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【SQ/米国株銘柄分析】ペイメントエコシステムの覇権の掌握を目指すフィンテック企業/スクエアの企業概要・ビジネスモデル・今後の株価見通し(将来性/成長性)を決算とCANSLIMの観点から考察。

このマガジンは取り上げた企業の投資を推奨する意図は全くないことを改めて確認いたします。企業の業績チェック、ビジネスモデル、新着ニュースをシンプルに定点観測する読み物です。


Square, Inc.(ティッカーシンボル:SQ)」は、広範な「決済サービス」「POS(販売時点情報管理)システム」を提供するフィンテック企業です。

(最新決算の詳細は以下目次記事に掲載しています↓↓)


最近、お店でお金を払う時に、レジでこのような端末を見ませんか?


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(Square.Inc POSレジ)


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わしが毎週通っておるピザ屋にスクエアの決済端末が置いてあって知ったんじゃ。中国や米国ではキャッシュレスが進んでいるようじゃが、日本は謎に「現金主義」じゃから厳しいと思っておったがそうでもないんじゃな。

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ピザ食べてないで、その時間でもっと銘柄分析したらどうですか?

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(・・・クソリプ?)

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日本でも、ソフトバンクの孫正義氏先導で行われたポイントばら撒き戦略と、芸人・宮川大輔氏のCMでやかましいペイペイ煽り(気づいたら自分も口ずさんでしまうほど)で、キャッシュレス化は意外にも進んでいるようです。


スマートフォン決済のPayPay(ペイペイ、東京・港)は12日、2020年度(20年4月~21年3月)までの1年間で同社の決済サービスの利用回数が20億回を超えたと発表した。19年度(8億回)の約2.5倍になった。新型コロナウイルスの感染拡大によるキャッシュレス決済の需要拡大や、還元キャンペーンなどの施策が寄与した。(引用:PayPay、20年度は20億回超の決済 前年の2.5倍に


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経営者の方に聞いた話ですが、PayPayは店舗への営業力が凄いみたいですね。テクノロジー分野も、最後は逞しい営業力なのかと思い知らされました。

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スクエア話に戻しますが、同社の株価は2020年1月1日〜12月31日で3.48倍(+247%)、株価は$62.56→$217.64と跳ね上がりました。時価総額10兆円以上の企業ですので、小型株が上がるのとは訳が違います。


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(SQの爆上げ)


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もう高すぎて買えない・・・Orz という訳でもないんですよね?

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その通り、成長株で株価は伸びる銘柄は伸び続けるのじゃ。まだまだ遅くないぞよ。そもそも安値とか底値とか値頃感で買おうとするマインドを変える必要があるぞよ。

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今回はそんな今をトキめく決済ソリューションを提供する、そして成長を続ける米国・スクエア社の会社概要・ビジネスモデルと今後の「株価」の成長性を決算結果(Q4-2020)とオニールの成長株発掘指標であるCANSLIMの側面から掘り下げていきます。


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秀次郎(Twitterアカウント)が担当者として随時更新していく予定じゃ。

中身は目次から知りたいところだけジャンプして読むと良いぞよ。全部読むのは大変じゃし、まじで疲れる故に投資を検討した時に「そういえば」的に活用していただけると有難いぞよ。わし自身も活用しておる。

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会社概要

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・企業名:Square, Inc.
・本社:米国カリフォルニア州サンフランシスコ
・設立年月日:2009年2月
・IPO:2015年11月(NYSE, Russell 1000 Index)
・事業概要:金融サービスおよびデジタル決済(POSシステム含む)事業(「エコシステム」の創造)
・企業ミッション:誰もが経済に参加し、成功すべきだと信じ、誰もが力を得て、豊かになれるようなすぐに使いこなせるツールを作る。

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PayPalテスラ同様、またまたみんな大好きスタートアップの聖地・シリコンバレーの会社じゃ。

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(Silicon Valley)


会社の歴史


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■ 2009〜2015年IPOまで:


・2009年:Twitterの創業者でもあるジャック・ドーシーとその友人のジム・マッケルビーでSquare(名前の由来は四角いカードリーダー)を共同創業。
・2010年5月:「Square」というモバイル機器でデビットカードやクレジットカードによる支払いを受け付けるスモールビジネス(店舗)のプラットフォームを開発。


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(伝説はこの地味なカードリーダーから始まった)


・2012年:カナダでのサービス開始を発表。スターバックスがデビットカード・クレジットカード取引をスクエアで処理することを発表。(スターバックスはシリーズDでスクエアに出資しています)


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スタバに出資させて提携まで持ち込む。スタートアップビジネスの「基本のキ」ですな。

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・2013年5月:三井住友カードと提携し、日本でもスクエアでモバイル決済が利用可能に。
・2013年6月:iPadをより完成度の高いPOSシステムに進化させる「Square Stand」を発表。


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(Square Stand)


・同年:eBayなど競合がいるEC領域でオンライン・マーケットプレイス「Square Market」の提供を開始(日本でいうBASEなど)。
・同年:(端末同士でデータファイルを共有する)P2P決済プラットフォーム「Square Cash」を立ち上げ。


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(Square Cash App)


・2014年:Squareの融資部門として「Square Capital」を設立。中小企業に億ドル単位での融資も実行。(2017年までに累計10億ドルを融資)
同年:フードデリバリーサービスのCaviarを買収(2019年にDoorDashに売却済み)。
・2015年:Apple Payに対応した最新世代のカードリーダーを発表。
同年:Kili Technology社(決済処理を簡素化、最適化するためのシリコン、電子機器、ソフトウェアを開発してきた企業)を買収。
・2015年11月19日:IPO(NYSE公開価格=1株あたり$9、企業評価額29億ドル)


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IPO時の公開価格は9ドル・・・。4月18日時点で、256ドル・・・。28.4倍・・・(笑)

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なんでスクエアのこと昔から知ってるのに株買わなかったの?

