未来展望委員会は「知的基盤」を考えました(仕事と会社はどうなるか篇⑧)(最終回)
「2つの『知的機能』を厚くすることがこれからの鍵です」
「前回お話したように、ロボット、DX、生成AIで便利になり、情報収集や情報編集などの仕事の効率は飛躍的に向上します。しかし一方、失うモノやコトがあります
物事には良いこともありますが、悪いこともあります。なにが良くてなにが良くないかをつかんでから、ロボットやDXや生成AIを使い尽くすことが大切です」
「そうです。とりわけ会社のなかでの『実践する現場』が減ったことで、市場インサイト力が落ち、戦略立案力・マーケティング力が弱くなったことで、企業にとって最も大切な価値変換・価値創造力が落ちていこうとしています。これからの生成AI時代、さらに低下していくことを危惧しています」
「ネットで調べて、現場にいかない、現場を見ない。社内での『仕事」が増えて、お客さまのところに行けない、行かない。企業活動のなかから現場、お客さまが遠のいています。そして、社内で、現場とお客さまの話題が減り、会社論理が優先されようとしています。どうしたらいいと思いますか?」
「そして情報の意味をつかむことです。情報の内容だけでなく、その情報の背景、文脈をつかむことが大切です。そのための現場感覚、お客さまのインサイトをつかむ力を養い、価値の転換・価値の創造につないでいくという一連の流れをまわしていければ、ビジネス力が高まります」
「まず多様に『情報を収集』します。『情報の融合×想像・着想×編集×創造』をまわし『実行』します。その『試行錯誤』での成功・失敗の学びをフィードバックしてまわす。このビジネスの流れのなかに『知的基盤』を組みこみます」
「この図をもとに、DX・AI時代における仕事法を説明します。
① 多層的に情報を五感全体で集める
② 多様な人々との対話によって、情報を融合・結合する
③ 知的基盤を活用して、ありたいモノ・コトを想像して、翻訳・類推・編集していく
④ 新たなモノ・コトを創造していく
⑤ 創造したモノ・コトを、スピーディーに実行・試行錯誤して、洗練させ、社会価値・顧客価値をうみだす」
「『知的基盤』には、『理論的に身につける知的基盤』と、具体的に『実践するなかで身につける知的基盤」の2つあります。見過ごされがちなのが、後者の実践のなかで身につく知的基盤です。仕事をするなかで学ぶ知識・経験・知恵が蓄積された知的基盤です」
「さらに、もうひとつの2つの『知的基盤』があります。ひとつは『個人の知的基盤』で、もうひとつは『会社の知的基盤』です。個人の知識や体験の知恵・ナレッジである知的基盤を、いかに会社の知的基盤に厚くして、会社全体で活かすことができるかどうかが鍵です。個人の知恵・ナレッジを会社の知恵・ナレッジにすることを『ナレッジマネジメント』といいますが、デジタル時代、とても大切な取り組みです」
「ナレッジマネジメントは、また後日、詳細に説明しますが、これから企業人が身につけていきたいビジネス力を、次の3点で説明させていただきます。」
「1.現場・現物・現実を観て、聴いて、心に刺さった事柄を、自らの知的基盤に収納して、発酵させ、他の事例と関連づけ、類推、編集し、ありたいモノ・コト・トキを想像、そのシーンを実現する仮説を創造できる力です」
「2.見えている社会・世界のみならず、見えていない社会・世界から、課題・本質を掘りおこし、新たなアイデアを発想・着想できる力です」
「3.新たな異なる多様な情報・事柄を探索・収集・結合して、構造化・全体を見える化・鳥瞰して、意味を発見し、全体システムを構築する力です」
「このビジネス力が、これまでもそうでしたが、生成AI時代になっても、大切な力です。ぜひ未来展望委員会のみんなも、何度も実践して、試行錯誤して、身につけてください」
「本日の未来展望委員会で『仕事と会社はどうなるか篇』を終了します。次回の未来展望委員会以降、『都市・郊外・地方はどう変わる篇』で議論しましょう」
次回の第19回「note摂津倉庫未来展望委員会」から『暮らし・都市・郊外・地方はどう変わる』篇となり、来年1月7日(火)より配信させていただきます
申込はこちら✍️