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ユーザーテスト前に自分がテストする、認知的ウォークスルーのすすめ

こんにちは、noteでUXリサーチャーをしている仙田です。

ユーザーテストを実施する前に、自分がユーザーになり切ってテストの一連の流れを体験するようにしています(認知的ウォークスルーというらしい)

大きな目的は、ユーザーテストのタスク設計の欠陥を予め確認することですが、テストを実施するリソースがない時や、専門家でない人でも短時間でユーザー課題を発見できる手段なのでオススメです。

最近重要性を再確認したので、いつものやり方とコツをまとめてみます。

ユーザビリティーテストをする方、やってみたいけど時間がない、やり方がわからない方に読んでみて欲しいです。

認知的ウォークスルーとは。

こちらの記事から引用させていただきます。

ユーザビリティ専門家が、ターゲットユーザーになったつもりで評価対象のサイトを閲覧/操作してみることによって、様々な問題点を指摘する手法

Accessible & Usable

↑この一言です。このブログでわかりやすく説明されてるので、深堀りしたい方は読んでみてください。

そんな認知的ウォークスルーを行うメリット/デメリットをまとめると…

メリット

  • ユーザーテストをする時間やリソースがなくても一人で課題が発見できる

  • テスト本番のシナリオやタスク設計の欠陥にあらかじめ気付ける

  • テストで検証したい新たな仮説が生まれる

■デメリット

  • 本人の主観によるところが大きいので、ウォークスルーだけだと視点が偏る可能性がある。(本当はその後にユーザテストも実施するほうが理想的ですが、やらないよりやった方がいいと思っている。)

実施のコツ

以前実際に行ったウォークスルーを例に、実施の流れとコツを説明します。

ターゲット:初めてnoteで記事を購入する人(非会員)
知りたいこと:会員登録と記事購入までのフローでつまづくポイントがないか
タスク:ブラウザを立ち上げて、こちらの有料記事を購入してください。

実際にスクリプトに書いたタスクとシナリオ

0.本番と同じ準備をしておく

僕はmiroに該当画面のスクショを聞くことを書き出しておくタイプなので、準備しておきます。

タスク設計の手順についてこちらの記事をご覧ください。


1.本番と同じ流れで行う

できるだけ本番とおなじ流れで行います。1人でPCに映し出したタスクをみながらスマホで記事を購入します。

今回は、note非会員が有料記事を買うことがタスクなので、以下のように当日の挙動を再現します。

  1. 一回noteからログアウトして、新規登録用のダミーのメールアドレスやパスワードを用意しておく

  2. 事前インタビューを自問自答する

  3. タスクを確認する(タスクの文章を表示し、有料記事のURLを提示、送信する)

  4. 実際に購入する

ただ記事を購入するだけではタスク設計の課題に気づけないので、ちゃんと通しでやるのが大事。

実際に気づいたこと↓

■シナリオやタスク設計の不備に気づける。

  • 実際に購入するにはクレジットカード入力必要だし、購入モーダルまで到達したらテストは切り上げて良さそう。

  • 想定していたより画面遷移数が多かったので、予め議事録に追加しておこう

  • タスク提示文が言葉足らずで、初見の人から理解難しそうなので調整しよう

  • 事前インタビュー、自分がした回答では目的から逸れるので見直そう

■課題・仮説が発見できる

  • 会員登録後、購入しようとしていた記事にリダイレクトしたほうが購入がスムーズなのではないか。

  • 登録のオンボーディングが長く、その間に購買意欲が落ちてしまうのではないか。

  • そもそも購入に登録が必要ということに気づかないのではないか。

→すぐに改善して良さそうな課題はチームに共有し、新たに判明した仮説はスクリプトに記載しておきます。

議事録・スクリプトに画面と仮説を記入する欄があるので、書き足しておきます。

ユーザテストを実施するリソースやノウハウが乏しい時は、簡単に課題発見ができるので、これだけでも実施の価値があると思います。

余談ですが、ユーザビリティテストを行うときは、miro上のこんなフォーマットでやっています。(運用トライ中)

タスクとシナリオや、関連する画面のキャプチャ画像、仮説をあらかじめ記載しておき、当日はここにリアルタイムでユーザーの行動を書き込む。


2.当事者になりきる

実際にテストをするユーザーに自分自身がなりきるようにしています。
その時だけ、note社のUXリサーチャーの仙田ではなく、一般のnote非会員である仙田になりきります

そうすることでよりユーザーに近い視点で設計やサービスの課題を発見できます。

一緒に働いているMahiroさんとこの話をしたんですが、Mahiroさんの中ではスイッチを切り替えのイメージがあり、「ザ・ファブル」の殺し屋⇄一般人のマインド切り替えがそれに近いらしいです。すごい。

(殺し屋ファブルは一般人になりきる時、変顔でおでこをトントンするルーティンがある)

3.画面録画しとく

ウォークスルーの様子は動画に撮っておくと、その時点で分かった課題がチームに共有しやすくなります。

slackに共有した様子。動画もセットで共有する挙動が伝わりやすい。

静止画や言葉だけでは伝わりにくい挙動が動画なら伝わりますし、自分が見落とした課題に気づいてもらえるかもしれません。

特にちょっとしたエラーや 挙動のバグなどは再現性が低かったりするので、あとからエンジニアに状況説明するのに(僕のボキャブラリーとリテラシーでは)苦労します。あらかじめ動画を撮っておけばそれを見せるだけで状況説明が済むので、お互いにハッピー。


ウォークスルーの手順について詳しく知りたい方はここら辺を読んでいただけると良いかも。


まとめ

こんな感じで認知的ウォークスルーは事前にタスクの不備や課題に気づけるので、ユーザテストに向けた下準備として、もしくはリソースが限られていてユーザーテストが実施できない場合などにオススメです。

最近意識して取り組みだしたので、正しいやり方ではないかもしれないのですが、記録として書いてみましたが、誰かのお役に立てば幸いです。

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