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【USCPAやで】日商簿記1級からのUSCPA受験体験記(働きながら)

受験を通して気付いた点を取り留めもなく書き殴ったNoteです。参考になる部分があったら幸いです。

↓こちらもどうぞ。

で、試験結果はどうだったの?

2022年5月12日 A校入校
2022年5月28日 単位取得完了、同日USCPAの勉強開始
2022年8月 FAR受験(模試70、本番92)
2022年10月 BEC受験(模試77、本番91)
2022年12月 AUD受験(模試75、本番85)
2023年3月 REG受験(模試72、本番93)

どんなやつなの?

大学:そこそこの国立(会計単位はほぼ取得していない)
会社:そこらへんにある事業会社
キャリア:営業70%・海外アドミ30%、経理部署未経験
留学・海外駐在:経験なし
勉強開始前の保有資格:日商簿記1級、TOEIC 905点、公認不正検査士(試験合格のみ)

何で取ろうと思ったの?

  • 会計 x 英語 x ITを伸ばしたい自分の軸に合致した。

  • 業務上、監査・内部統制を学びたかった。

  • 海外駐在する場合に役立つ。

  • 多分、世間の評判>資格取得難易度でお得。

日商簿記1級とUSCPAを取得した意味

相互にシナジー効果があり大いに意味があった。オススメしたい。

  • 日商簿記1級は、日本の会計基準で簿記分野を深く学べる。

  • USCPAは、米国の会計基準で簿記分野は薄く、会計はある程度学べる。また、監査・内部統制が学べ、英文会計に慣れることが出来るのも強み。

この二つを取得することで、グローバル企業のカネが絡むアドミ(経理部、財務部、予算管理担当部、監査部…)の業務について網羅的・体系的に理解が出来、何を話しているのか分からない状況は無くなった。
会社はセールスとアドミから成り立っていて、どちらか一方だけ居ても成り立たない。セールス・アドミの双方を理解し、会社の全体最適を考慮し、双方が納得出来る落としどころを作れる立場になれたのは本当に良かった。
USCPAはセールスでもアドミでも誰でも取得して損はないジェネラリスト向きの資格であって、経理部員用スペシャリスト向け資格ではないのかもしれない。

(参考)醜い難易度比較

  • 簿記(Bookkeeping)は取引を帳簿に記録すること、会計(Accounting)は取引を帳簿に記録し、それを基にIRへ説明(account)すること(disclosure)。本来的には範囲が広い会計の方が難しい。

  • JCPA・USCPA・日商簿記ともに取得後も継続して学習する必要がある。

  • JCPA・日商簿記1級・2級は仕訳を切れないと合格出来ない。USCPAは出題形式の特性上、仕訳をあまり理解せずとも合格可能(実務では仕訳を交えて会話出来ないと使い物にならないが…)。

  • 私見だが難易度は以下の通り。JCPAは問題をざっと見ての想像。
    簿記分野難易度:JCPA>>日商簿記1級>>>USCPA>日商簿記2級
    資格取得難易度:JCPA>>>USCPA>>日商簿記1級>>>>日商簿記2級

USCPA試験への日商簿記1級役立ち度

日商簿記1級の学習内容はUSCPAの試験において余すところ無く役立つ。どんなところに役立つかは以下のとおり。

  • FAR:日米会計基準の差異と公会計を抑えればInput終了。勉強時間を約半分に圧縮可能。

  • BEC:管理会計と意思決定部分を丸々Skip可(日商簿記1級の方が遥かに難しい)。

  • AUD:FARをベースにした科目だから役立つ。

  • REG:役立たない。

英語力と、TOEICの役立ち度

USCPAの勉強を開始する直前までTOEICの勉強をしており、スコアは905(単語力は、金・銀フレを概ね覚えている程度)。留学・駐在経験なし。
結論、英語が支障になることはなかった。USCPAの学習中、知らない単語が1科目あたり30語程度(REGは倍)あったが覚えればよいだけ。本番では固有名詞を除けば平易な単語・文法が使われる(文学の試験ではない)。
TOEICで得た速読力や、複数資料を確認して答えを導く出題形式(ダブルパッセージ、トリプルパッセージ)に慣れていたことは、USCPA試験にも活きた。

公認不正検査士(CFE)の役立ち度

内部統制分野が重複するからBEC・AUDに役立つはずだが、USCPAを受験する頃には全て忘れていたので貢献しなかった。

日本の試験と米国の試験の違い

  • 日本の試験
    問題文で過不足ない情報が与えられるから、例外事項など枝葉の論点が問われやすい。とにかく細かい知識を知っているかが問われる。

  • 米国の試験
    問題文で回答に不要な情報も与えられるから、基礎を理解していないとどの情報を使用すればよいか分からず失点する(応用論点だけ覚えていても点数にならない。受験生の正答率が高い問題の配点が高いから、基礎問題を落とすと失点も多い)。超基礎的な問題も多く出題されるから、「こんなに簡単な問題が出題されるはずがない、隠された論点があるはず」と疑心暗鬼になる。