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気を取り直して続きにいこうぞ。

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■ 2015年NYSE上場からの軌跡:


・2017年:イギリスでスクエアのモバイル決済サービスを開始。
・2017年11月:「Square Cash App」が特定のユーザーにビットコイン取引を役立てるトライアルプログラムを発表。


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(Buy, sell and Send bitcoin)


・2017年10月:カナダ初のポップアップ「Square Shop」をクイーン・ストリート・ウエストにオープン。


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(Square Shop Opens its Doors in Toronto)


・2018年3月:ビットコイン取引サービスをワイオミング州に拡大。
・2018年4月:Weebly(ウェブサイト構築、ウェブホスティングサービスを提供)、Zesty(オフィス向けフードデリバリー)を買収。
・2018年5月:「Square for Restaurants」を立ち上げ。


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(Introducing Square for Restaurants)


2019年1月:CFO(最高財務責任者)にAmrita Ahuja氏を迎える(元ブリザード・エンタテインメント社CFO)。ペイメントSDKの提供を開始、開発者や販売者が消費者向けモバイルアプリでSquareによる決済が可能に。


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(ジムクレイマーのたるい質問に答えるSquare CFO Amrita氏)


・2019年4月:カナダ企業向けにSquareオンラインストアを開設し、オムニチャネルサービスを拡充。
・2019年5月:人工知能スタートアップEloquent Labsを買収したことを発表。
・2020年2月:深層学習企業Dessa(トロント)を買収したと発表。
・2020年9月:Square Onlineを利用する飲食店向けにQRを使ったセルフオーダー機能を発表。
・2020年10月:Digital Main Street(from トロント)と提携。カナダ全土の「デジタル・メインストリート」の取り組みを強化。
・2020年11月:税務申告機能をCash Appに組み込む目的で、「Credit Karma Tax」を買収。
・2021年1月:新しいフルPOSシステム「Square for Retail」の発売を発表。


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(Square for Retail)


・2021年3月:スクエア・ファイナンシャル・サービスが営業を開始(バンキング業務を開始)。
・2021年3月:ユニークな音楽コンテンツや体験を通じてファンとアーティストを結びつける世界的な音楽・エンターテインメントプラットフォームである「TIDAL」の過半数の所有権を取得する最終合意に達したと発表。(SportifyやAmazon Musicのようなもの)


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(TIDAL)


・2021年4月:アイルランドでアーリーアクセスプログラムを発表(同国の加盟店がSquareを利用するのは史上初めて)。


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この年表のもとになっているプレスリリースを見ると、他社を買収しながら細かく新しいサービスをどんどん追加してるね?

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スクエアがサービスを提供している先はスモールビジネスと個人の決済や資金移動だからね。日々決済関連は細かい悩みごとがたくさんあるのよ。仮想通貨まで手出しちゃってまー大変!

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CEOの経歴

現在のスクエアのCEOは、ミズーリ州セントルイス出身の「ジャック・ドーシー」氏です。


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(Young Jack Dorsey)


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あらカッコいいやん。

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今のドーシー見て同じこと言える?

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(Jack Dorsey)


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同氏も、イーロン・マスク氏同様に、米国株投資をしている人であれば知らない人はいないのではないでしょうか?とても有名で、米国でも若者が支持するスタートアップ経営者の一人です。

1995-1997年にミズーリ大学→NYUで大学時代を過ごし(中退)NYU時代にTwitterのアイデアを思いつきます。


カリフォルニアに移住、2000年に起業。最初の起業は宅配便、タクシーをウェブからディスパッチング(作業計画、作業指示、作業統制の工程管理)するサービスを提供する会社です。意外と硬派です。


その後にLiveJournal(ブログサイト)やAOLが配布していたインスタントメッセンジャー(サービス終了済み)に触発されます。

ウェブベースのリアルタイムの「ステータス/ショートメッセージ」のコミュニケーションサービスのアイデアを思いつきます。


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(AOL Instant Messenger)


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LiveJournalは「はてなブログ」みたいなもんだね。この着想がなかったら今頃僕たちは「控えめに言って最高」「わかりみが深い」「クソリプ」「FF外から失礼します」とかツイ廃用語は使ってなかったんだね。

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感慨深い。

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他共同創業者二人含む三人でObviious Corporationを設立し、その後友人と約2週間でTwitterのプロトタイプを作成。同社からTwitterをスピンオフ(別会社化)させ、ドーシー氏はここで「Twitter, Inc」のCEOに就任。Twitterの話は別でしたいと思いますのでここまでにします。


並行してジム・マッケルビーとともに2009年「Square.Inc」を創業、2010年にモバイル機器「Square 」を開発。スクエアの快進撃は上の会社の歴史で書いた通りです。


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イーロン・マスク氏も何個身体があるのかわからないと思ったけど、ドーシーも上場会社2社の経営者って何ごと?(笑)

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FF外から失礼します。たぶん米国人は分身の術使えるっぽい。

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「」

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2020年にアメリカでベーシックインカム保証プログラムの試験運用を進める29の市長に1500万ドル(約15億円)を寄付しました。15億円がもはや端金に感じさせてくれるドーシー。


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そういやドナルド・トランプ元大統領のツイッターも停止させてたね〜!

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(STOP xxxxING SELLING!)


