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コピバン

その昔、『バンドブーム』ってのがあった。

今でもバンドなんてのは世界中に掃いて捨てるほどいるが、ギターを背負って街を歩く長髪の兄ちゃんがやたらめったらいた。

今から30年ほど前のアマチュアバンド群雄割拠の時代です。

みんなギラついてましたね。楽屋もなぜか一触即発でね?ケンカ吹っ掛けられたり、楽器盗まれたりもあったしね?とにかく最低でした。

先輩のバンドを観にライブハウスに行くと、対バンのコピーバンドの『本家さながらの仕上がり』に圧倒されたり、一方では『モノマネ感』が強くて観てるこっちが恥ずかしいってバンドもいた。

『アマチュアバンド』

超絶下手なのにステージから煽られたり、楽屋で講釈たれられたりするとさすがに怒りで震えましたね。

練習はしてるんでしょうけども、『コピーバンド』つってるわりに全然コピー出来てないと言うか、『スコアブック丸暗記しただけやん?』な感じの、プレイも衣装も雰囲気も何もかもが似ても似つかない『コピーバンド』に遭遇することもあった。

音外すとか歌詞飛ぶとか、間違うとかそれは仕方ない。ライブなんで。

『あのドラムの人、コージー・パウエル好きなんやろな?』とか、『あのギターの人、リッチー・ブッラクモア好きなんやろな?』とか、そういうのって伝わるし、なのにそれこそが無い。

何をコピーしたの?

『あのボーカルの人、雰囲気出てたな。』くらいの感想しかない。もちろん客としての聴く態勢や聴く能力にも問題があるとしてもね?

チケット買ってるし、電車賃払って行きますし、貧困学生でしたから、それも相まって怒りしか込み上げてきませんし、飲み込もうにも『ヘタクソー!』言うてましたね。

どこのどなたかは存じませんがその節は大変失礼いたしました。

このメンバーで演奏するからこの演奏になる。オリジナルも、コピーも、セッションも同じくですね。

『コピーできた。スタジオ入った。うまいこと出来た。』そこから本番に向けて仕上げていくのがステージ。課題を見つけて、共有して、それぞれ克服して、やっとまとまってくる。

それ相当の技術を持ってしても、いや、なまじ技術があればあるほどぬかるみに足を取られるのが『バンド』での音楽、まさに『ライブ』なのかも知れませんね。

お客さんに『なんか違う。』って思われるリスクの方が高い『コピーバンド』です。ホント難しい。

『この曲好きやからやろうよ!』で始まるんだとは思う。『やってみた。出来た。楽しいな。またやろう。』でいいと思うんですけども、ステージに立つ以上、早く気づいた方がいいこともあるよ。

今思えば、先輩のバンドの対バンのコピーバンドの取り組む姿勢ですね。あたかも『本家の称号を賭けて戦ってるんか?』ってくらい。

30年経って、そういうのあらためて大事だなと思うし、コピーバンドはやめとこうと思っています。

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