独学の可能性

可能かもしれないが勧めない。

  • 受験制度が複雑で、勉強以外で膨大な時間が必要。

  • 多くの場合に追加単位の取得が必要だが、予備校を利用することで簡単に取得可能(受験やライセンス取得には、州が定める単位が必要。総単位数150、会計単位24…といった単位要件があるが、取得済みの人は少ない)。

  • 学習自体は洋書を購入すれば可能だが、日本語教材で勉強した方が早い。ケチる必要は無い。

予備校選び

アビタスがオススメ(紹介可能、値引きを受けられます。ご相談下さい)。多くの不満点があるが、以下のメリットだけでアビタスがオススメ。

  • 日本国内合格者数トップ。受験生の正答率が高い問題の配点が高くなる試験だから、皆が出来る問題が出来ることが重要。合格者数が多い予備校のプログラムで学習することは合格に近づく。

  • 単位試験を自宅で受験出来ることは大きなメリット。

  • 受験サポートの体制が整っている(受験制度に関する質問は早急に的確なアドバイスがもらえる、受験マニュアルが整っている等、勉強以外に要する時間が少なかった)。

  • 新宿本校では、自習室からの眺めが良い。

不満は数えきれない程にあり、それだけで飲み会を開ける。日商簿記1級から流れ着いた人は、教材の完成度の差にまず苦しめられる。

どのくらい勉強した?

FARは294時間。以降は不明(時間より問題演習量が大切と感じたため、記録を止めた)。

  • 暇があったら勉強、暇がなかったら時間を作って勉強。

  • 平日は、通勤時間・朝カフェで計1時間、帰宅後3~4時間(残業はほぼ無し)。妻の協力により平日育児は入浴のみ。

  • 土日祝日は約5時間。

  • 有給休暇を取得し、出勤したフリをして一日勉強する日を作った(REG試験直前にバレた)。

  • 2022年11月~2023年1月は独身タイム(2人目の里帰り出産)により勉強時間が確保出来た。

毎日勉強する習慣を崩さないことが最重要。これを守ればプライベート全てを犠牲にしなくても良い。

BEC・AUDの受験順

結論、簿記の経験があるならBECが先、無いならAUDが先が良いかと思った。新試験制度を考慮しなければ、FARが最初、REGが最後の順番に異論はないはずで、BEC・AUDのどちらを先に受験するかが論点。

  • BEC vs AUD(内部統制)
    BEC・AUDともに内部統制が出題される。BECは定義を暗記すれば解ける問題が多い印象、AUDはケーススタディを通じた応用問題がある印象。内部統制の学習に着目すれば、まずBECで触りを学び、AUDで深く学ぶ方が良いと感じた。

  • FAR vs AUD
    AUDではある取引をどのように誤ると財務諸表にどのような影響を与えるかといったFARを基礎とする出題があるが、FARの基礎的な部分を理解出来るならば対応可能。つまり、会計初学者でFARを何とか乗り切った人は忘れないうちにAUDに突入した方が良いかと感じた。

  • FAR vs BEC
    Ratioの出題が多少重複する程度で、ほとんど重複しないから考慮不要。

私はFAR→BEC→AUD→REGの順で受けて、スムーズに勉強出来た印象。

私の勉強環境

テキストをPDF化しiPad/GoodNoteで読込み、講義内容を書込み。通勤電車で紙テキストを広げなくて済んだ。紙のテキスト、電子テキストアプリは使用しなかった。

勉強方法(全科目共通)

如何に早くInputを完了し、Output(演習)に入るかが肝。演習にはMC、TBS、RQ(Released Question=過去問)、Sample Test、直前対策、模擬試験と多くの種類があるが、新出論点がそのどれにもあるから早くに一周すること。

  1. E-Learning(講義)を倍速再生で一周。口頭で解説があった部分をテキストにメモ。講義は以降見ない。

  2. MCを、正答率が95%以上になるまで回す(最初の正答率は低いが、繰り返す度に覚えるので安心を)。誤った問題や、分からなかった選択肢は、「演習まとめノート」にメモ。MCのみならず、全ての演習について誤った部分をメモするノート。

  3. TBSを1周回す。TBSを解かずに本番に突撃し突破する受験生もいるが、新出論点がある以上、私には突撃する勇気はなかった。

  4. 「まとめノート」を作成。表にして横断的に暗記した方が良い論点を纏める。「演習まとめノート」「まとめノート」は、通勤時間や寝る前に読む。

  5. 勉強計画を立て、模試受験日と本番受験日(模試+約3週間)を設定・予約。本番受験日までの各日に行うべきことを決定(例:4月1日はMC 50問、TBS 3問、RQ 2年分を演習する)。最終的な勉強量は、科目別の勉強方法を参照。