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トランプはまじでヤバイやつだよ(語彙力)

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主要プロダクト(ビジネス)


スクエアの主要プロダクト(ビジネス)は、上記の会社の歴史でも紹介しましたが、以下となります。


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・POSシステム
・Cash App

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■ POSシステム


「POS」は例えば、物品の販売・在庫管理などを行うためのシステムです。販売はスマホなど端末とカードリーダーを使います。

スクエアのPOSは、カードリーダーで商品情報をクラウドから取得し、レジ(端末)に情報を反映し商品を販売できます。


スクエア公式が作っている動画「エマのパン屋さん」を見るのが一番簡単に理解できると思います。これ以上わかりやすく表現できません。

Square POSシステム公式動画「エマのパン屋さん」


POSを通じて、売上把握はもちろんのこと、在庫がなくなると自動発注してくれる機能もあります。事業拡大と共に従業員の管理も可能、ECサイトの構築も可能です。

つまり、店舗に必要な機能が全てあるということです。導入手数料は無料、決済の手数料がスクエアの売上になる形となっています。


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スクエアのサービスを導入させればさせるほど売上は青天井に増えていくということですな。

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レジで顧客データを打ち込むことで顧客情報を獲得しマーケティングに役立てることも可能。


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POSってのは「Point Of Sales(=販売時点情報管理)の略」じゃ。ホテルとかコンビニなどリテイル業者が導入してるよ。店舗ね。

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(スクエアのPOSレジ)


POSシステムで業務効率化・人件費削減が期待できこれが大きなメリットです。スモールビジネスを徹底的にエンパワーメントしていく事業です。最高にクールですね。

昔はどデカイレジを店に置いてカチャカチャ計算して、何が売れているかどうかも棚卸などから推測していましたからね。スクエアのPOSシステムならピッと会計してそれが即時にデータになるのですから店舗経営している人にはGreatですよね。


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災害など停電が起きるとシステム止まるのでその瞬間だけはオワコンだよ♪

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■ Cash App


「Cash App」は日本でいう「PayPay」や「Line Pay」みたいなものです。


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(Square Cash App)


個人間送金(P2P)、ショッピング決済、給与振込、株式投資、ビットコインの購入などが可能です。PayPalのVenmoとほぼ同様のサービスです。

今は納税周りもM&Aを通じて強化。確定申告もできるようになる予定です。一部短期ローンも提供中($2〜$200)。個人のお金周りを一つのアプリで解決しようとする試みですね。


P2Pとは「Peer-to-Peer/Person to Person」の略称です。不特定多数の端末がサーバーを介さずに、端末同士で直接データファイルを共有することができる通信技術です。

要するにスクエアの取り組みはお金周りはスマホでサクサクやっちゃおうぜということですね。


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(Square Cash App)


「TIDAL」を最近買収しましたが、これはスクエアのマーケティングの特徴を悟ることができます。

スクエアは、ジャック・ドーシーがツイッターCEOであり、SNSなどでCash Appのダウンロード数をこれまで積み重ねてきました。


「お金周り」のアカウントを良く言えば現代風に、悪く言えばチャラい感じでダウンロード数を増やすそのマーケティング手法は過去に類を見ません。


ARKのキャシーが注目しているのもその点なのではないでしょうか。The Next Genaration的マーケティングですね。

SNSの影響力が日ごとに大きくなっていくのも感じます。日本企業も5年後にはSNS人材が一番重宝される時代がきているのかもしれませんね。


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個人決済、店舗業務管理、と実際すげー地味なのになんでこんなにカッコいいんやろ。

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ぺいぺい!ぺいぺぺいぺい!

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ふぁ?

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競合企業(PayPal/Stripe/COIN/AFRM)


決済領域で主要な競合は以下の通り挙げ始めるとキリがないくらいに現在は乱立しています。

キャッシュレス戦国時代です。中国ではアリババの「アリペイ」とテンセントの「ウィーチャットペイ」が殴り合ってます。


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もはや世界トップ経営者達、現金決済嫌いすぎワロタ。

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代表的な競合は以下の通りです。


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・Venmo(PayPal)
・Google Wallet(Google)
・Stripe(2021年上場予定)
・Coinbase(仮想通貨売買の部分で競合)
・Affirm(ローンの部分で競合)

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最大の競合はペイパルのVenmoになるでしょう。


ただ、仮想通貨決済領域におけるコインベースも、強大なライバルとして立ちはだかります。

因みに米資産運用大手フィデリティをはじめとした複数の金融機関が承認申請している「ビットコインETF」がSECに承認されたらコインベースは即死かもしれません。スクエアも仮想通貨領域での戦いは厳しくなるはず。手数料の安いETFでみんなビットコインを買うに決まってるからです。


米資産運用大手フィデリティ・インベストメンツ(Fidelity Investments)のチーフストラテジストが運用責任者を務める「ワイズ・オリジン・ビットコイン・トラスト(Wise Origin Bitcoin Trust)」が24日、SEC(米証券取引委員会)にETF(上場投資信託)の承認申請を行った。申請によると、フィデリティの各関連会社がファンドの運用、管理、カストディなどを行う。計画では、同ファンドが利用するインデックスは、フィデリティのビットコイン・インデックス。(引用:コインデスクジャパン「3月24日──フィデリティ、ビットコインETFの承認を米証取委に申請」


因みに暗号資産業界団体も2021年4月に設立しています。参加者はフィデリティ子会社のフィデリティ・デジタル・アセットやスクエア、米仮想通貨交換所のコインベース、米投資会社のパラダイムの4社。


米資産運用大手のフィデリティ・インベストメンツや米決済サービスのスクエアなどは6日、暗号資産(仮想通貨)の業界団体を設立したと発表した。仮想通貨に関する教育を広めるほか、各国政府に仮想通貨の市場拡大につながるルールの策定を働きかける。(引用:日経新聞「米で仮想通貨の業界団体 フィデリティなどが設立」


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殴り合うライバルが共同で団体を設立。これでどうのようなことが起きるのだろうか。

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業績(Q4/2020決算)

