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読書記録2022年10,11月に読んだ本

 こんにちは、せ→る→です。

 本日は『読書記録2022年10,11月に読んだ本の紹介&感想』です。中には微妙な感じの作品もありますが、あくまで私の好みなので 笑

 10月の読了本がシリーズものばっかりになってしまったので、11月と同時投稿にしました。

※登場人物の名前は太文字
※あらすじ程度のネタバレあり

「雨の降る日は学校に行かない」相沢沙呼

 めちゃくちゃ良かった!好きすぎるっ!

 学校生活で息苦しさやモヤモヤを抱えている中学生たちの短編集で、六つのお話が収録されています。
 とにかく良いんですよ。一番好きだったのは「好きな人のいない教室」です。

 ここでの主人公・森川さんはいたって普通の女子中学生。普通って言葉を使うのは失礼かもしれないけど…クラスメイトのいわゆる陽キャたちのテンションに面倒くささを感じていました。
 あるとき、隣の席の岸田くんとのちょっとしたやりとりを、付き合ってるんだなんだとからかわれてしまいます。そのからかいがどんどんヒートアップしていく、という物語です。

 いや…よくありますよね。男女で歩いてるだけでカップルだー、教室で話してるだけでヒューヒューと騒いだり、中学生はほんと特に多いです。
 誰が告白したとか誰が付き合ってるとか、もうほんと噂がすぐに広まる。

 教室のみんなのことなんて、関係ない。
 だって、わたしたちは、たまたま同じ年に、たまたま近くで生まれただけに過ぎない。(中略)自分に嘘をついてまで、そんな繋がりを大事にする必要なんて、ほんとうは、どこにもないんだ。

「雨の降る日は学校に行かない」p66

 私は、そんなに友達は多くないです。わざわざ連絡を取ってまで会おうと思う友達は片手で足ります。高校時代に親から、〇〇ちゃんのグループに入りなよ、と言われたことがありまして。びっくりしましたね、当時。
 もう一か所引用します。

 スカートの短さは、教室での地位を表す。短ければ短いほど、教室の中では輝ける。逆に、校則を守っているお利口さんは、スカートが長くてダサくて、勉強ばかりして暗くてキモい。

「雨の降る日は学校に行かない」(p117)

 この部分読んだとき、うわぁぁぁって叫びました。心の中で。たぶんみんな思ってることかもしれません。私は膝が全部隠れる長さでしたね 笑
 でも都会の子ってスカート丈長い子いなくないですか?東京行ったときとか、あまりの短さに驚きました。制服のスカートって長い=ダサいんですかね?そもそも折るのが面倒なので、私はそのままだったんですが。

 ということで、親に言われた〇〇ちゃんは、スカート短い軍団だったんです。「いや、話合わないし、無理だよ」と言っても、自分から話しかけにいかなきゃとか言われました。

 なんで親に友達決められなきゃいけんのよっ!
 引用部分のように、噓ついてまで居づらい子と一緒に居る必要ってないですよね。時間の無駄だし、楽しくないし。

 共感するところもあるし、グッとくるところもあるし、ほんと素敵な作品でした。相沢さんの「教室に並んだ背表紙」も大好き。この作品も大好き。

「神さまのいる書店 まほろばの夏」三萩せんや

 面白かった!!!すっごく!!!

 本好きの高校生・紙山ヨミは、司書教諭のノリコ先生から夏休み期間に本屋さんでのバイトを勧められる。紹介された「まほろば屋書店」は、魂の宿る生きた本を取り扱う不思議な書店だった。

 本が題材の作品って良いですよね……とても好みの作品でした。本に命が宿っているってそれだけでもうワクワクします。

 主人公のヨミは超絶不器用。字を書くのも下手だし折り紙で鶴も折れない。だから今まで、手先を使うことは避けてきました。
 ですが、書店でバイトをする上で本の補修をすることになり、頑張ってみようと努力を重ねます。周りから無理だと言われても根気強く練習するヨミがとても素敵でした。好き!

「神さまのいる書店 冬を越えて咲く花」三萩せんや

 上記作品の続編。とっても面白かった~!