  6. 勉強計画に沿って消化。このステージになると勉強ではなく作業。いかに知識を固定化させ、試験本番で全力を発揮出来るか心がけていた。

試験日とその前後の過ごし方

  • ちょうど試験日前日に、テキスト通読・まとめノート通読・RQ・MCの1周が終わるように勉強計画を調整。

  • 試験日当日(試験前)
    ・全科目とも試験は午後に設定
    ・朝食はしっかり食べる(炭水化物多め)
    ・午前は試験会場近くのカフェ・自習室で
     Sample Testと最新年度RQのMC10問を解く。
    ・昼食はおにぎり2つ(午後試験は眠くなるから少な目)。
    ・試験会場ロッカールームへの持込み飲料はブラックコーヒー、
     おやつはチョコベビー・カントリーマームちょこまみれ。

  • 試験日当日(試験中)
    ・試験開始直後、Testlet 1~3の予定終了時間をスクラッチペーパーに書く。
    ・MC(Testlet 1~2)は可能な限り早く解く。回答に迷う問題、分からない問題はフラグを付けて飛ばす。Testletの最後までフラグを付けた問題に戻る(一回目は頭が真っ白になっていることもあり、落ち着いて見直すと分かる問題もあるから焦らずに)。単語の意味が分からなければ回答出来ない問題は考えても解けないから、単語の成り立ちから意味を推測してさっさと回答し、見切りをつける。
    ・TBS(Testlet 3~5)は、添付資料が多くとも圧倒されないこと。
    ・真面目に勉強して来た人が分からない問題は、Pre-Test(採点されない問題)の可能性大。何問かそのような問題に当たっても気にしない。
    ・試験時間が減るBreakでも、トイレに行きたいなら行くことを推奨。
    ・Break中は、チョコをむさぼる→試験部屋に再入室する直前にトイレ。
    ・試験終了後、再チャレンジとなった時に対策出来るよう、
     どんな問題が出たか覚えているうちに書き留める。

  • 試験翌日からスコアリリースまで
    ・再チャレンジに対応出来るよう、毎日前科目のRQ1年分と、MC20問くらいを解き続ける。
    ・次科目の講義をスコアリリースまでに全て聴き終わるように計画。

勉強方法など(FAR) - ポイント:日米差・公会計

  • 勉強量は、MC7回、TBS3回、RQ3回、直前対策2回、模試2回。

  • 日商簿記1級の基礎があるなら、テキストを通読し、日米で扱いが異なる部分(リース等)を学習すれば事足りる。

  • 公会計は知識問題に近い。覚えていさえすれば時間を掛けずに回答可能だから覚えること。ページ数が少ないNPOも重要。

  • Inputは2週間半で終了、後は演習に費やした。

  • 直前対策講義は、何度もチェック。

  • 本番1問目が難しく非常に焦った(見直し時に正答が分かった)。最初の約10問はメンタルがやられた。

  • 試験時間は1時間弱余り。Testlet 5は何度も見直した(3回再計算し、用語は文献で調べた)。

  • 手応えはMC90点・TBS100点。結果と概ね一致。

勉強方法など(BEC) - ポイント:WC・IT

  • 勉強量は、MC6回、TBS3回、RQ4回、直前対策2回、模試2回。

  • MC・TBSのみで合格点を取ることを目標としていた。WCが7-8点取れれば良いと考えていた。

  • TBS・RQをもっと早期から取組めば良かったと感じた(新出単語が多くある)。

  • 自分でテキスト外の情報を学習する必要がある。ITパスポートの教科書を買ったり(あまり意味はなかった)、Big Data, Cyber Security, Data Baseなど、流行りの単語を抑えた。特にAICPAのサイトにはヒントがあった。

  • BEC1(管理会計)は、テキスト・問題集に基礎的なことしか書いていない(日商簿記2級の水準を下回る)。テキストにある内容が本番で出題されたら確実に得点するこも。

  • BEC 2(ファイナンス)はテキストで必要十分。本番も同レベルの問題が出題される。

  • BEC 3(経済)は、P校のアナウンスによればGDPが出題範囲から削除された。その他はテキストと同レベルの問題が本番で出題される。

  • BEC 4(IT)は半分以上テキスト外から出る。自分で情報収集が必要。

  • BEC 5(内部統制)は定義を暗記すればOK。着眼点も暗記。

  • WC
    ・コンピュータ採点を意識
    単語・文法を誤らない、知っている文法・単語のみを使って表現する等。Grammarly有料版に添削してもらい、100点になるよう演習した。
    ・A校のWCテキストは冗長過ぎるから参考にする必要なし。180-200語で十分。
    ・キーワードを可能な限り詰め込む。
    ・受身形を多用しても問題なし。
    ・テキストの内容を口頭で説明出来るよう理解していれば書ける。例えば、「Product Cost」「Period Cost」についてであれば、それぞれの定義、費用の具体例、財務諸表への影響など。キーワードは、Direct, Indirect, Capitalized, SG&A, incurred, office depreciation…と連想出来るか。