スクエアは、上記で見てきた通り、広範な「決済サービス」「POS(販売時点情報管理)システム」を提供するフィンテック企業です。


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今はビットコイン決済・売買と米政府の追加経済対策の動向は特に要チェックじゃ。

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スクエアの主な収益源泉は「決済手数料」です。Cash Appを通じた個人の送金などはもちろん、POSレジを導入している店舗(レストランや小売)で発生する決済にかかる手数料もあります。


企業決算分析をする上で、最優先で見なければならないのは、「実績(売上高・EPS・来期予想ガイダンス)」が決算前のアナリスト予想をしっかり上回っているかどうかです(ガイダンスを出さない企業もあるので注意)。


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※YoY = year over year(前年同期比)

・Square.Incの2020年4Q決算は、売上$3.16B、YoY+141%増(アナリスト予想:$3.11B)。→◎
・EPSは$0.32、YoY +39%(アナリスト予想$0.24)→◎
・ガイダンスはCOVID-19による見通しの不透明性によりなし。1月は速報でCash Appが月間最高新規アクティブ顧客数を達成。3月も米国政府追加経済対策による給付金の入金も見込まれ見通しは明るい。

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SQ Financial Highlights


■ Revenue(売上高)

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Q4-2020:売上$$3.16B、YoY+141%(アナリスト予想:$3.11B)。


キャッシュアプリが絶好調です。


スクエアの決算はビットコインの売上が入っているので成長率はGross Profitを見るのをおすすめします。(ビットコイン関連の粗利率はとても低いので)

Gross Profit(粗利)はYoY+52%の8.4億ドル。その中でもキャッシュアプリの粗利益のYoY+162%の3.77億ドルが圧巻です。爆発的な成長を遂げていますね。これはビットコインなしでもしっかり成長していることがわかります。


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(SQ:GROSS PROFIT)


米国政府の追加経済対策(給付金)によるキャッシュアプリの利用も追い風になっているでしょう。

その点は差し引いて考えなければなりませんが、多数の顧客を獲得できたことは事業成長へ大きなプラスであることは変わりません。Q3からの成長は特に凄まじいものがあります。


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※YoY = year over year(前年同期比)

Q1-2019:$0.96B
Q2-2019:$1.17B
Q3-2019:$1.27B
Q4-2019:$1.31B
Q1-2020:$1.38B(YoY+44%)
Q2-2020:$1.92B (YoY+64%)
Q3-2020:$3.03B(YoY+140%)
Q4-2020:$3.16B (YoY+141%)←New!!

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上記の通り、継続してYoYで強い成長を見せています。上記の売上の中でも、ビットコイン関連の売上が1.7Bのため、全体の売上よりも、後続のセグメント別の売上が重要になります。

(それも込みでアナリストは予想しているので、それを超えていることはポジティブに捉えられます)


2020年12月のCash Appの月間取引アクティブ顧客数は3,600万人を超えています。日本でいえば国民の3人に一人、米国でいえば10人に一人はアクティブにCash Appを使っていることになります。強い。モンスター。

月間取引アクティブ顧客数のYoY+50%以上と強い数字になっています。


セグメント別の業績は後続のKPI項目で。


■ EPS(1株当たりの当期純利益)

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Q4-2020:(non-GAAP)EPSは$0.32(YoY+39%、アナリスト予想$0.24)。


これで売上、EPS共にアナリスト予想はクリアしました。

EPS予想は「Yahoo Finance」で取れます。アナリストは保守的に予想を出すため、決算企業はこれを超えなければ市場から好感されません。


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(Yahoo Finance:SQ)


2020年を通じたEPSは$0.82(YoY+2.5%)。年間で見ると、そこまで伸びていないことがわかります。


過去のEPS(non-GAAP)とYoYの推移は以下の通りです。


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Q1-2019:$0.11
Q2-2019:$0.21
Q3-2019:$0.25
Q4-2019:$0.23
Q1-2020:$ -0.02
Q2-2020:$0.18(YoY -14%)
Q3-2020:$0.34(YoY +36%)
Q4-2020:$0.32(YoY +39%)←New!!

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EPS YoY SQUARE


直近二四半期ですが、強い成長力を見せています。これが政府の追加経済対策の援護射撃なし、また仮想通貨の波はどこまで続くのか(永遠?)しっかり決算ごとに数字を確認していきたいですね。


■ 調整後EBITDAマージン

Q4-2020の調整後EBITDAマージンは5.9%(Q4-19は9.02%)。利益効率は実は悪化。Covid-19の影響によるQ1-2020の取引・貸付損失引当金の増加が影響。


金融ビジネスは本当に「引当金」の世界ですね。


(ストックオプションではない)株式型報酬がYoY+40%と増加しているのも影響していると思います。


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(SQ adjusted ebitda)


企業KPI


■ GPV(グロスペイメントボリューム・総取扱高)


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グロスペイメントボリュームは$32B(YoY+11.8%)。


■ Seller Ecosystem/Cash App Ecosystem

スクエアの業績を見る上で、2つのセグメントが存在します。


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⑴ Seller Ecosystem(加盟店向けサービス、レストランや小売など)。
⑵ Cash App Ecosystem(個人向け決済サービス:相互送金、貯金、支出、投資)

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まずは、「Seller Ecosystem」から。


⑴ Seller Ecosystem(加盟店向けサービス、レストランや小売など)。

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※YoY = year over year(前年同期比)

■ Seller Ecosystemの売上:

2018:$2.72B
2019:$3.46B(YoY+27%)
2020:$3.53B(YoY+2%)

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年間を通じてSeller Ecosystemの売上は2019年対比+2%、粗利益+8%と急成長はしておりません。これは新型コロナ騒動で自粛が影響しています(2019vs2018は売上+27%、粗利+30%でした)。純利益は2.94億ドル。


