キングジムから学ぶ、ローランド・ベルガーの戦略予想というか希望

キングジムの「寄り添うツイッター」拝読しました。

読み終わって思ったことは、これはもう職人の領域に近いところだな、と思いました。中の人を前面に押し出しての、親近感を与えつつ、企業への信頼を増すツイート。

天才やな!

キングジム、いや、ここはキングジム先生と呼ばせていただきたいですが、キングジム先生のような中の人を前面に押し出す企業アカウントってそんなに多くはないですんよね。SHARP、タニタ、東急ハンズ、井村屋…などなど。

この路線の企業アカウントで、最近、彗星のように現れたのが、コンサルティングファームのローランド・ベルガー。

あれよあれよと言う間にフォロワーを積み重ねっていますが、それを見ていて思ったのが、今後このタイプの企業アカウントスタイルは、 BtoB企業に増えていくのかも、と思いました

なぜなら、広告宣伝の色合いが薄く、クレーム対応が少ないから、です。

2種類の企業アカウントの運用方法

マクドナルドの元CMOでナイアンティックの足立光さんが、その著書「あなたの知らないマーケティング大原則」という本にこう書いていました。

将来的には別のメディアが出てくるかもしれませんが、今現在、話題化したかったらツイッターというのが唯一の選択肢です。

そんな、マーケッターにとって攻略必須感のあるツイッターですが、実際、’マクドナルドのツイッターは300万フォロワーを越え、日本有数の活気ある企業アカウントになっています。

でも、見ていると、明らかにキングジム先生とは発信の方法が違うことがわかります。基本的には、一方的にツイートを発信するのみで、反応するとしたとしても、リツイートを無言でする程度です。

多くの企業アカウントはこのマクドナルドのタイプを選び、「新製品が出たよ!」とか「リツイートしてくれたら抽選で新製品をプレゼント!」というような運用をしていきます。

理由の一つが、じわじわとファンを増やすキングジム先生スタイルは、短期間での効果を実感しづらいからです。本の中にもこう書いてあります。

これは、広報と広告宣伝の違いとも言えるでしょう。広報は「知ってもらう」こと、広告宣伝は「売ること」が目的。そしてキングジム公式ツイッターの目的は広報であり、宣伝ではありません。(中略)

売ることを目的にすると、短期的には成功するとしても、長期的にはデメリットが大きい、と。なぜなら、そうした発信者の「色気」を、生活者は敏感に見抜くからです。「友人だと思っていたのに、結局買わせたいだけ?」と思われた瞬間、コツコツ築き上げてきた関係性は崩壊します。

長期的な視野のもと、コミュニケーションを重ね、ずっと支持してくれるファンを増やすほうがはるかにプラスです。

なので、このキングジム先生のスタイルは、純粋に「広報」の目的でいいからツイッターをやりたい!という企業に向いているスタイルということですね。BtoB企業、ぴったりですね。

リプライ対応って難しくないですか?

さらに、難しさに拍車をかけるのが、リプライ対応。気の利いた一言を返す難しさはもちろんですが、ネガティブなツイートに対してのリプライはそれに輪をかけて難しいところです

本の中でも、「閉鎖しろ。ツイッターなんかやらずに株価をなんとかしろ」というツイートをもらったとあります。私が担当者で、こんなツイートもらったら死んでしまうと思いますが、顧客接点の多い企業はクレームの量も増えていくと思うので、ここの対応の難しさは指数関数的に増大していくわけです。

なので、多くの企業では「そもそもこのアカウントは返信をしないアカウントなんです」というポジションを取りながら、顧客対応は別の窓口で行うというやり方をしているわけです。

ここで思うのは、BtoB企業だったらそもそもクレームの量が少ないだろう、ということ。

マクドナルドだったら「こないだの新製品、美味しくなかったんだけど!」というツイートを受け取りうるでしょうが、ローランド・ベルガーに「こないだ受けたコンサルティングの提案、全然よくなかったよ!」というツイートはほぼ皆無でしょう。

ということで。

ローランド・ベルガーが、「弊社には独自のツイッター中の人スタイルの運用のノウハウがあります!」と言いながら、今後、BtoB企業に、ツイッターでの運用をゴリゴリ提案するようになると面白いなあと思ったりしました。

今後もツイッターの企業アカウント動向を学んでいきたいと思います。

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