的に言うと、自分を育てるための質問と他者や第3者に物事をわかりやすく伝えるための演出としての質問。書籍の中では、著者の仕事の流れからだと思いますが、後者の記述が非常に多くあったように思います。

実際僕自身、コミュニケーションや情報伝達に関わる仕事をしていることを考えると、後者に興味があるのは事実です。時にわざと質問することもあります。テクニックというとどうもセコい感じもしますが、より良く伝えるための技術というとまた聞こえ方は変わってきます。

今回の書籍では、そのより良く伝えるための技術を実例を含め感じることができました。


この記事が参加している募集

推薦図書

読書感想文

もし気に入ってもらえたら嬉しいです。情報の発信とコミュニケーションについていろんなチャレンジをしていきます。どうぞよろしくお願いします!