今後の経済活動回復と共に伸びてくるセグメントです。


⑵ Cash App Ecosystem(個人向け決済サービス:相互送金、貯金、支出、投資)


次に「Cash App Ecosystem」の年間売上推移です。信じられない成長を見せています。仮想通貨の追い風と、コロナ感染拡大騒動に対する政府の追加経済政策がダブルで寄与しています。


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※YoY = year over year(前年同期比)

■ Cash App Ecosystemの売上:

2018:$430,051
2019:$1.11B(YoY+157%)
2020:$5.97B(YoY+440%)

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例えばこの中で仮想通貨(BTC)に関連する売上だけ見ても、2020年はYoY+785%となっています。(決済+売買益)

通常の決済の2020年売上高はYoY+221%(これも凄いのですが)、サブスクリプション収益もYoY+125%となっています。

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■ サブスクリプション:

Payroll
Square card
Square Appointment  など

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これらの成長も存分に強いですが、全体として業績を見る上では、仮想通貨の値上がり益は考慮してみる必要があります。


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Gross ProfitのQ4-2020は$377M、Q4-2019は144M。YoY+162%。立派な数字です。


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■ Seller GPV(グロスペイメントボリューム取扱高) mix by seller size


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全ての規模の販売者の取扱高の推移です。Q4-2020は$29.4B(YoY+5.3%)。

米国非常事態宣言に伴う活動自粛もありながら、取扱高は増加しています。これはオンラインでの非接触型商取引にかかる取扱高が増加したことによります。


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オンライン・オフライン双方で対応できるビジネスモデルじゃからこその結果じゃな。

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■ ビットコイン投資

スクエアは2020年10月(Q4-2020)にビットコイン(BTC)に約5,000万ドル(約50億円分)の投資を実行しています。

理由としては暗号通貨が経済にさらなる成長をもたらす一つの手段であることを挙げています。長期保有を明言しています。



In October, we invested $50 million in bitcoin as we believe cryptocurrencies are an instrument of economic empowerment, which aligns with the company’s purpose. We expect to hold this investment for the long term.The accounting rules for bitcoin will require us to recognize any decreases in market price below cost as an impairment charge, with no upward revisions when the market price increases until a sale.


また、仮想通貨の決済も2020年を通じて100万人以上がスクエアのキャッシュアプリで購入しています。


財務状況(資本配分/自社株買い/M&A)


■ 資本配分

スクエアは2020年に公募は実施していません。自社株買いの動きも特にありません。

株主資本合計(株主の持ち分にあたる部分)は2019年の1.72Bに対して2020年は2.68Bと増加。優先株が発行されています。


優先株は、普通株に比べて配当金を優先的に受けたり、会社解散時に残った財産を優先的に受け取れる等、権利内容が優先されている株式です(議決権は制限されるのが一般的)。


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(Square:Total stockholders’ equity)


一般的にクラスA株式=1株あたり1議決権を持った普通株式、クラスB株式=1株あたり10の議決権付与がなされた普通株式を指します。

また、2020年11月に11億5,000万ドルの転換社債の募集をしました。


財務の健全性は株主資本合計が増加しているので、この点のみでは測れませんが、安定性が向上しているように思います。


■ M&A

Q4-2020に「Credit Karma Tax」を5,000万ドルで買収。

Cash Appの税務申告製品としてエコシステムに組み込むことを目的としています。


FY-2021ガイダンス

FY-2021:

COVID-19の影響で先行き不透明であることから、今後の明確なガイダンスはありませんでした。


Q1-2021:

1月の結果については速報として発表されています。

Seller Ecosystemの売上総利益はYoY+15%とQ4-2020に比べ改善。GPVもYoY+5%、Q4-2020と同様の水準という結果に。

オンラインチャネルのGPVは引き続き好調。


Cash App Ecosystemの売上総利益はYoY+164%。Q4-2020比べ小幅改善。新規アクティブ顧客の獲得とエコシステムにおけるアプリ内他製品の採用も増加したことが寄与。

1月にはCash Appが月間最高の新規アクティブ顧客数を達成。政府資金が投入されたこと、ビットコイン、株式投資、キャッシュカード製品にて取引が増加。


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600ドルの追加経済対策・現金給付が追い風じゃな。特に年末年初は株式市場も小型株が乱高下しておった。現金給付の10%近くの資金がBTCと株式購入に充てられたと米国みずほ証券の調査で出ておるしな。

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米国政府は今月の早い時期に600ドル(約6万2000円)の現金給付を行ったが、そのころ市場では次のようなことが起きていた。低位株の取引急増、イーロン・マスク氏のツイートに端を発した勘違いで一つの企業の株価が急騰、テスラの時価総額1300億ドル増加、新規株式公開(IPO)銘柄の急伸、オプション取引の大幅増などだ。(引用:Bloomberg「600ドルの給付金で泡立つ米株式市場、続いて1400ドルなら一層膨張も」


ちなみに3月より追加で一人約15万円の現金給付もなされ、米国の小売売上高なども大幅増加しており、スクエアのキャッシュアプリはさらなる追い風に乗っているはずです。


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Q1-2021の決算(5月6日予定)、要チェックや!

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CANSLIM考察

「CANSLIM」は成長株発掘法の著者、ウィリアム・オニール氏の成長株の見極めに用いられる判断指標です。


オニール氏の理念は以下です。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

・CANSLIMを満たすかどうかで真の成長株かどうかを見極める。

・株価チャートで売買のタイミングを測り大きな利益の獲得を狙う。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


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これは要するに、「ファンダメンタルズ分析と株価チャート」の両輪ということですな。用心深い人じゃ。

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雰囲気で投資してました〜!!

