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14/1,000冊目 「恋は盲目」ということばが生まれた → ウィリアム・シェイクスピア(著)『リア王』

読んだ1,000冊を紹介しています

3年と数百万円かけて1,000冊読んでみました。

シェイクスピアの戯曲はぜんぶで37つある

シェイクスピアの戯曲は全部で37つあります。こちらの記事で一覧を設けています。


『リア王』(King Lear)


登場人物

  • リア王 (King Lear):ブリテン王。生来の気性の荒さと老いからくる耄碌から、娘ゴネリルとリーガンの腹の底を見抜けず、悲嘆と狂乱のうちに哀れな最期を遂げる。

  • コーディリア (Cordelia):リアの実直な末娘。勘当されるが、誠実なフランス王の妃となる。

  • ゴネリル (Goneril):リアの長女。オールバニ公の妻。リーガンと共に甘言を弄してリアを裏切る。

  • リーガン (Regan):リアの次女。コンウォール公の妻。

  • ケント伯 (Earl of Kent):リアの忠臣。リアに諫言したために追放され、以降は変装してリアのもとに仕える。

  • グロスター伯 (Earl of Gloucester):エドガーとエドマンドの父。エドマンドの姦計によってエドガーを勘当してしまう。

  • エドガー (Edgar):グロスター伯の嫡子。異母弟エドマンドの姦計によって父から勘当される。

  • エドマンド (Edmund):グロスター伯の庶子。野心家で、異母兄エドガーの追放に成功する。

  • オールバニ公 (Duke of Albany):ゴネリルの夫。

  • コーンウォール公 (Duke of Cornwall):リーガンの夫。

  • フランス王 (King of France):コーディリアの求婚者。勘当され持参金を持たないコーディリアを喜んで王妃とする。

  • オズワルド (Oswald):ゴネリルの執事。彼女の言いつけ通り、リアを陥れる。

  • 道化 (Fool):リア付きの道化師。彼の皮肉に満ちた言葉はリアの核心を幾度となく突くことになる。


あらすじ

ブリテンの老王リアは、王位を退くにあたって、3人の娘のうちで孝行な者に領地を与えると約束する。甘言を弄した長女と次女に領地を与え、素直な物言いをした三女を怒りのあまり追放してしまう。しかし、信じて頼った長女と次女に裏切られ、流浪の身となる。やがて三女の真心を知り、フランス王妃となった彼女の力を借りて2人の軍勢と戦うも敗れ、三女は処刑、狂乱と悲嘆のうちにリア王も没する。リア王に従う道化の皮肉に満ちた言葉は、現世の不条理を深く突く。四大悲劇のひとつ。


格言あつめが楽しい

おそらく1769年のジャン=フランソワ・デュシーによる上演でリア王を演じたLudwig Devrienを描いた絵(作者不詳、1769年)

トルストイが指摘しているとおり、まあまあ無理が多々ある。けれど、演劇でみたら、ドラマチックで楽しめるのではないでしょうか。そして、シェイクスピアの真骨頂、格言のあらし。リアリティや無理のある設定やセリフ、性格描写とか無理して看過しておきたい。説教臭くなく、「いわれてみればたしかになぁ」とおぼえておきたくなる言葉がいっぱい出てくる。これが、シェイクスピアの醍醐味。


誰が悪で、誰が善かとわけて覚えておきたい

「『リア王』で言えば、誰がだれだ?」なんて意地悪な質問が欧米圏のビジネスシーンであったりする、なんて話を耳にしたことがあります。シェイクスピアくらいの古典は、記号になるので、コーディリア、リア、道化、ケント、エドマンド、リーガンとゴネリル、エドガー、両目をえぐられてしまうグロスターなど、誰が悪くて、誰が良くて、どうなったのか、覚えておくと記号が読み溶け得るかも。

この本で得たもの

  1. トルストイがシェイクスピアを嫌いだということ

  2. ブリタニア列王伝を知った

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