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栴檀の料理の掟。

梅雨も明け一気に夏がやって来ましたね。
皆様いかがお過ごしでしょうか?

今日は料理旅館である栴檀の料理についてお話しさせていただきます。

栴檀流という料理の掟

栴檀流と言う料理の順番があります。

前菜 吸物 刺身 炊合わせ 焼物 油物 酢の物 ご飯 甘味 の順です。

板長が変わっても必ずこの順番で料理が出ます。

何かの都合で炊合わせと焼物が変わったりするときがたまにあるかもしれませんが、よっぽどのことがない限りこの順番で出します。
この50年の間で何人も板長は変わってますが、お客様には変わってるのはわかりにくいわけです。

料理の順番以外にもう一つ。
刺身に海老を使ったら他の料理で海老を使うことはありません。野菜にしてもしかりです。煮物で蓮根饅頭が出たら他の料理で蓮根が出ることはありません。

一式と言いますが、オコゼ尽くしのように同じ素材で前菜からご飯までと言う時以外は素材を重ねて出す時はありません。

重ねて出す方が無駄がないのですが、それが栴檀流なのです。

今の時期なら刺身に鱧の湯引きを出して炊き合わせに鱧鍋を出したいところですが、旬であってもどちらかしか出しません。

たくさんの今までの献立。私と次の人達への宝物です。献立に困った時に引っ張りだしてみるものなのです。

ただ料理にも流行がありそのままを再現すると少し若い方には好まれない場合があります。
少し挑戦する料理を考えます。

吸物
桃を凍らせて器にして桃の冷製の摺流し。白桃は少し時間を置いてスプーンで召し上がっていただきます。見た目は洋風に見えますが、ちゃんと鰹出汁で味を整えておりますので和食です。

焼物
甘鯛にアワビのかりんとう。かりんとうと言っても甘くありません。アワビを干してかりんとうように揚げて手で摘んで食べられる物です。甘鯛の柔らかい食感とアワビのかりんとうの歯応えが面白い一品です。


料理は甘味まで全てホームランなら最高のように思いますが、強弱がある方が面白いように思います。しっかり手の込んでるものとあっさりとあまり手を加えない素材を活かしたものを組み合わせ。

召し上がるお客様にはその方が気楽に食べていただけるように思うようになりました。

料理は深いです。その深さを追求しながら、召し上がるお客様が楽しんでいただけるように栴檀流の献立を今日も立てます。

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