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祖父が残した言霊

本題に入る前に初投稿のnoteが思った以上に反応を頂けて本当にありがとうございます。私はあまり日本語の使い方が上手じゃないから、そこは暖かい目で見守って頂けたら幸いです。では本題に入ります

こんなツイートをした

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この物語をもう少しだけみんなに届けます

これは私と祖父の本当にちょっとした

たわいの無い

つまらない話



小学生の頃はあまり家に帰りたくなかった

理由は色々あって詳しくは言わないけど

とにかく帰りたくなかった

だから祖父の家によく寄り道していた


じいちゃんは遊び人だった

子供の私から見ても分かるくらいの遊び人

美人な女の人を見つけると

しょっちゅう声をかけていた

じいちゃんはよく

『男は遊びと女が大好きや』

『だから女遊びに男は逆らえないんや』

と言っていた

私は間違いなくこの人の血を引いている

そんなじいちゃんだけど

身長は180センチで大きいし

将棋やオセロや花札は負けなしだし

何より言葉づかいが優しい

いつも周りに人がいて

じいちゃんはその真ん中にいた

そんなじいちゃんが

私は大好きだった

大人はみんな敵だと思っていたけど

じいちゃんだけは特別だった



そんなある日の学校にて

退屈な6時間目が終わった

やっと帰れる

早く帰りの会が終わって欲しい

ってか遅い

クラスの子のかばんの準備も

当番の子もいちいち注意するなよ

隣のお前も5分くらい静かにしろよ

じゃないと、また…


担任が大きな声で怒鳴る

ほら怒った…ここからが長い

下校のチャイムが鳴った

本当につまらない

早く帰りたい

もう荷物を持って飛び出そうかな

説教というか先生のただの愚痴が続く

先生は自分がスッキリしたいだけなんだろうな

大きな声で叱られる時にいつも思う


「そんなに大きな声じゃなくても聞こえます」


でもそれをいうと長引くから

心の中で留めている

我慢をしている

でも周りの大人は我慢してくれないから

本当につまらない

下校のチャイムから15分経って

ようやく帰りの挨拶になった

「さようなら」の合図で

私は下駄箱まで早歩きで向かう

校門を出たら全速力で走って向かった

もちろんいつも通り

じいちゃんの家へ



線香の香り

風鈴の音

畳の匂い

じいちゃんの家は落ち着く

でも腹の奥にあるモヤモヤが止まらない

「つまらない」

じいちゃんと目が合う

「じいちゃん」

『なんや』

「学校つまらんわ」

『何がや』

「先生がつまらん」

『ほう』

「友達がつまらん」

『ほう』

「親もつまらん」

『ほう』

「何もかもがつまらなくて」

『ほう』

「ここじゃない知らない場所に行きたい」

『ほう』

「わしのことを誰も知らない場所」

『そっか そんなことを考えていたんか』

じいちゃんがたばこを咥えて大きく息を吸う

先端が赤く

そして白くなり

灰皿に落ちる

『話してくれてありがとやな』

『なぁわかめよ』


「!?」


じいちゃんの声が

低くなった

頭から爪先まで電気が走る

いつも優しいじいちゃんの空気が変わった

自然と正座になる 

背筋が伸びる

じいちゃんの世界に引き寄せられる


『いい先生がいないなら』

『本を読みなさい』

『いい親がいないなら』

『本を読みなさい』

『いい友達がいないなら』

『本を読みなさい』

『本は教えてくれるから』

『これからの生き方を』

『本は支えてくれるんや』

『どんなに辛い時でも』

『本は助けてくれるんや』

『おめぇが悩んでいる時に』

『それに…』


「それに?」


『本は凄いぞ、飛行機よりも遠くに連れて行ってくれるんや』

「飛行機よりも?」

『そや』

『いつでもどこでも読めて』

『色んな景色を見せてくれるのが』

『本の良さや』

『やから本を読みなさい』


じいちゃんの言葉には力がある

言葉だけで体を熱くする

アニメの盛り上がるシーンみたいな感覚

ワクワクするような

何か面白いことが起こるような

そんな気持ちになった


『いい目になったな』

「ん?」

『つまらないなんて言うな』

『この世界はおめぇが思う以上に面白いしあったかい』

『でもおめぇが見ようとしなかったら』

『向こうも見せてはくれんのや』

『その目でよくよく見ておいで』

『じいちゃんが見た景色も』

『じいちゃんが見れなかった景色もな』


そうして私は本を読むようになった

休み時間も授業時間も

ずっと ずっと

本の世界に


じいちゃんの見た景色は

今なら少しだけわかる


じいちゃんの言葉の意味も

今なら少しだけわかる


この世界は

残酷で


生きることは

大変だけど

悪くはないと


生まれてきて

産んでもらって

まだ少しだけど

感謝している


こうして読んでくれたあなたに

会えたから


感謝している

ありがとう


ここまで読んでくれたあなたが大好きです
ハートしてくれたら泣いて喜びます


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