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そばはおいしい

そばはね。本当においしいものです。まあ、アレルギーの人もいるでしょうからみなさんどうぞとはいかないんですが。

ぼくは基本的にそばが大好きで、コンビニの固まったやつでもよろこんで食べるし、立ち食いそばも大好き。最近はゆで太郎なんて強者も出てきたので量販的そば屋さんも全然なめちゃいかん状況になってると思います。

とはいえ、マジでうまいのはやっぱり個人経営でしかもどこかで実績を積んだうえでやってるところ。

そばの技術的な解説は素人のおれなんかじゃなくて下記を参照いただければ十分と思います。

そばは難しくない

これは相模原小渕にある与衛門というお店の大将が言っていることです。

与衛門はもともと東京目白で営業していました。都心だと夜酒も出さなきゃならないし昼も営業しなきゃならない。大将も女将さんも体力的限界を感じて商売関係なくそばに専念できるということで移ったようです。

まあもちろんおいしいそばを食べさせてくれるんですが、こういっちゃなんだけどおんなじくらいのそば自体はほかでも食べたことがある。

もちろんおいしいんだけどね。

新そばなら素人でも打てる

これも与衛門の大将が言っていることです。おわかりのとおりそばってのは粉なんで水を混ぜてやらないと形にならない。ちなみに与衛門は二八です。

長年やっていると、こねているそばと水の混ざったやつのどこに水が多いか、足りないかってのが感じられるようになるそうです。職人技ってやつでしょう。

それが均一になっていないといざそばとして切って茹でたときにばらばらになってしまう。よくある脱サラそば屋のそばですね。

初心者はたいていコンディションが最高な新そばの粉を使って打ってみて「おれにもできる」って勘違いするんだそうです。

ひどい場合には修業もしてないクセにばらばらのそばを食わせて「そば道場」なんてやってたりする。教えてる方も習ってる方もホントにおいしいのを知らないのでカルトみたいなもんですね。

2000円もぼったくられて2時間待たされ(ホントだよ)、冷めているのに火の通っていないてんぷらとバラバラで水浸しのそばをよこされたことがあります。

そんな話を与衛門の大将に話すと「あ。ああ。」だけ言って、新そばがいかに打ちやすいか、しかしそば屋ってのは年間通しておんなじそばを出さなきゃいけない、そのためにはなにが必要か、って大学の4単位分くらいの話をしてもらいました。

そば粉が一番劣化する梅雨~夏ごろにいって「うまい!」と思うようなおそば屋さんはホンモノですから見逃さないように。ゆで太郎も侮れないんだけどね。

そば屋がなくなっちゃいけない理由

上述のとおり、そば自体は難しくないそうです。おれはできないけどさ。

ぼくがうまいって本当に感動したそば屋ってのは、1.つゆ、2.雰囲気

これに尽きる。

つゆは本当に奥が深いそうで、材料にカネがかかるのはもちろん、やりゃあいいってもんじゃあない。しかしそばなんて特に味の濃いものではないし、歯ごたえだの、のどごしだの香りといった弱々しいものを楽しむ代物なんですよ。

なので、つゆがうまいかそうじゃないかで大方の勝負がついてしまう。

おれなんかそば食ってる時間よりそば湯飲んでる時間の方が長いからね。きっとみんなそうだと思う。それくらい大事。

それができる店の雰囲気も大事。入った瞬間に「引いたな」と思えるお店はうれしい。

つゆと雰囲気の問題はどうしたってチェーン店ではムリなんでね。

もちろんひどい目にも遭った

おれもまだまだだな、と思うんだけど、せがれと二人旅をしていた時にやたらたくさん「手打ちそば」とののぼりが立っていて、なんとなく行ってみたら古民家的なそば屋。

メニューを見ると不当に高いので、最も安いのを頼んだところ店主らしき男はあからさまに不満そうな表情。

しかもいつまで経っても出てこない。10人近く雇ってるのに。

ようやく出てきたそばを写真撮ろうとしたら店主曰く「伸びるぞ」だと。しこたま待たせてよく言うよ。店主は店内を回り(おれたち以外の)客に「うまいだろ?」と言って回る。

おれは運転があるので頑張って完食したが、そばにはうるさいせがれはほとんど食べれずほとんど残した。

あれもいわゆる脱サラそば屋だったんだろうな。先述の道場もたぶん脱サラそば屋だろう。やめてもらえないか。

そばをなめるな

脱サラそばをさんざんバカにしてきましたが、上述の与衛門も実際のところ脱サラそば屋です。

ただし、千葉の本八幡にある名店、一茶庵(鎌倉の一茶庵とは関係ないと思う)に脱サラして弟子入りし、修業ののち目白で独立して現在に至る正しく厳しい道を来た職人さんです。クソ道場とかとは全然違う。

いっぺん、大将が修業した一茶庵へ行ったときあらゆるしつらえが与衛門とおんなじだったことにちょっと感動した。ただし、そばもつゆも少し違う。そうやって発展していくんですよ。

アメリカ人にはウケなかった

北海道にも「そば哲」という名店があります。

ぼくの元ボスたちが北海道へ観測にきたとき、「日本の食文化をぜひわかってほしい」と案内しました。

あんま、わかんなかったみたい。

「そば湯を飲んでこそなんだよ」と勧めても、「それ、麵を茹でた廃液だろ?やだよ。」的な感じで拒絶されてしまった。

そば湯でそば粉の香りやつゆのクォリティがわかるのに。。。

ま、しょうがないね。アメリカンだもの。

おれはそばが好きだ

結局ね。ぼくはそばが大好きなんですよ。

悪意に満ちた脱サラそばでなければコンビニの固まったやつでもいいし、普通の立ち食いでもいい。

おいしいよ。おそば。そのためにまたバイク旅したい。

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