 生きた本を扱う「まほろば屋書店」でバイトを続けていくことになった主人公のヨミ。そこに、新しい仲間・メイがやってくる。その子は自らの本体である本を破いたり傷をつけたりする自傷本だった。
 なぜ自分を痛めつけるのか……ヨミはボロボロになっているメイを補修していきます。

 このシリーズを読むと、本をもっと大切にしようと思えます。もっともっとたくさんの本に出会いたいと思わせてくれます。
 私もまほろば屋書店に行きたい!本と友達になりたい……

「神さまのいる書店 想い巡りあう秋」三萩せんや

 三巻目!
 今作では、主人公・ヨミが高校三年生になっています。進路に悩む中で「まほろば屋書店」の店主・ナラブに相談を持ちかけ、彼が書店を始めるきっかけを知ることになる……

だって、自分の目的地が見えているのなら、そこに一直線に進んだ方が早いでしょう。その道は一般的でなくたって、正解かもしれないわ

「神さまのいる書店」(p128)

 上記の引用部分は、ヨミが通う高校の司書教諭・ノリコ先生の言葉です。担任だけじゃなく、気軽に相談できる先生がいるってすごく羨ましいなぁと思いました。
 色々な選択肢を与えてくれる素敵な先生です。

「いらっしゃいませ 下町和菓子 栗丸堂」似鳥航一

 浅草にある和菓子屋『甘味処栗丸堂』の店主・栗田は、恋人のと旅行に行くことになった。しかし、観光を楽しむはずが、なにやら面倒事に巻き込まれていく。

 えー……まさかの続編の一巻目でした 笑

 とはいえ問題なく読み進められたのですが、やっぱりキャラクターの背景がわかっているのといないのとでは、楽しさに差が出ますね 汗
 キャラの性格がイマイチ掴めませんでした。パッとしないというか 笑 そんな感じです。(どんな感じ)

「法律は嘘とお金の味方です」永瀬さらさ

 主人公・吾妻つぐみは、噓をついている人の顔が歪んで見えるという特殊な能力の持ち主。祖父・正義の弁護士事務所でバイトとして働きながら、依頼に首を突っ込んでいきます。

 面白かったですー!特殊能力と聞くとファンタジーっぽい感じはしますが、遺産相続や詐欺などの現実的な事件(?)を解決していきます。
 私は特に四章目が好きです。要所要所の登場人物たちのセリフにハッとさせられました。

 噓をつくのは何かを隠すため。何を隠しているのか、果たして噓の全てを暴く必要はあるのか。難しい問題です。

「法律は嘘とお金の味方です 2」永瀬さらさ

 二巻です。こちらも面白かった…!

 今作では正義の弁護士事務所に、大学生のアルバイトとして墨田大介という仲間が加わります。表紙のイラストを見た限りでは、ちょっととっつきにくい感じの人なのかと思ったら、結構良い子でした 笑

 この作品はキャラクターがすごく魅力的だなぁって思います。ポンコツな検察も出てきます。めちゃくちゃ笑いました、好きです 笑

 争いで裁判のシーンとかが描かれているのですが、正義は依頼人に対して、相手を負かすのではなく自分が勝つことを考えろと言うんです。相手の悪事を暴いて広める(=相手を負かす)ことをしたとしても、もしかしたら逆恨みされるかもしれない。
 だったら、悪事を黙っている代わりにどのくらいのお金をもらえれば今後の生活に生かせるか、どうすれば今後の生活がしやすくなるかを考える。

 一見お金で解決しているだけに見えるけれど、誰かに対して怒りや妬みを持っている時間と労力の方が無駄ということです。それだったら、もらえるもんはもらえるときにもらっとけって感じですかね 笑

 個人的にはすごく刺さりました。
 やっぱり、自分が嫌なことされたのに、なんであいつは平然と生きているんだ、地獄に落ちろ、苦しめばいいのに、とか考えちゃうじゃないですか。そんなときに、頭をパッと切り替えられたらかっこいいなと思います。

「図書館の神様」瀬尾まいこ

 早川清は、名前の通り清く正しく生きてきた。けれど、高校時代のある出来事をきっかけに、どんどん投げやりになっていく。
 成長したは、臨時教師として雇われ、文芸部の顧問になる。唯一の文芸部員・垣内くんと静かな時間を共有していき…?

 サラッと読めてしまう文章なのに、ところどころ「ん?」と足を止めてしまうような素敵な表現がたくさんありました。

雨って、昔自分が流した涙かもしれない。心が弱くなった時に、その流しておいた涙が、僕達を慰めるために、雨になって僕達を濡らしているんだよ

「図書館の神様」(p99)

 上記が私が一番好きな部分です。もしこれを誰かが言っていたら、ただのかっこつけかよ、って思っちゃう気がしますが、文学として読んでいるからこそ「良いな!」となります。面白かったです!

