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初演より深くなった情緒感で多彩な感情がより観客に伝わりやすくなった…★劇評★【ミュージカル=ビューティフル(平原綾香出演回)(2020)】

 キャロル・キングの歌は切ない。アーティストに歌わせるために作った曲も、シンガー・ソングライターとして歌う曲も、届かぬ思いや幸せへの疑い、心が引きちぎられるような痛み、無償の愛など様々な感情が音楽に散りばめられており、私たちの心を複雑な色合いに染めていく。彼女自身の人生もまた、華やかな成功の陰で家族関係では大きな挫折も体験し、ずっと朗らかでいたわけじゃなかった。もちろん楽曲を生み出す過程では喜びと共に苦しみも引き受けることになる。こうした要素があるからだろうか、彼女自身の人生と創作活動の実際を、キャロルの創り出した楽曲などによって彩っていくミュージカル「ビューティフル」は、アーティストの楽曲を並べただけの「ジュークボックス・ミュージカル」が散見される現状にあって、それらとは一線を画した、なんとも人を惹き付ける輝きに満ちている。光も影もが渦のように絡み合い、物語をどんどん高みに運んでいく人生の交響曲となっているのだ。水樹奈々とともにWキャストでキャロルを演じる平原綾香の伸びやかな歌声は初演よりも情緒感を深め、私たち観客のもとにキャロルの感情がより伝わりやすくなっていることが明らかに見て取れ、静かな昂ぶりを与えてくれる。(写真はミュージカル「ビューティフル」とは関係ありません。イメージです)
 ミュージカル「ビューティフル」は11月5~28日に東京・丸の内の帝国劇場で上演される。

 なお、本作は主人公のキャロル・キング役が平原綾香と水樹奈々のダブルキャストで、水樹奈々バージョンも取材済みです。近日中に水樹奈々出演回の劇評も掲載します。

阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でも読めます。舞台写真は「SEVEN HEARTS」でのみ公開しています。
★「SEVEN HEARTS」のミュージカル「ビューティフル(平原綾香出演回)(2020)」劇評ページ

★劇評の続きを含む劇評の全体像はこの「note」で有料公開しています。作品の魅力や前提となる設定の説明。平原綾香さん (Wキャスト)、中川晃教さん、伊礼彼方さん、ソニンさん、武田真治さん、剣幸さんらの演技に対する批評などが満載されています。今回は特にアンサンブルに関する感想も盛り込みました。

【注】劇評など一部のコンテンツの全体像を無料でお読みいただけるサービスは2018年4月7日をもって終了いたしました。「有料化お知らせ記事」をお読みいただき、ご理解を賜れば幸いです。

★ミュージカル「ビューティフル」公式サイト

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