見出し画像

「真面目な人が損をする社会を変えたい」香川で活躍する住みます芸人はめちゃくちゃロックだった!

香川県高松市、常磐(トキワ)町商店街にオープンした「かじ笑店」は、無料のお笑いライブや展示イベントが楽しめる新しいスポット。この場所を作った香川県住みます芸人・梶剛さんにYouTuber瀬戸内サニーがお話を聞きました。(住みます芸人:吉本興業が47都道府県に派遣している。各県に移住し、地域に密着した活動で地域貢献をめざす芸人)

知られざる梶さんの苦労話

ー香川を出てから大阪、東京で芸人として活動した後に「住みます芸人」として香川へ。戻ってきた頃の苦労は?

梶:最初はしんどいことしかなかったです(苦笑)。東京で売れなかったから地方に来た、って見られることも多かった。住みます芸人として新しいことをゼロから始めるのに、周りの反応は「何をしてくれる人なの?」って感じで。

梶:周りに芸人仲間がいないのも辛かったです。仕事終わりに反省会もできないし、最初は全部一人でやらなくちゃいけなかったですね。

ー僕も香川でYouTuberを始めたとき、仲間がいなかったのでわかりみが深いです…。

梶:香川でテレビに出始めた頃は「面白いことは言わなくていい、とにかくにこにこしてて」って現場で言われて。じゃあ僕じゃなくていいじゃんって、めちゃくちゃ葛藤がありました。芸人なんやから面白いことやらせてほしいし、ぶつかろうとしたこともあります。

画像1

梶:でも一旦切り替えて、状況を変えたいなら発言力をつけるしかない、とまずは求められることに全力で応えました。そうこうしていたら、たまたまかもしれないけど番組の評判が良くなって。そこから意見を言えるようになりましたね。

ーすぐには自分らしさも出せない、苦労のスタートだったんですね。

梶:4年目くらいから、だんだん仲間が増えました。僕のことを無条件に応援してくれる人、ずっと気にかけてくれている人たちには絶対に恩返しをしたいですね。応援して良かった!って思ってもらえるような活動をしていきたいです。

ー仲間ができるまで4年!孤独な時代はどうやって乗り越えたんです?

梶:真面目にやっている人が損をする社会を変えたい、そんな反骨精神が僕のエンジン。お金が欲しいとか、自分の欲のためには頑張れないんですよね。

梶:地方では、一生懸命にやってるだけじゃ報われないことや、「変えたいけど前例がないから難しい」といった壁がありました。じゃあ僕がやってやる、ってスイッチが入っちゃったんです。

画像2

梶:孤独な時も、孤独がエンジンになった。束になってる人たちに負けないぞ、一人でもやってやる、なんて勝手に闘争心燃やして(苦笑)。僕は嫌な性格なんですよ。

「地方だからできる」チャンスしかない!

ー何をするにも都会の方がいいって考えがちですが、梶さんの思う地方の強みとは?

梶:「地方だから」って、これまではマイナスだったと思うんです。地方だから無理、とかね。でも今は、「地方だからできる」って全部プラスに変えられるし、既にプラスだと思います。

梶:地方は人が密集しなくて過ごしやすいし、商店街を中心にお買い物エリアは固まっていて便利な上に、ちょっと行けば海や山がある。当たり前すぎて見逃しがちなんだけど、ストレスなく生活できるって強みなんですよね。

梶:あとは人のつながり!都会でも人のつながりはあるけど、香川では街で顔を合わせたり、誰かが頑張っている様子を日常的に見聞きする、そんな距離感の近いつながりがあります。

画像3

梶:かじ笑店をやるにしても、都会だったら空いている店舗を探すのも大変だし、家賃も高い。ゼロから何かを始めるときに、ハードルが低かったり、競争相手が少ないのはチャンス!

梶:地方にいるとあれがない、これがない…って考えがちだけど、ないから作れるんです。転がりまくっているチャンスをどんどん利用できる環境にあるし、それを僕の活動で体現していきたいです。

梶剛は、ネタをやらないお笑い芸人?!