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シトロン・リサーチのショートレポートには気をつけてね。

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また短期投資・中長期投資などと投資手法を分けず、「正しい銘柄を正しいタイミングで売買する」としています。

短期投資か長期投資かという選択はほぼないはずだ、ということです。

良い銘柄はそもそも売り時を与えてくれず、そのまま何倍株になると言っています。


まずは、CANSLIMを通して、スクエアはオニールが定義する「成長株」と言えるのかどうかを見ていきましょう。


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筆者が行った判定結果は以下の通りでした。


C:◯
A:X
N:X
S:X
L:◯
I:◯
M:◯


ここまでイノベーティブな会社は、「買いでしょ!」と思ってしまいますが、オニール流の銘柄選定法ではそうはいきませんでした。全てが◯の最高の企業を探さなければなりません。

企業が大化けするかどうかは置いといて、「株で勝つ」には投資銘柄として該当しないということです。


ここまで厳しく銘柄を見るのは、米国株銘柄は6,000以上もあるのだから、最高の銘柄を探すべきである、ということですね。


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雰囲気で買わせてくれない巨匠、オニール殿・・・。

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それぞれの判定の解説は以下の通りです。

(2021年4月18日時点の株価チャート)

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■ C(=当四半期のEPSと売上)  ◯

C(=Current Quarterly Earnings)を見ていきます。

ここでは以下の2つを判定します。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

⑴ 当四半期のEPSが前年同期比で25〜30%以上か?

⑵ 売上が25%(または直近3四半期で伸び率が加速)以上伸びているか?

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


⑴ 当四半期のEPSが前年同期比で25〜30%以上か?


当四半期のEPSが前年同期比で大きな伸び率を示しているかどうかを見ます。最低目標は25〜30%です。より保守的に見るのであれば40〜500%です。


スクエアのQ4-20のEPSはYoY+39%でした。保守的に見る水準に近くこちらはクリアです。


⑵ 売上が25%(または直近3四半期で伸び率が加速)以上伸びているか?


次に売上の伸びを見ていきます。直近3四半期で25%以上伸びていますので、こちらもクリアですね。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

※YoY = year over year(前年同期比)

Q1-2019:$0.96B
Q2-2019:$1.17B
Q3-2019:$1.27B
Q4-2019:$1.31B
Q1-2020:$1.38B(YoY+44%)
Q2-2020:$1.92B (YoY+64%)
Q3-2020:$3.03B(YoY+140%)
Q4-2020:$3.16B (YoY+141%)←New!!

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■



EPS、売上双方クリアしているので、C(=Current Quarterly Earnings)は「◯」です。保守的に見ると物足りないのかもしれません。


■ A(=年間EPSの増加、高いROE水準) X

次はA(=Annual Earnings Increase)です。


ここでは以下の2つを判定します。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

⑴ 年間EPSが過去3年連続で増加しているか?

⑵ 企業のROEが最低でも17%を超えているか?

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


⑴ 年間EPSが過去3年連続で増加しているか?


年間EPSが過去3年連続で増加しているかどうか、増加率が25〜50%以上の銘柄かを見ていきます。

2年目のEPSが下がっている銘柄は除外されます。また、企業のROEが最低でも17%を超えているかどうかをチェックします。


スクエアの過去の年間EPSを見ていきます。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

2017年(参考):$0.27
2018年:$0.47(YoY+74%)
2019年:$0.80(YoY+70%)
2020年:$0.82(YoY+2.5%)

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


3年連続増加である点は「◯」。もはや2019年までのEPS成長がとんでもないのですが、2020年はCovid-19の影響などもありつつ、EPSをプラスまでもっていっています。


アナリストのコンセンサス予想(2021年4月10日時点)は翌年EPSの上昇を見込んでいます。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

2021年:$1.22(YoY+49%)
2022年:$1.89(YoY+55%)

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


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(Yahoo Finance:Square, Inc. (SQ):Earnings Estimate)


常にアナリストが上昇を見込んでいることが大切です。率はあくまでも見通し(=個人的な意見)です。しかし...2021年は49%成長、2022年は55%成長を予測ですか。

これから政府からの現金給付という追い風があり、仮想通貨旋風も続き、そして経済が回復に向かえば間違いなく2020年に獲得した顧客資産をもとに、成長が加速するということなのかと想像します。


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アナリストは保守的に見積もるのが普通だけどね。

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⑵ 企業のROEが最低でも17%を超えているか?


次にROEです。最低でも17%を超えているかどうかをチェックします。

スクエアの直近12ヶ月(=ttm)のROEは9.69%です。

EPS成長率はokですが、完璧にオニールの買い基準全てをクリアするという前提であれば、A(=Annual Earnings Increase)は「×」になってしまいました。


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(Yahoo Finance:Management Effectiveness)


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大企業じゃもうROE17%超えって無理じゃねと思うんだけど、AAPLとか自社株買いもあり80%超えてるんだよな・・・NVDAも29%、NFLXも29%・・・卓越した企業は化け物にもほどがある・・・。

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■ N(=新興企業、新製品、新経営陣、正しい株価ベースを抜けて新高値) X


N(=New Products, New Management, New Highs)を見ていきます。

株価が驚くような上昇を見せるには何か新しいもの(収益増加率を加速的に伸ばす原動力)が必要です。


Seller EcosystemもCash Appも様々なサービスが次々にリリースされ、3月2日に銀行業務も開始したとありますが、やはり仮想通貨決済の導入が一番大きなトピックではないでしょうか。

仮想通貨売買の取引自体はスクエアは2017年より実施しています。これが今追い風になっています。現在は仮想通貨への個人の投機の加熱や、既存金融市場(フィデリティ等のビットコインETF)の介入など盛り上がりを見せています。

