クライマックス(二〇二一年八月)
蛇の窓やわらかに幼少の音階なり 天国の隣にはわたしがいるから
内臓のきらめくようなときめきに雫する男、メロンも青くようやく
活字刷る 菜の花の覚めるころよりあなたはあなたの陰謀論者
劇場が欠けているところがアンドロメダ キラ・ヤマトが悪いから誘い受け
ふたつ繋がり色の真夏に消えていきせりだしてくる桃の幽霊
心は苦い脳は甘いラッキーストライクは熱闘甲子園
でもそうじゃない夜だってキラアスとアスキラの星にうまれてる
虹色の薔薇咲くようなこの無駄に令和生まれでしかないわたしだけ
月で書きたい月で書きたい 回り道 習ったことを忘れたかしら
あなたのほうがわたしをずっと好きなのに歌いたい 歌集のために捨てられる歌
二上を繰り返しては少年は青年の足に醤油をかけて
ああ折口よきみを泣く駄作のみにて愛は成るべし