梶:実は僕、ネタを作れないんです。コンビでお笑い芸人をやってきた後に香川でピンになったんだけど、最初は司会しかやらなかった。芸人なのに…って最初は悩みました。

梶:でも、誰にも負けない勢いで司会をやりきったら、自分の居場所ができてきたんです。ネタを作る能力がなくても、場所さえハマれば必要とされる。できないことがあっても、何か違う方法があるから諦めなくていいんです。

画像4

梶:今は司会以外にも「かじ祭り」など香川の人に喜んでもらえるような企画や場を作っています。そんなん芸人の仕事ちゃうやんかって言われることもありますよ。でも、僕が作った仕事で誰かが笑ってくれたら、それは芸人と同じ。これが僕のやり方です。

今こそエンタメの力を!「かじ笑店」オープン

ー今日のかじ笑店でのライブ、めちゃくちゃ笑いましたサニ!毎週金曜日にお笑いライブを開催してるんですね。

梶:生で見る漫才は最高におもしろいから、知らない芸人さんでも是非遊びに来てほしいです。かじ笑店の場所を商店街にしたのは、ふらっと立ち寄れるようにしたかったからなんですよ。

梶:嫌なことがあった日も、ここで笑ってから帰るか、って気軽にお笑いを観てもらえたら!コロナ禍で、いろいろとストレスもあると思います。こんなときこそ笑いの力、エンタメの力で元気になってほしいです!

画像5

ーかじ笑店では、お笑いライブは無料なんですか?

梶:そうです!かじ笑店はライスフォースさん、吉本興行のサポートで運営しています。ライスフォースさんは香川の企業。「梶さんを応援することが香川のためになる」って僕の活動をずっと応援してくださっていて。香川をより良くしていこう、と同じ思いを持つ同志ですね。

ー今後、この場所でどんな取り組みを考えているんですか?

梶:お笑いに限らず、音楽やパフォーマンスなど、ライブの数は増やしたいです。あとは、e-スポーツの練習に気軽に集まれたり、大会開催もできたらいいですね。

梶:ここの通りって、学生さんがたくさん歩いてるんですよ。彼らが気軽に入って勉強したり、友達とおしゃべりできる「たまり場」として無料で開放したいとも考えています。

ー展示やワークショップ開催など、この場所を利用するのも無料なんですよね?

梶:無料です!何かやりたいけど、どうしたらいいのかわからないという人や、作品展をやるほどじゃないけど好きで一生懸命作っている、そんなふわっとした人に活用してもらいたいです。

香川を出ても、帰りたくなる場所に

画像6

ー梶さんは「香川を一つに」と伝え続けていますが、これはどんな想い?

梶:香川では、みんなが同じ思いで同じ目的に向かって一致団結することがなかなかないですよね。徳島でいう阿波踊りみたいな。僕は仕事柄、様々な人たちに出会い、それぞれの声を耳にしてきました。いろんな声を聞けた僕がやらなくちゃいけないんじゃないか、と勝手に使命感を感じています。

梶:立場の違う人同士の信頼関係を強くした上で、みんなが好きな香川に、と同じ方向を向いて良い循環を作りたいです。都会じゃこんなこと言えないし、お互いの顔が見える地方だからこそできると信じています。

ー学生さんや若い世代に向けて、メッセージをお願いします!

梶:夢は地方でも叶えられます!それを言うからには、僕が責任持ってその道を作ります。やりたいことや進学で香川を出ても、生まれ育った街に帰ってきてほしいし、帰りたいと思う香川に、僕がします。

梶:僕も一度東京に出ていますが、帰ってきたからこそわかる香川の良さを発信し続けていくし、魅力ある場所にしていくので、注目してもらえたら嬉しいです。

画像7

梶:100年後の香川のために、今活動しています。語弊を恐れずにいうと、目の前の結果は今はどうでもいいんです。かじ笑店や他の企画に来てくれた人、関わってくれた人の気持ちが積み重なって広がり、みんなが好きな香川をみんなで作っていきたいです。

梶:僕はお笑い芸人として自分ができることを真剣にやって、これからも戦い続けます。だから、香川にもチャンスがある、未来があるっていうことを忘れないでいてほしいです!

梶 剛
お笑い芸人。香川県三豊市出身。2012年より「香川県住みます芸人」として香川を盛り上げるべく活動拠点を地元へ移す。テレビやイベント出演の他、「かじ祭り」など香川の人が喜ぶイベントを継続的に開催。「かじ笑店」のお笑いライブでは、ゲスト共にトークを繰り広げている。(Twitter
かじ笑店
高松市常磐町商店街に誕生した、イベントやワークショップ、展示会など県内の人が自由に活用できる多目的スペース。無料のお笑いライブやイベントで商店街から香川を盛り上げる。お笑いライブは毎週金曜日、18時整理券配布、18時30分ライブスタート。ぜひ一度立ち寄ってみてください。
住所 : 香川県高松市常磐町1丁目5−3
営業時間・休館・イベント情報などはTwitterをチェック!
かじ笑店Twitterかじ笑店YouTube

瀬戸内サニーでは、香川県高松市の商店街SNS特集「#冬まち Supported by ライスフォース」を実施中☃️ぜひ瀬戸内サニーのSNSをチェックしてね!
FacebookTwitterInstagram

Written by 小林繭子 
Photo by 太田亮

この記事が参加している募集

この街がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?