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ものがたりの主人公、つまりあなたへ。#000

2015年9月から、足立区千住で「しずけさ」「ユーモア」とを大切にする小さな出版社、センジュ出版を始めました。

築40年以上の古い木造アパートの2階。
ここで6疊二間をお借りして、一部屋をブックカフェに、もう一部屋を事務所スペースにとオープンしてからもう3年目。

カフェで起こる日々の出来事、事務所で生まれる本の数々、イベントで出会ったあの方この方を振り返ると、これまであまりにいろいろなことがありすぎて、
たくさん泣いたり笑ったりしたので、そろそろこちらに残しておこうかと思い、書き始めてみることにしました。

なお、今回のnoteのタイトルはマガジンのタイトルと同じにしました。0号は、このマガジンの意図も込めて。
なので、その意図について、まずは少し書いておきます。

この文章を「誰に」向けて書くのかを決めるのに、ゆっくり時間をかけました。
誰かのことを思う時間が好きです。とくにそれが本や文章を贈る相手であればなおさら。

ヒントをもらうために立ち寄った本屋さんで買ったのは『泣きたくなったあなたへ』
尊敬する松浦弥太郎さんが書いた本。PHPエディターズ・グループ発行。
困ったとき、つまずいたとき、悩んだとき、背中を押してほしいとき、
松浦さんのことばを頼ることの多いわたしですが、今回もやっぱり手にした一冊は松浦さんの本でした。
なるほど、わたしがこの文章を届けたい「誰か」とは、
こころの天気がくもりか雨模様の「誰か」、なのかもしれません。

それはきっとわたし自身が、そんな気持ちを抱えているときに
ことばを必要とするから。
そして松浦さんのことばのおかげで、こころに晴れ間がのぞくように、
ことばのチカラを信じているから。


***
センジュ出版の本はこれまでに4冊が船出していきました。
作っている自分ではあまり意識していないのですが、読んでいただいた方から、4冊にはどこか共通点を感じるといったお話を伺うことがあります。

はて、何だろうなと考えてみたのですが、もし、あるのならばそれは、
「祈り」
だろうと思います。
どの本も著者と一緒になって、祈りながら作っているから。
何を祈っているかというと、
「この本がこんなふうに、必要とされるどなたかのお役に立てますように」
ということです。
「こんなふうに」の部分は、毎回、本ごとに、著者ごとに、変わります。

この「祈り」ですが、本に込める祈りがあるのと同じように、実はわたしはセンジュ出版そのものにも、祈りを込めています。

「あなたは、あなたの人生の主人公です」

こころがくもったり、こころに雨が降ったりして
自分のものがたりを見失いそうになっているどなたかの背中を、
そっとさすってあげられるような。
ずっとそんな会社でいられますように。

人のこころを打つものがたりを紡ぐ著者がそうであるように、
自分のものがたりを知り、そのものがたりを生ききることのできる人は
うつくしい人です

そして人は誰もが、自分のものがたりを握りしめて生まれてきているはず。

主人公であるあなた自身が、どうか、
あなたのものがたりを愛して、新しいページを力強く紡いでいけますように。

センジュ出版は、本を通して、ことばを通して、
みなさんとご一緒する一瞬一瞬を通して、
ものがたりを一緒に信じます。

はじめてのお便りはここまで。

次回。
よかったらまた、お付き合いください。

                 吉満明子

*Top image created by Tirachard -

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