「長浜高校水族館部!」令状ヒロ子

 久々の児童書。
 愛媛県に実際にある長浜高校の水族館部を舞台にした作品。校内に水族館があり、魚の飼育や繁殖、定期的なイベント、研究をして大会に出るなど多岐にわたる活動をしているそうです。

 いやいや、すごくない?
 私の高校には、目新しい部活がなかったので、こういう珍しい部活ってすごく羨ましいなって思います。生き物を研究して、商品開発なんかもしているみたいですよ?すごすぎです…

 実話をもとにした生徒たちの日々が描かれています。青春が詰まった物語でした。

「水を縫う」寺地はるな

 すこぶる好きな作品でした。最高かよ。まずタイトルめっちゃ素敵。綺麗。
 全六章の家族の物語。正直、家族をテーマにした作品が苦手で、避けてきたのですが…めっちゃ良かった、めっちゃ面白かったです。

 私はいつも登場人物の名前と好きな文をメモしながら読んでいます。この作品は、好きな部分が多すぎてメモの手が止まりませんでした 笑 ほんとは全部引用して紹介したいくらいです…

 第一章の語り手は、手芸が趣味の高校生・松岡清澄清澄の姉・水青の視点で描かれる第二章が私はお気に入りです。
 水青は小さい頃のある出来事の影響で、女の子らしいものや華やかなものが苦手になります。結婚するにあたり、ウエディングドレスを着ることになったが、どれも好みではない…そこで、弟の清澄が作ると言い出します。

 清澄水青の要望を聞きながら、ドレスのデザインを考えていきますが、二人の「良い」「似合う」「可愛い」はもちろん違います。
 周りから可愛いと言われても、自分が納得いかない服は嫌ですよね。それが大事なときの服となればなおさら。共感するところばかりでした。

 いやぁ…ほんとさ…めっちゃ好きなのにそれを文章にできない…私の表現力のなさよ…
 最後に一番好きなセリフを引用して終わります。

伝える努力をしてないくせに『わかってくれない』なんて文句言うのは、違うと思うで

「水を縫う」(p67)

「その意図は見えなくて」藤つかさ

 くぅー!面白かった!
 第42回小説推理新人賞受賞作を含む連作短編集。私は第二章の「合っているけど、合っていない」がお気に入りです。

 学校を舞台にしたミステリ作品でした。連作短編ではありますが、この作品の主人公(だと思う)・清瀬は、とても落ち着いた子です。周りの人たちのように、事件を起こした犯人は誰だ、と躍起になることはありません。
 だけど、誰よりも事件に対して真剣。なんでこの出来事が起こってしまったのか、それで傷つく人はいないだろうか、黒幕はどんな想いで実行したのか。

 清瀬は自己犠牲がすごいなと感じます。表情にも出さないし、弱音や愚痴を吐くこともしない。いつか潰れるんじゃないかと心配になる人物でした。
 清瀬の先輩である佐竹さんがかっこよく、魅力的です。清瀬を頼んだぞ…

 一文、引用します。

透明な溜息を、青い空に打ち上げる。

「その意図は見えなくて」(p187)

 ここ、めちゃくちゃ素敵じゃないですか?
 溜息って、疲れたときとか落ち込んだときにすることが多いと思います。下を向くイメージもありますよね。
 なのに、この一文。上なんですよ、上。オシャレすぎません?めっちゃ好き。

「ノッキンオン・ロックドドア」青崎有吾

 不可能事件担当、御殿場倒理と不可解事件担当、片無氷雨。探偵バディミステリです。探偵と助手っていう形ではなく、二人とも探偵だけれど、得意分野が違う相棒、新鮮でめっちゃ良きでした…!

 七編収録されています。お気に入りは第六章の「十円玉が少なすぎる」です。他のお話では倒理もしくは氷雨が語り手ですが、このお話では二人の探偵事務所でバイトをしている高校生、薬師寺薬子の語りになっています。

 依頼がなかなかない中で探偵二人は、薬子が遭遇した不思議な男性についての謎を解くことになります。
 その男性は、薬子が通学途中ですれ違った人。なにやら電話をしていたという。そして「十円玉が少なすぎる。あと五枚は必要だ」と発していた…?

