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“スピリチュアルレフト(精神的左派)”は彼らが見たい変化を起こすことができるでしょうか?

アリエル・レヴィテス氏のRELIGION DISPATCHESへの寄稿(2017年)を翻訳しました。

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私たちは皆、「宗教的右派」の草の根的な活動と、彼らが米国の政治生活で果たす役割について知っています。最近は「宗教的左派」が押し寄せるという予見が注目され、他の人々は、それは決して実現しない長く期待された政治的勢力だと論じます。しかし、もし私たちが「宗教的左派:Religious Left」を忘れて、その代わりに「精神的左派:Spiritual Left」に焦点を合わせたらどうなるでしょうか?

この本質的に異なるグループのラベル付けを再解釈することは、今日のアメリカの宗教的生活の複雑さをより良く説明するだけでなく、アメリカの精神的な信念が、活発で組織的な左派の可能性を積極的に妨げていることをクリアにして見せます。精神的アメリカ人はこの数十年、変化に焦点を合わせてきましたが、彼らが今、変化を扇動する方法を学ぶことはできるでしょうか?

過去25年以上、より多くのアメリカ人が特定の宗教と教会への加入を止めて、彼らはますます宗教に替わる感性「精神性:スピリチュアリティ」に自らを重ねます。おおよそ5人に1人のアメリカ人が、彼ら自身を「精神的だが宗教的でない」と考えます。アメリカの精神性の実践は多様で分散されながら、私の研究によればヨガスタジオからマインドフルネスセミナーまで、その表現には多くの共通の特徴があります。

「精神的だが宗教的でない」人々が民主党にとても好意的だと知っても、あなたは驚かないかもしれません。2012年にピューリサーチセンターが実施した調査では、「精神的だが宗教的ではない」アメリカ人は、共和党よりも民主党に傾く可能性が2倍ありました(62%と31%)。しかし精神性は、どのような政治活動を促進するでしょうか?

アメリカの精神性の文化は、感情的な自己発達を通して市民の行動を強調する傾向があります。精神修業者は、自分自身を変えることを通して世界を変えることができると主張します。あるひとつの対話では、もし私たちが自身の感情の反応を適切に治めて、ネガティブな感情を抑えてポジティブな感情を養えば、私たちの国はより良い場所になると言います。なので、ヨガジャーナルが大統領選挙の結果について10人のヨギに尋ねた際、彼らの回答が「怒って地元のオフィスに駆け込む」とは対照的な「平静に留まって愛を広げること」を強調したのは驚くことではありません。

精神的アメリカ人は、世界の問題について盲目でも冷淡でもありません。しかし、彼らは自分の精神的な発達を通してより良い世界に貢献することが、重要でおそらく最も効果的であると信じています。

精神的アメリカ人は、うわべは高度に窮屈な行動(例えば、どれだけ彼らが周囲に感謝しているか)に幅広い派生効果があり、個人的な関係、共同体、宇宙に実際に影響を与えると信じています。彼らは地球規模で考えながら、地域的に行動しています。しかし、自我においては超局所的に振る舞います。彼ら自身を作り変えることを通して、世界を作り変えることを求めます。

ダグ・ロシノフは、著書「政治における信頼性:キリスト教、自由主義、アメリカの新左翼」で1940年代後半から1970年代初期までの新左翼の台頭と究極の衰退をたどりました。新左翼の政治活動は制約によって生じた失望に直面し、やがて取り入れた更に漸進的なアプローチにより、革命の約束に幻滅を感じました。彼は「時間とともに過激派の焦点は、米国に社会民主主義を導入する要求から離れ、彼ら自身の人生で民主的で正真正銘の経験を創造する試みにシフトした」と書きました。即ち、政治的および社会的な失望によって、新左翼の活動家は最善の行動方針を「彼らが見たかった世界に(彼ら自身が)変わる」に定めたのです。これらの傾向は依然として今日も存在しています。

通常の手順による政治的組織化は決して簡単でも単純でもなく、すべての問題を解決できないかもしれません。精神性とは、ある程度、政治的プロセスに対する不満の表明です。それは、必ずしも他者に対する責任からの後退ではなく、それさえも変化させる代替戦略です。自身への細心の注意を他者の精神性に同等に払うことは、前向きな社会活動が時にはひどく窮境に感じる世界で、活動できる場を提供します。結局のところ、政治家は銀行家と癒着します。洗練されない革命家は、しばしば内輪揉めの議論に屈します。そして大きな運動は、小さな運動と同じようにはうまく機能しません。ならばなぜ、全員が小さな闘技場(自我)の活動家にならないのでしょうか?

精神的左派は、明白な政治活動から何十年も退いてきました。トランプの公約が展開されて、精神的アメリカ人の期待が高まったか聞いてみても構いません。精神的左派の政治活動はどのように見えるでしょうか?もし精神的アメリカ人が、彼らの仮説で変化がどのように起こるか再調査して、彼らの内面的な政治理念と提携させて、外の世界にもたらす戦略を再評価したらどうなるでしょうか?

ガンジーが「あなたの見たい世界に(あなた自身が)変わりなさい」と言った記録はありません。しかし、彼は抗議運動、行動主義、政治不承認の闘争において、かなり明確な記録を残しました。精神的アメリカ人は彼の足跡をたどるでしょうか?

※アリエル・レヴィテスは2016年にNYUから博士号を取得。ヘブライ大学の客員助教授、北米シャロームハートマン研究所の研究員、ブランダイス大学の関連学者。ウッドロー・ウィルソン財団からのシャーロット・ニューカム論文フェローシップと、宗教科学研究協会からの学生研究賞を受賞。彼女の研究は、宗教的感情のレンズを通して現代アメリカの精神性の文化に焦点を当てています。

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