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星座売り、と小池純代は言った(二〇二〇年四月)

前略の門(かど)をくぐりて歩むどち語らひながら草草(さうさう)の野へ/小池純代

瞠目し桃鰰と一途染めとおのねむりの菊八幡宮

行く春の燈(ともし)のしたにだれもだれも腸(はらわた)をしもたたみをさめて/小池純代

氷くるまトーマスやらね薄荷に抵当のぼんぼり落とそ

母の名は季節の名とぞ聞きてよりくりかへしたり春夏秋冬/小池純代

庭潦一掬の頬桃の胴ほとり迷子に面当てたがる

午後(ひるすぎ)の窓を越ゆなるソナチネの木末(こうれ)の小梅な落ちそな落ちそ/小池純代

新妻の東京しんがり唇のハイアラーキーとれたてなれど

少女子(をとめご)があやとりをすもあたらしき國つくるがに息をころすも/小池純代

仏ゆるむ珈琲とみどり廃案を以後二十歳せよほとほと飽きて

まなざしのナイフをうてば総身(そうしん)をもてうちかへす虹の日の鹿/小池純代

長崎, his,   蜂蜜要らぬ根の音のほんと係りの夕映え係り

夏空を淺くかぶりて荒磯へゆかな帽子の縁(ブリム)ゆらさな/小池純代

又真摯瞳は苺くぐり獣look like炙り然も最も



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