 探偵ものって、探偵がスパーンと解決する印象があったのですが、今作の探偵バディは、片方がいいところまで推理して、もう片方がゴールを決めたりするんです。
 ちょっとした見落としで、推理が上手くいかない二人がなんだか可愛いなぁと思いました 笑

 殺人事件とか普通に登場しますが、血みどろではないので読みやすかったです。

「やがて飛び立つその日には」石野晶

 主人公の名前は花守ひばり。花守家の娘はこの世に一人しか存在できず、ひばりは十五歳の頃にその秘密を知る。子どもを産んだら自分が死んでしまう…ひばりの成長する姿、苦悩する姿が描かれています。

 うーん……(苦笑)
 子どもが男の子だったら、生きられるのでは……?その辺の設定が個人的には「ん?」って感じでした。

 込められたテーマはわかるんですが、私自身が子ども欲しいと思ったことがないので、感情移入できませんでした 汗

「トビタテ!」野原くろ、エスムラムダ

 LGBTQ+に該当するかも…?と悩む六人の高校生たち。最初の方は漫画で、そのあと各キャラクターごとの想いがエッセイ調で書かれています。

 web小説でセクシャルマイノリティを題材にした小説を読んだことがきっかけで、もっともっと勉強したいと思い、手に取りました。
 結構ネットでも調べていたので、物足りなく感じてしまいましたが 笑

 L,B,Tに関して書かれているものは多いのですが、それ以外のものってあまり見かけないです…アセクシャル関連の本、もっと読んでみたいなぁ。おすすめあれば教えてくださいー!

「僕は上手にしゃべれない」椎野直弥

 ボロ泣きでした。

 みなさんは「吃音」って知っていますか?私は最近たまたま見たYouTubeで知りました。吃音は、言葉がスムーズに出ないこと、発達障害の一つと言われています。

 例えば「おはよう」という言葉。「お、お、おはよう」と繰り返す"連発"「おーはよう」と伸びてしまう"伸発"「…………おはよう」と言葉がなかなか出ない"難発"の三種類あるそうです。

 物語の主人公・柏崎悠太はそんな吃音を持っていて、主に連発の症状に悩んでいます。悠太は中学で、吃音を治すために放送部に入部。先輩の立花孝四郎や姉の、クラスメイトの古部加耶たちとぶつかり合い、支え合いながら成長していく物語。

 読み始め数ページで「あ、これ、絶対面白いわ」と思いました。ビンゴです。

 なんで、あんなことするんだろう。簡単に人をバカにしたり、笑ったり、傷つけたり。ああいう人たちはなんで、それをやられた側がどういう気持ちになるかわからないんだろう。

「僕は上手にしゃべれない」(p216)

 この部分、多くの人に伝えたいです。

 悠太の想いがダイレクトに伝わってきて涙が出ただけでなく、特に姉のの言葉が刺さりました。かっこよすぎるんですよ。

 久々に小説でボロ泣きした作品。出会えて本当によかったです。よく見つけたぞ自分。すごいぞ自分。

「声の在りか」寺地はるな

 またまた寺地さんの作品!
 今作の主人公は、小学四年生の息子を持つ母・希和。子どもや夫、ママ友との関係に悩み、成長していく物語です。

 とっても良かった。特に、夫との関係の変化が絶妙。ほんっと絶妙!ぜひ読んでください。

 いつからか自分の考えを持たなくなった希和

誰かになにか想定外のことを言われた時、とっさに言葉を返すことができない。何日も考えてようやく「ああ言ってやればよかった」という言葉を見つけ出す。

「声の在りか」(p95)

 共感がすんごいっ!私もよくあります。頭の回転早くなりたいなと常々思います。

 繊細な希和ではありますが、とてもかっこいい人だと私は感じました。誰かに何か嫌味を言われたとき、彼女は絶対その場しのぎの「ごめんなさい、すみません」を言わないんです。
 希和は強いです。私はすぐ謝っちゃうタイプなので。謝れば済むと思っているというより、萎縮すると無意識に出ちゃうんですよね。

 中学のときなんて、部活の試合で失敗するたびに「すみません!」って連呼してました。周りの子は全然そんなこと言ってなかったのに 笑

 優しく紡がれる物語です。最高でした。

 以上、読了本の紹介&感想でした。気になった作品はぜひ読んでみてください~!

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