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検索エンジンの向こう側には「ひと」がいるのを忘れないで。「SEOナイト」開催レポート(有料動画つき)

こんにちは!sentenceのコミュニティマネージャー、中川です。

6月3日、sentence LIVE 第4弾として『SEOの本質から、読み手にコンテンツを「届ける」ための工夫を考える』を開催しました。

スペシャルゲストの登壇もあり、当日はリアルタイムで約60名が参加!視聴者からは「3回以上は見直したい」「SEOの見方が変わった」「SEOに関するマインドセット、実践の両方を学べた貴重な会」といったコメントが相次ぎ、SNSでも多くの好評をいただきました。

「#SEOナイト」で、みなさんからいただいたツイートや当日の様子は下記のリンクからチェックできます!

https://twitter.com/i/events/1268451680703533057?s=20

SEOの本質から、その存在意義と可能性を見つめ直した夜。イベントでは、どのような議論が交わされたのでしょうか? 当日の一部始終をお伝えします。

ひとつのお悩み相談から誕生した「SEOナイト」

始まりは、sentenceのSlackチャンネル「お悩み相談室」から。メンバーのひとりが、「SEOってどうやって勉強したらいいのでしょうか?」と質問してくださったことから話が盛り上がり、「そもそも、SEOって何だろう?」を考えるきっかけになりました。

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他のsentenceメンバーからも「SEOを学び直したい」「LIVEで取り上げてほしい!」といったコメントが寄せられ、早々にイベント化が決まりました。

情報収集の手段としてネット検索が主流になり、その重要性が叫ばれるようになった「SEO」。しかし、近年では小手先のテクニックが一人歩きし、広告収入の利得を目的に、SEOの本質や目的を無視したコンテンツが上位表示されることも少なくありません。

・SEOの本質って、そもそも何だろう?

・読み手にとって価値のあるSEO記事って、どんなもの?

・小手先の技術に頼らないSEO記事は、どうやって生み出していくの?

こういった問いから「SEOの本質や目的を再確認し、そこから読み手にコンテンツを“届ける”工夫を考えること」が、本イベントの目的でした。

登壇してくださったのは、文筆家であり、株式会社LITALICO社長室チーフエディター、NPO法人soar理事などを務める鈴木悠平さん、株式会社Faber Companyシニアコンサルタントの白砂ゆき子さん。モデレーターは、story/writerの西山武志さんが務めました。

当初は鈴木さん、西山さんのお二人が登壇する予定でしたが、すてきなご縁から、イベント2週間前に白砂さんに出演いただけることが決定!

全90分のうち、前半では鈴木さんからSEOの本質や目的に関する話を、後半では白砂さんにSEOの最新事情や実践について、じっくりお話いただきました。

当日の学びポイントをおさらい!

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鈴木悠平さん

sentence LIVEが始まって以来、リアルタイムで60名の参加者が集まったのは今回が初。緊張感と期待感が入り混じるイベント冒頭、鈴木さんからこんな質問が投げかけられました。

「みなさん、SEOに対してどんなイメージを持っていますか?」

Zoomのチャット欄では、「セコい感じがする」「決まったキーワードを入れ込む」「PVを稼ぐためのもの」「Googleに媚びるもの」といったマイナスの印象がずらり。

これを受けて鈴木さんは「SEOには偏ったイメージがつきまとっていますが、今日は『本当はそんなことはないぞ!』と声を大にして伝えていきます」と宣言をし、本題へと入っていきました。


SEOは誤解されている?その本質とは

2016年の「WELQ問題」や、クラウドソーシング等での低単価、低品質なコンテンツの大量発注などから、ネガティブな印象が絡みつくようになったSEO。鈴木さんはその目的と本質を掘り下げながら、SEOの“誤解”をじっくりと解いていきます。