その意味では、ビットコイン取引は新製品と捉え、N(=New Products, New Management, New Highs)は「◯」にしたいところです。


しかし、CANSLIMの「N」は株価チャートが正しく形成されたベースから抜け出て新高値をつけ始めた銘柄を買うべきとされているので◯にしたくてもできませんでした。

「×」になります。後続の株価チャートのところでも触れますが、4月18日現在、スクエアの株価は新高値が近いです。


この時点で、CANSLIMの「N」は「◯」になるでしょう。


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オニール氏、厳しすぎて痺れる。

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ただし、どこかの運用会社のビットコインETFが承認された時点で、スクエアのN(=New Products, New Management, New Highs)は明確に「×」になるのではないかと思います。

その点は注意です。スクエアでわざわざ仮想通貨に投資をする理由がなくなるからです。


■ S(=株式の需要と供給) X

S(=Supply and Demand)を見ていきます。


Sは以下の複数項目があります。一つずつチェックしていきます。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

⑴ 浮動株比率(大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましい)
⑵ 自社株買いをしている企業かどうか。
⑶ 企業の負債比率が低く推移しているかどうか。
⑷ 直近の出来高(機関の大きい買いが確認できるか)

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


⑴ 浮動株比率(大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましい)

(2021年4月16日時点)

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(Yahoo Finance:shares outstanding of square)


例えば、発行済株式数が5,000万株ほどの比較的供給量の少ない銘柄ならある程度の買いが入ります(その分リスクも隣り合わせです)。

スクエアの総発行株式は389.93百万株です。(4億5千462万株)


スクエアの浮動株の数を見ていきます。

大企業(米国基準で時価総額100億ドル以上)であれば経営陣が1-3%、中小企業であればそれ以上が望ましいです。

企業として株価上昇に対する努力への期待度を示します。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

・Shares Outstanding(総発行済株式数):389.83百万株
・Float:(浮動株式数):387.36百万株
・浮動株比率:99.37%

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スクエアの時価総額は2021年4月10日時点で1,196億ドル(約12兆円)なので「大企業」です。

同社の浮動株比率は99.37%。浮動株比率が1%を下回っているため、この点は経営陣があまり株式を持っていないことを意味するので減点対象です。


⑵ 自社株買いをしている企業かどうか。

上記「財務状況」の項目でも触れましたが、オニール流の「自社株買いをしている企業が望ましい」という点については、スクエアは満たしていません。アップルやペイパルのように積極的な自社株買いを行う方針は出していません。


⑶ 企業の負債比率が低く推移しているかどうか。

次に、総資本に対する負債比率の低い企業かどうかを見ていきます。

過去2-3年で負債比率が減少していれば、利息支払い費用が削減されEPS向上が見込まれます。


特にIPOしたばかりのグロース株は収益が小さいため、この利息費用のインパクトが大企業に比べて大きいので、しっかり見ておく必要があります。


[2019〜2020年]

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[2018〜2019年]

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■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

■ 2020年

総資本:9,869.55 million
負債:7,187.981 million
負債比率:72%


■ 2019年

総資本:4,511.258 million
負債:2,836.208 million
負債比率:62%


■ 2018年

総資本:3,281.023 million
負債:2,160.522 million
負債比率:65.9%

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


簡易的ではありますが負債比率は2019年から2020年にかけて増加してしまっています。


⑷ 直近の出来高(機関の大きい買いが確認できるか)


最後に、直近の出来高についてです。

(見難いのでクリックして拡大推奨)

SQの直近3ヶ月の出来高推移

(SQの直近3ヶ月の出来高推移)


直近3ヶ月は2/24-2/25に集中的に売られ、出来高が大きく上昇。機関投資家が売り抜けしたと確認できます。次いで、3/3-8の出来高も急増しており、こちらも連日のSQ株の売りが続きました。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

(2月23日)出来高:18.97M 株価前日比:-4.29%
(2月24日)出来高:26.12M 株価前日比:-7.51%
(2月25日)出来高:15.92M 株価前日比:-4.30%
(3月3日)出来高:12.15M 株価前日比:-4.29%
(3月4日)出来高:18.50M 株価前日比:-7.51%
(3月5日)出来高:24.77M 株価前日比:-4.30%
(3月8日)出来高:13.49M 株価前日比:-6.73%

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この時期はナスダック暴落、ハイパーグロース株は狙い撃ちされたかのように売られまくっておったな。マルチプル・コンストラクションというやつじゃ。長期金利も50%(1%→1.6%)くらい急騰。ARKのファンドマネジャーであるキャシーウッドも「Tsunami」と表現するくらいの大きな市場の動きじゃった。

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※マルチプルコンストラクション=市場参加者の評価が下がりEPSは悪くないのに株価が上がらない状態。


しかし、4/7-4/9に出来高を伴った株価上昇が確認でき、機関が買い直していることが想像できます。一度大きな調整が入った後に、早い段階で出来高が大きくなり上昇をする銘柄は有望です。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

(4月7日)出来高:17.01M 株価前日比:+3.64%
(4月8日)出来高:15.73M 株価前日比:+5.41%
(4月9日)出来高:14.97M 株価前日比:+1.27%

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


3ヶ月の平均出来高は10.36Mです。この出来高を超えての上昇は期待が持てますが、4/14の出来高12.49M(株価前日比-5.43%)は売り抜けた機関が出てきている兆候も少し感じます。5/6の決算までの動きは気をつけて見ていく必要があります。

基本に忠実な投資をするのであれば、大きな出来高を伴い新高値を突破したタイミング、若しくは5/6決算で良い数字を出して、しっかり出来高を伴い上昇したのを確認してから投資するのが良いと思います。


大型の自社株買いなどありませんが、経営陣が株式を大量に保有しておらず、負債比率も上昇傾向。直近出来高も少し不透明感漂い、S(=Supply and Demand)は、浮動株比率と負債比率を総合的に判断すると「×」でしょうか。


