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2021年始ホリデイリード

2020年から始めたnote記事ですが、今年もどうぞ宜しくお願いします。

コロナ禍のためにステイホームなこの年末年始、種々の「積ん読」をこなすことができたので、少しご紹介。

サムネイルにした2冊は着物関係。90年代の終わり、着物を着ることがマイブームで着物関係の本や雑誌を読み漁った時期があった。ここ数年はお茶のお稽古も途切れてしまい、さらに昨年はコロナのために、一度も着物に袖を通さず終い。

左側は布で装丁されている立派な図録。この時期、東博に観に行くことはできなかったが、オンラインで図録の販売があることを友人から聞いて即、ポチリ。ゆっくり眺める気持ちになれないまま年始休みに突入。

着物は二次元に作られているので、衣紋に掛ければそのままアートになる。改めて見ると、昔の着物に、なんと大胆なデザインが多いことか……。ある意味、今「古典的」な模様として扱われている柄は大人しすぎるくらい。

細帯から丸帯への変遷も、織りの技術進歩の表れ。さらに帯留め、簪、根付などの小物も扱われていて興味深かった。本当はさらに、帯揚げやら半襟やら草履やらもあるのだけど。

もう1冊は昨年10月に刊行された、『きもの解体新書 日本文化から学ぶ、多くのこと』(春陽堂書店)という本。筆者の中谷比佐子氏の記事は、かつて『きものサロン』(現在はきものSalonというロゴに変更)という雑誌でずっとフォローしていた。

着物の本の多くは、帯合わせや着こなし等のノウハウ本か、着物好きな著者のコレクション自慢に二別されるのだが、この本はまったく独自の立ち位置であり、着物文化の背景の掘り下げ方が半端なく深かった。本の構成にそれはよく表れている。

はじめに 着物は日本文化の宝庫
第1章 すべての着物は「素材」が大切
・絹 ・麻  ・木綿
第2章 「身体」を知り自由に楽しむ
・足 ・脳  ・骨盤 ・胸 ・肩甲骨 ・鎖骨
第3章 きものの正しい「名称」を覚える
・袖 ・身頃 ・衽
第4章 「作法」で美しい振る舞いを
・立 ・座  ・歩 ・蹲 ・掴 ・着 ・脱 ・畳
第5章 きものは「経済」を教えてくれる
・生産 ・流通 ・消費
おわりに ご自分で着物の扉を開けてみて

例えば、着物の素材の1つである絹については、その成分、蚕の生活環、餌となる桑の木にまで言及されている。その上で、なぜこの天然繊維が、夏は涼しく、冬暖かいのか、肌に優しいのかなどがロジカルに説明されているのだ。

平面で構成されるために、無駄な切れ端が出ないのも着物の特徴で、きわめてサステナブルなのだが、三次元の身体に纏うときのポイントも、「足、脳、骨盤、胸、肩甲骨、鎖骨」を意識すると良いとの指南。

さて、2021年は着物でお出かけできる機会はあるだろうか……。すべてはコロナ次第だ。

同時並行かつ乱読なのが筆者の特徴だが、他にいくつか読みかけの本をご紹介。

『芸術を創る脳 美・言語・人間性をめぐる対話』(酒井邦嘉編、東京大学出版会)は、過日、脳科学若手の会東北部会のオンラインセミナーの講師をお務め頂いた酒井邦嘉先生により、曽我大介、羽生善治、前田知洋、千住博という豪華な相手との対談集。表紙はモンドリアン的。

今度、対談予定のアンデシュ・ハンセン博士の著書『スマホ脳』(久山葉子訳、新潮新書)を読んで予習。「スティーブ・ジョブズはわが子になぜiPadを触らせなかったのか?」というキャッチコピーで知っている方もいるだろう。

おや、こちらも新潮新書だった。この手の本は慎重に扱うことにしているが、農薬(殺虫剤)のネオニコチノイド(ネオニコ)が神経発達障害のリスクになるという可能性が指摘されていることから、読んでおこうと思った次第。

最後は、図書館で借りた1冊。東北大学文学部名誉教授の大渕憲一先生の著書『新板 人を傷つける心 攻撃性の社会心理学』(サイエンス社)。コロナ禍でストレスのかかっている私たちは、攻撃性が増しているのだろうか。下記の瀬名秀明さんとの対談も合わせてご紹介。


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