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鈴木さん「SEOは、検索エンジンの向こう側にいる『ひと』とまっすぐに向き合い、そのひとが必要とする情報をまっすぐに届ける上で、とても大切な視点と技術です。その目的は、検索ユーザーのニーズや疑問に答えること。Q&Aだと思ってもらえると分かりやすいかな。本質的には、ユーザーが打ち込んだ検索キーワード(Question)に対して、適切な答え(Answer)を返し続けていくことが重要なんです」

「SEO記事」と「それ以外の記事」の区分けは必ずしも適切ではない

また、「SEO記事」という括りの表現についても、鈴木さんは疑問を投げかけます。

鈴木さん「『SEO記事とインタビュー記事は違う』『SEO記事はインタビューなしでも作れるコタツ記事だ』という話を聞きますが、『SEO記事』と『それ以外の記事』という区分けは、必ずしも適切とは限りません。どんな記事にもSEOの観点を入れ込むことはできる。

ただ、コンテンツ形式においてSEO対策を行いやすいもの、そうでないものの違いはあります。構造化された概説は前者、インタビューやエッセイなどは後者に当てはまるかなと。

どちらが良い悪いではなく、コンテンツ制作の目的として『検索クエリとして顕在化されたニーズ』と『言語化されにくい潜在ニーズ』のどちらに応えることに重きを置くか。その目的によって適切なコンテンツ形式があるので、目的×形式の2軸で考えるといいです」

鈴木さんが理事を務めるWebメディア「soar」では、開設当初、SEO対策を主眼とせず、SNS発信を中心に、個人の人生にフォーカスしたインタビュー記事を届けてきました。しかし、実際はさまざまな検索キーワードを通じて記事と出会う人も多くいると分かってきたのだとか。


それを機に、メディアのポリシーや世界観は大切にしたまま、検索ユーザーに届きやすい新たなコンテンツも企画するようになったと言います。


SEO対策は、チーム一丸となって取り組む

『soar』の事例からも分かる通り、コンテンツ制作において、SEO対策をどの程度重視するかは、メディアやサービスの目的に依ります。

それに紐づいて、コンテンツを作る際には、どんな人にどんな価値を提供したいのか、コンテンツ全体のポートフォリオをどう組み、その中でSEO対策を重視するコンテンツをどの程度優先するか……など、さまざまなことを考える必要があります。

鈴木さんはその前提のもとで、「SEO対策はチーム戦である」と主張しました。

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鈴木さん「事業責任者や編集長は、サービスやメディア全体を俯瞰してSEOをどう位置付けるのか考える必要があります。その上で、編集者やライターは、監修者と共に良質なコンテンツを形にしたり、具体的な数字を元にマーケターとSEOの戦略を練ったりといったことが求められます。サイト全体の構成、構造にも関わってくるので、エンジニアやデザイナーの協力も重要ですし、検索順位が競争優位につながる商材ならセールスとの連携も欠かせません。いろんな専門性や役割の人が集まってチームで取り組むことなので、ライターの筆力だけで検索結果1位を取れるとは限らないんです」

SEOライティングに欠かせない、作り手の「倫理」と「技術」

前半の締めくくり、鈴木さんは「SEOライティングには、ライターとしての基礎筋力を身につけるための要素がたくさんある」という観点からも、その重要性に触れます。

鈴木さん「まず検索クエリをもとにユーザーペルソナを描き、ユーザーニーズを徹底的に分析。その上で論理的、網羅的、構造的に記事の構成を考える必要もありますし、正確性を担保するために、場合によっては専門家や当事者へのヒアリングも必要になってきます。読み手にちゃんと理解してもらえるよう、分かりやすい文章を書く力も重要です。これだけの技術が関わってくることを考えても、SEOが『コタツ記事』だなんてとんでもない!と僕は思います」

検索エンジンの向こう側には、いつも、何かを「知りたい」と思っている「人」がいる。その人たちに適切なコンテンツを届けるために、作り手である自分たちは何ができるのか? 今、改めて考えてみる必要があるようです。