■ L(=主導銘柄か、停滞銘柄か) ◯


業界内で最高の業績を記録しているかどうかを測る「L(=Leader or Laggard)」を見ていきましょう。

ここでは業界内上位2-3銘柄に入っているかどうかを判断します。


これは、レラティブストレングス指数が80〜90代かどうかで判断をします。

レラティブストレングス指数とは、ある特定の銘柄の値動きを市場の残りの銘柄の値動きと過去五二週間にわたり比較するものです。 各銘柄に一~九九の数値が割り当てられ、高ければ評価が良いと判断されます。


2021年4月18日時点のスクエアのRS Rateは94でした。

銘柄検討を実施する大前提となる80の数字を上回っています。


スクエアは文句なく、L(=Leader or Laggard)「◯」です。因みに、競合の「PayPal」は81でした。


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(SQ:Market Smith)


■ I(=機関投資家による保有) ◯

I(=Institutional Sponsorship)を見ていきます。

株価を押し上げるには大きな需要が必要です。投資信託、年金基金、ヘッジファンド、保険会社など。機関投資家に保有されている銘柄であるかどうかが非常に重要になります。


また、その機関投資家は高いリターンを出す優秀な組織体(ファンド)なのか?という点も大切です。


見極め方として、最近の四半期で保有する機関投資家の数が着実に増加しているか、株主数が著しく増加しているか。

また株主となった機関投資家は誰なのかまで詳しく調べます。


「優秀なファンドが大人買いしているか」を満たさなければならないのでかなり高度な判定です。


まずはスクエアの機関投資家保有株数の直近の動きです。


(引用:Fintel「Institutional-Ownership-and-Shareholders」)

(引用:Fintel「Institutional Ownership and Shareholders」)


2019年後半以降、機関投資家の保有分は増加しています。2020年末にかけての増加はそれほど大きくはありませんが、それでも増加していることに変わりありません。


2021年に入り直近の動きは上記のグラフでは追いきれませんが、株価チャートの出来高からは、2月後半から3月前半にかけて大きな機関投資家の売り抜けが確認できました。しかしその後の4月7-9日あたりで大きな買いの出来高が確認できますので、機関投資家が戻ってきてるように思います。

また、情報をアップデートしていきます。


参考までですが、以下はMarketSmithで確認できる、スクエアに投資をしている機関投資家(ファンド)の数です。


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■

Mar-20:1,247
Jun-20:1,385
Sep-20:1,554
Dec-20:1,779

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■


直近の株主は以下の通りです(Yahoo Finance:Holders)。


Top Institutional Holders

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Top Mutual Fund Holders

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「Top Mutual Fund Holders」に2020年の米国株式市場の英雄「ARK」がいます。


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キャシーにお任せっ!!

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(「テスラ株で儲けた金でテスラ を買う」を体現するARKファンドマネジャーのキャシー(嘘))


ベンチマークを超えるリターンを超えることが使命とされるのがアクティブファンド。


スクエア保有第4位アクティブファンドである「Growth Fund Of America Inc(AGTHX)」の10-year average annual return (%)=14.96%となっています。

第5位の「Harbor Capital Appreciation Fund」は10-year average annual return (%)=17.39%。


S&P500の過去30年の換算1yrリターンの10%程度を上回っているため、優秀ファンドといえるでしょう。


上記2ファンドの2020年リターンは50%以上。超優秀ファンドにスクエアは購入されているということです。


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優秀ファンドの大人買いにイナゴしなさい!

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直近四半期(10-12月)で機関投資家の保有数量が増加し、優秀なファンドにも購入されているので、I(=Institutional Sponsorship)は「◯」という判定になるでしょう。


■ M=(株式市場の方向) ◯

M=Marker Directionはスクエア株に関わらず全銘柄に関わることです。

「強気相場」であればハイパーグロース株を積極的に買っていっても良いとされています。2021年4月19日現在は強気相場です。

その根拠は週刊レポートで確認してください(毎週末に定期更新)。

米国株式市場:今週の合戦の振り返り!


2021年4月16日時点の株価チャート

CANSLIMで銘柄選定ができれば、あとはチャートでタイミングを測るだけです。すでにCANSLIMの判定結果は芳しくありませんが、チャートを一応見ていきましょう。


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上記「S」でも述べましたが、2021/2/23-25、3/4-5に集中的に売られています。これは機関投資家の売り抜けと判断できますが要因はマルチプル・コンストラクションの問題が大きいです。グロース株はこの時期全面急落でした。


4/7-9に出来高の大きい買いが見えますのでここで機関投資家は戻って来ているのではないかと推測できます。株価もそれに合わせてしっかり上昇。その後4/14に出来高を伴った大きな売りが一回あるのでこの点は気をつける必要があります。

5/6に決算を控えていますが、上記の業績項目(ガイダンス)で触れましたが、1月はすでにCash Appが月間最高の新規アクティブ顧客数を達成しています。


また、追加経済対策の給付金配布と仮想通貨の盛り上がりの追い風をもとに、素晴らしい決算が期待されます。

株価が$283.20の新高値を記録すると、値動きは上に軽くなるものと思いますが、決算を待つ機関投資家も時期的にまだまだいそうですね。

教科書通りの投資をするのであれば、大きな出来高を伴い新高値を突破したタイミング、若しくは5月6日予定の決算で良い数字が出て、大きな出来高を伴い上昇したのを確認した上で投資するのが安全だと思います。


機関の大きな買いが起こるタイミングは、まずは決算(毎回決算チェックをするのはこのため)、または大きなGood Newsが必要です。

ビジネスモデルを分析してしっかり理解するのは、このニュースが良いものなのかどうかを判断できるようになるためです。


-完-

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