  • 試験時間はWCを何度も修正したためほとんど余らなかった。WCを除けば予定より30分以上早く終わった。

  • 手応えはMC90点・TBS90-100点・WC 70点。結果と概ね一致。

勉強方法など(AUD) - ポイント:Report

  • 勉強量は、MC9回、TBS2回、RQ3回、直前対策2回、Sample 2回、模試2回。

  • BECと違い、テキストに載っているところからしか出題されない。テキスト通読の繰返しを推奨(私は7回)。

  • テキストに掲載されている各種Reportは、全て定期的に音読(例:SSAEは出題頻度が低いだろうから読まなくてよいだろうはダメ)。知識問題での出題が多く、知っていれば10秒で確実に点が取れるが、知らなかったらいくら悩んでも分からない。私は12回音読した。5回くらい読んだところで、IndependentはこのReportではBasisに記載されるけど、違うReportでは独立したパラグラフに記載するのだと分かってくる。

  • AUDは、MCに知識問題(前述の通りテキストの範囲内)が多く出題される。つまり、きちんと学習すれば時間をあまり消費せず高得点でMCを駆け抜けられ、安心してTBSに移ることが出来る。

  • TBSは熟考を要する問題が多く、答えを一つに絞れないような問題が出る。このファジーさが運要素のように感じられる。Testlet 5は文献で答えを確かめつつ回答出来るほどに時間に余裕を持った方が良い。

  • Researchについて、A校講義では階層を上から辿る方法が推奨されていたが、私はキーワード検索を推奨(監査基準内に具体的な事例が掲載されており、キーワード検索で直接辿り着けると考えた)。

  • 試験時間は、約30分余り。

  • 手応えはMC・TBS共に100点だったが、結果は85点に留まり不一致。

勉強方法など(REG) - ポイント:Form・Basis

  • 勉強量は、MC7回、TBS3回、RQ5回、直前対策2回、Sample 6回、模試2回。

  • 私はREG 1→REG 2の順で学習したが、REG 2→REG 1の順が良いと思う(後述参照;REG1は実はそこまで重くない暗記科目だから本番直前に短期集中型で覚える方が良いと感じた)。

  • REG1(Business Law)(まとめノートを販売中です、添付記事参照
    まずは講義・MCを一周した後、RQを回す。RQについて、テキストのどの部分からの出題か確認し、周辺部分を含むまとめノートを作成し、何度もまとめノート通読とRQ演習を繰り返す。この方法でREG1は得点源になる。一方、これ以上やっても点数に繋がらない印象。

  • REG2(Tax)は、Form・Basisを理解すればOK。
    ・Form(まとめノートを販売中です、添付記事参照
    どんな収入・支出が、どのFormの、どの部分に記載されるのかを正確に理解すること。例えば、AGIに影響するか等。
    ・Basis(まとめノートを販売中です、添付記事参照
    会社形態(Partnership・C Corporation・S Corporation)による処理の違いを意識しつつ、出資時・日々の営業・分配時の処理をまとめノートに纏めて暗記。

  • 作次郎さんのごろ合わせは暗記。

  • Sample Testが難しくて面食らうが、本番はこのレベル。

  • 試験時間はほぼ余らず。

  • Chat-GPTに分からない問題を質問しまくって、学習の助けになった。もう少し早くリリースされていたら他科目でも活用していた。

  • 手応えは、Testlet 1は満点、Testlet 2は80%、Testlet 3-5は測りかねる結果(未習事項が計算の過程で多く、芋づる式の誤りが懸念され、点数を測りかねた)。手応えと結果を考えるに、他科目より基礎問題へ多く配点しているように感じた。

終わりに

2024年以降(新試験制度開始後)は情報不足で混乱する上、いくつかの科目は難しくなるとの記事を読みました。一方、2022年8月以降2023年度中に合格した科目は通常より長いCredit期間が与えられ、学習範囲自体も狭くなっています(例えば、REGは証券法が出題範囲外になったことと、トランプ税制の施行により、学習量が約2割削減されているのではないでしょうか…)。2022-2023年はチャンスなんです。USCPA試験は、MCを5回、TBSを3回、RQを3回以上回し、最終周で95%以上正答出来れば受かります。2023年中に可能な限り科目合格して、出来れば合格までしてしまいましょう。

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