鈴木「SEOを意識した記事を書く上で、何のために、誰のためにそれを作るのかを考え、作り手としてのポリシーや『倫理』を大切にしてほしいと思います。『技術』も同様です。作り手の思いや倫理が反映されたコンテンツも、『技術』がなければ、必要としている人に届けられません。検索エンジンの仕組みを理解し『届ける』努力も忘れずにいたいですね」

SEO対策のために覚えておきたい、4つの情報収取型クエリ

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白砂ゆきこさん

鈴木さんからSEO対策の「技術」に関する重要性が指摘されたところで、話し手のバトンは白砂さんに渡ります。企業のWebマーケティングを支援するFaber Companyでシニアコンサルタントを務め、SEOツールである「MIERUCA」の開発に携わる白砂さんからは、SEOを意識したコンテンツを作る上での「技術」や、最新のSEO事情が話されました。

一つ目は、コンテンツで狙いやすい、情報収取型クエリの種類について。白砂さん独自の考えによると、その種類は「とは検索」「HOW TO検索」「比較検討検索」「感情検索」に大きく分類できると言います。

白砂さん「『とは検索』は辞書引きの検索で、ある物事の効果や症状、事例など基本的な情報が知りたいときに検索されるものです。キーワードの後ろに『とは』をつけて違和感のないものは、だいたい『とは検索』に分類できます。『HOW TO検索』は目の前の課題を解決する手法を知りたいときの検索です。『DIY 椅子』の検索ワードも、『方法』とは書かれていませんが、ユーザーは椅子の作り方を知りたいんですね」

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白砂さん「3つ目の『比較検討検索』は、ユーザーが何かのサービスや商品の購入を検討する際に、よりいいものを知りたい、比較して選びたい気持ちから検索されます。『少年漫画』や『高校 入学祝い』といった検索ワードには、どちらも『おすすめ』や『ランキング』などのフレーズは入っていませんが、ユーザーは『よりいいもの知りたい』と思って検索しています。最後は『感情検索』。これは先の3つとは違い、とにかく自分が今感じていることをそのまま検索窓に入れています。一概には言えませんが、感情検索をするユーザーは、『自分が抱えている不安や悩みをまずは誰かと共有したい、相談したい、対策はその後』と思っている方が多いのかなと思います」

検索エンジンの先にいる「ひと」は、何を考えて検索しているのか? これら4つの種類を念頭に置くことで、ユーザーニーズを推測しやすくなるのはもちろん、「誰に」「どんな情報を届ければいいのか」といったコンテンツ制作の基盤も考えやすくなりそうです。

SEOを意識したコンテンツは、どう作っていけばいいの?

次に話されたのは、SEOライティングの具体的な進め方について。白砂さんは、SEOコンテンツの作り手を「マーケター型(SEOプレイヤー)」と「ライター型」に分けた上で、今回は後者にスポットライトを当てて、お話をしてくださいました。

後者の場合、SEOのライティングの進め方は、基本的に以下の図のようになると言います。

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白砂さん「ライター型の場合、最初からSEOのキーワードや検索意図を気にする必要はありません。書きたいテーマが決まったあとに『SEOを意識したものにできるかな?』と考えてみるのがいいのかなと思います。具体的には、書きたいテーマが決まったあとに、先に紹介した4種類のクエリから当てはまる型はないか考える。当てはまるものがあれば、SEOを狙った記事が書ける可能性があるので、『MIERUCA』などのサジェストツールを活用して、書きたいテーマに紐づくキーワードを検索します。すると、それに関連してよく調べられているワードが提示されるので、そこから記事の内容を深めていくのも手ですよね」

例えば、自粛期間中のリモートワークで「腰痛に困る人のストレッチ」を主題に記事を書くとき、サジェストツールで「腰痛 ストレッチ」と調べると、「腰痛 ストレッチ 寝ながら」のワードがよく調べられていると分かります。

