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村長との対話#000

今年になって、自分の中に村があるイメージを描いている。
自分自身の境界線を健全に保ち、他者の侵入を安易に認めず、また他者に安易に侵入しないためだ。

この村には多数の村民が暮らしていて、
怒りがちだったり、悲しみがちだったり、気楽に考えがちだったり、騒ぎがちだったり、優しくしがちだったり、怠けがちだったり、妬みがちだったり、論理的になりがちだったり、物思いに耽りがちだったり、穏やかに振る舞いがちだったり、もう、カオスと言いたくなるほどの多様性を極めている。
時に吐き気がするほど。

この村には一人、長老のような村長がいる。
彼は全村民の資質を併せ持ちながらも、誰でもない。
全村民を認め、許し、受け入れ、愛しているが、
誰にもおもねらず、誰にも寄りかからず、誰にも忖度せず、誰にも従わない。
彼は村でいちばん、自由な人だ。

村民は日々、さまざまな感情に振り回されて、村長の部屋を訪ねる。
ひどい仕打ちにあった、悲しくて仕方ない、腹が立つ、どうしたらいいかわからない。
思いの丈を村長に伝え、村長は一人ひとりの話に耳を傾ける。
対話する。
時に別の村民も部屋に招き、二人に対話させる。

そのうち村民は落ち着きを取り戻し、みな、持ち場に帰っていく。

村長は一人しずかに、祈り、目を閉じ、目を開けて、空を見上げる。

この村が平和であるように。
村民が幸せであるように。

村長はただ、それだけを願っている。

村長はとっくに幸せで、幸せも不幸せもない世界に生きている。

だからこそ、この村に呼ばれた。

この、時に嵐が巻き起こり、時に日照りが続いて、時に多くが流されて、でも、
美しいこの村に。


これからこの村長の対話を書いていきます。
まとめていつか、小さな冊子にする予定です。

#対話
#村長

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