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男と女が創り出すダイナミックでセンシティブな言葉の応酬に魅了される…★劇評★【舞台=スカイライト(2018)】

 恋愛中かあるいはかつて恋愛関係にあった男と女の会話というものは、互いの意図や真意を読み合い、言葉の裏や余白に潜んでいるものにまで意味があるのではないかと考えを巡らせながら続いていくもの。ましてや、3年前まで不倫関係にあって、久しぶりに再会した男女の場合、朗らかに懐かしがっていても、けんか腰で言い合っていても、相手のすべての言葉、すべての仕草に神経を配っているはずだ。そんなセンシティブな会話の中に恋愛の真実のありかから英国社会全体の構造的問題までをも内包させたデイヴィッド・ヘアの名作舞台「スカイライト」が若手演技派の筆頭格、蒼井優と文学座の芝居巧者、浅野雅博、そして新進の葉山奨之という魅力的な顔ぶれによって上演されている。しかも、演出は、新国立劇場の演劇部門の芸術監督に就任して、この作品が初めての演出作品となる演出家・翻訳家の小川絵梨子。男と女が創り出す荒れた海のような言葉の波に身を任せる観客の心は激しく揺れ動きながらも、ダイナミックなせりふの応酬にすっかり魅了されている。そんなしっかりとした手応えを感じる仕上がりになっていた。
 舞台「スカイライト」は12月6~24日に東京・初台の新国立劇場小劇場で、12月27日に兵庫県西宮市の兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで上演される。

★舞台「スカイライト」公演情報

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