それをもとに「朝起きたあと、あるいは夜寝る前にベッドで行えるストレッチ」をテーマに記事の内容を掘り下げていけば、全体の構成や入れ込む情報も自ずと見えてくるはずです。

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ただ、リサーチはこれで終わりではありません。さらに一歩踏み込んで検索ユーザーの気持ちを理解するため、「検索意図や背景」を調べる方法も、白砂さんは伝授してくれました。

白砂さん「まずは、自分が書こうとしている記事の検索キーワードを調べ、その検索結果を見ます。例えば『腰痛 ストレッチ』で検索したときに、『腰痛 寝たまま ストレッチ』以外のフレーズに着目すると、上位表示の記事タイトルには『ラクラク』『簡単』などのワードが盛り込まれていることに気がつきます。『なるほど、難しいストレッチはやりたくないのか、だから寝たままと検索するんだな』と分かる。掲示板を活用するのもおすすめです。『腰痛 寝たまま』で投稿している方の内容を見ると、何に悩んでいるのか、求めているのかが解像度高く分かります」

検索ユーザーのニーズや意図を調べたあとは、いよいよライティング。ここでは何に気をつけるべきなのか? この問いに対し、白砂さんは「検索者の意図や背景に寄り添い、満足していただける原稿を、全力で書くだけです」と言い切ります。

白砂さん「上位表示させるためには、SEO的に入れるといいワード(共起語)をなるべく多く盛り込んだほうがいい、最低でも何文字以上は書かなければいけない、キーワードは見出しに全部入れなさい……そんな情報を見聞きした方もいるかもしれません。しかし、これらは上位表示に全く関係ありません。そんな時代が来ているんです」

これに関して、Zoomのチャット欄では「見出しにはキーワードを入れ込むものだと思っていた……」「SEOのイメージが180度変わりました!」といったコメントが相次ぎました。

絶え間なくアップデートされていくSEOのアルゴリズム。最新のSEO動向は、一体どんな風になっているのでしょうか?

続きが気になる方は、本イベントに参加してくださった、中の人 ぴよぴよ行進曲さんのレポート、あるいは本記事の最後に載せている動画をチェックしてみてくださいね。


中の人 ぴよぴよ行進曲さん、素敵なレポートをありがとうございました!

イベントの冒頭では「セコい感じがする」「決まったキーワードを入れ込む」「PVを稼ぐためのもの」「Googleに媚びるもの」といったマイナスが印象に溢れていたSEO。白砂さんのお話が終わる頃には、参加者の間でそのイメージが大きく変わったように感じました。



自分の書いた文章を、必要としてる人にちゃんと届けたい。「SEO」は、そう真摯に願う作り手の背中をそっと押してくれる存在なのかもしれません。Googleの検索アルゴリズムも絶え間なく進歩し、どんどん「人」に近づくなか、コンテンツの作り手にも「SEO」に対する意識のアップデートが求められているように感じた夜でした。

アーカイブ動画の視聴について

「本イベントの様子をもっと詳細に知りたい」という方は、記事末尾のURLから当日のアーカイブ動画を視聴していただけるほか、当日の登壇資料もダウンロードしていただけます。

動画を視聴された方は、アンケートでぜひご意見をお聞かせください。

※sentence会員のかたはslackから無料で動画を視聴できます。また、すでにチケットを購入された方へ、こちらは当日のアーカイブ動画と同じ内容になります。

sentenceでは、今後もライブ配信イベントを企画していく予定です。7月29日(水)19:30〜は、『プロ編集者によるリアルタイム赤入れ』を開催します!

sentence LIVE の第一弾でも出演いただいた、編集者の長谷川賢人さんにインタビュー原稿の赤入れをしていただきます。

前回のリアルタイム赤入れの様子は、こちらからチェックできます。


それでは、次回のsentence LIVEをお楽しみに〜!


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