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脳血管性認知症、 レビー小体型認知症、 前頭側頭型認知症の症状について

認知症にはいくつかの種類があり、代表的なものは、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症があります。
その種類によって、症状には違いがあります。

アルツハイマー型認知症の初期症状、中期症状、後期症状について | 高齢者人口の推移も解説」では、主にアルツハイマー型認知症の初期症状から後期症状について解説しました。


この記事では、さまざまある認知症の種類と各種類の症状をご紹介します。
今回は「脳血管性認知症」、「レビー小体型認知症」、「前頭側頭型認知症」についてです。


各認知症のことや症状の進行について知っていただければ幸いです。

脳血管性認知症

認知症の症状をもつ方のうち、約半数以上を占めるアルツハイマー型認知症についで多いのが、「脳血管性認知症」です。この脳血管性認知症の割合は、認知症の約2〜3割といわれています。


脳血管性認知症は、脳出血や脳梗塞、くも膜下出血などの脳の血管障害によって引き起こされる認知症です。


症状の経過としては、脳梗塞など脳血管障害が起きるたびに、認知機能が段階的に悪化することが多いといわれています。



脳血管性認知症の症状

脳血管性認知症の症状として、「もの忘れ」の程度は一般的なアルツハイマー型認知症よりも、比較的軽度なことが多く、自身のもの忘れに対しても自覚があることが多いです。
 

症状の特徴として、「まだら状」の認知機能障害を認めます。


「まだら」な認知機能障害とは、「症状に波がある」ことで、一日の中でも時間によって差があったり、日によって差があったりと、「同じことでもできるときとできないときがある」といったことです。したがって、症状が日内から日間で変動しやすいことがあります。

 
さらに、脳出血や脳梗塞などの、脳の血管障害が起こった部位に対応した機能(記憶力や注意力など)のみが低下することもあります。


例えば、新しい出来事などを記憶する能力の障害はみられても、日常的な判断能力や専門的な知識は保たれているといった、症状もみられます。

 
以上のように、脳血管性認知症は、まだら状の認知機能障害を認めることから、「まだら認知症」と呼ばれることもあります。



レビー小体型認知症

「レビー小体型認知症」は、大脳の広範囲にレビー小体というタンパクが脳に蓄積する病気のことを言います。


レビー小体型認知症は、認知機能の変動や幻視、パーキンソニズムという中核的特徴を示します。



レビー小体型認知症の症状

レビー小体型認知症の初期では、記憶障害は起こらないか、あってもアルツハイマー型認知症と比べて軽度であることが特徴です。そのため、初期から中期にかけては、記憶の障害はあまり目立ちません。


しかし、認知機能の変動がみられます。変動の間隔は数分〜数日とさまざまで自然に変化します。


矛盾した行動をとったり、辻褄の合わない話をしたり、注意力の散漫さや一点をじっと見つめる、ぼーっとするような状態がみられます。

 
認知機能の変動に連動して、「幻視」が起こる傾向があります。幻視とは、実際にはそこに存在しない物がみえることを言います。


レビー小体型認知症の幻視の典型例には人、虫、小動物が多く、「知らない子どもが部屋で遊んでいる」、「壁に虫が這ってる」など、形がはっきりしており、臨場感ある具体的な説明をすることができます。幻視は繰り返し出現します。

 
レビー小体型認知症に特徴的な症状の1つとして、「パーキンソニズム」があります。


パーキンソニズムとは、パーキンソン病とは名前が似ていますが、違う病気の集合体です。パーキンソン病とよく似た運動障害の症状を認め、このレビー小体型認知症のパーキンソニズムにおいても、動作の緩慢さや振戦(手の振るえ)、筋の固縮(強剛)などの症状がみられます。

 
動作の緩慢さでは、歩行が遅くゆっくりになったり、前かがみで小刻みな歩き方になります。


振戦では、何も動作をしていない時から手の振るえ(安静時振戦)がみられます。筋の固縮では、他者が手首などを持って、ゆっくりと腕の曲げ伸ばしを行うと、筋肉がひっかかるような固さや動きとなります。

 
以上のように、レビー小体型認知症は、認知機能の変動、幻視、パーキンソニズムの中核的特徴をもつ認知症です。



前頭側頭型認知症

「前頭側頭型認知症」では、大脳の一部である前頭葉と側頭葉前方の萎縮が徐々に進行する病気です。


アルツハイマー病とは異なり、脳の後方部が保たれるため、ある程度の進行までは、記憶力などは保たれます。古典的なピック病(Pick病)として知られてきました。


発症時期の多くは40〜60歳代と、初老期に発症しやすいといわれています。




前頭側頭型認知症の症状

前頭側頭型認知症はゆっくりと進行していく病気で、全経過は6〜8年といわれています。


症状としては、前頭葉(人格、社会性、言語)や側頭葉(記憶、言語)の機能低下がみられます。

 
前頭側頭型認知症の初期は、症状がわかりにくく、気づかないうちに認知症が進行していきます。


声をかけられないと、じっとしているなどの「自発性の低下」や感情の変化が乏しくなる「感情鈍麻」、「脱抑制」といった物を盗むなどの反社会的な行動や道徳感の低下など、人格変化や行動異常として出現してきます。また、自分自身で病気や症状があることがわからない状態、つまりは「病識が欠如」している状態です。


この頃は、出来事の記憶や過去に習得した技術の記憶(手続き記憶)は保たれています。

 
前頭側頭型認知症の中期症状は、落ち着きのなさや話をしている途中に急にどこかにいってしまう「立ち去り行動」、同じ場所を周遊する、同じ椅子に座るなどの「常同行動」がみられるようになってきます。


また、質問をしても真剣に答えようとせず、すぐに「わかりません」と答えるような「考え不精」や同じフレーズを繰り返す、相手の言葉をそのままオウム返しするなど言葉の症状もみられます。
 

前頭側頭型認知症の後期では、精神機能がどんどん低下していき、無動・無言となり寝たきりとなっていきます。



まとめ

本日は、
・脳血管性認知症とその症状
・レビー小体型認知症とその症状
・前頭側頭型認知症とその症状
について、順に解説していきました。
 

脳血管性認知症は、脳出血などの脳血管障害によって引き起こされる認知症で、その症状の特徴は、「まだら状」の認知機能低下があります。
 

レビー小体型認知症は、初期では記憶の低下はあまり目立ちませんが、認知機能の変動や幻視、パーキンソニズムという中核的特徴がみられます。
 

前頭側頭型認知症は、人格変化や社会性の欠如、言語機能の低下などを経て、無動や無言となり最終的には寝たきりとなる病気です。
 

認知症の種類や症状について、知っていただき、参考にしていただければ幸いです。

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