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『ロスノフスキ家の娘』はいつ誕生するか?

まだ最終的に結果が出ていない州がいくつか残っているが、ジョー・バイデン氏が大統領選挙の当選に必要な選挙人の半数以上を獲得し、第46代の大統領に当選確実となった。投票日から4日が過ぎていた。気持ちが新鮮なうちに、いくつか思うことを記しておきたい。(画像の提供元はAPの「UNDERSTANDING THE ELECTION」というサイトが提供しているリアルタイムのデータ分析インフォグラフィックスの日本語版)

2016年の前回の大統領選挙の結果が出たときに、ブログ『仙台通信』に記事を書いていた。あえて政治的な面にはまったく触れず、ジェンダー問題に若干の心理学的考察を加えたものだ。

今回の選挙結果の中で筆者がもっとも重要視している点は、副大統領としてカマラ・ハリス氏が予定されていること。米国史初めての女性副大統領となる。「マダム・バイスプレジデント」という称号が初めて使われることになる(「ミセス」ではないのね)。下記、日経記事でハリス氏を「黒人・女性」としているが、実際にはインド系とのハイブリッド。

ヒラリー・クリントン氏がドナルド・トランプ氏に敗北した4年前、米国のジェンダーギャップはまだまだあるのだと感じた。実際、上院下院議員の女性比率は25%程度であったかと思う(それでも日本の倍以上)。今回、ハリス氏が副大統領になるということは、その次のステップである大統領のポジションに大きく近づいたことになる。バイデン氏がオバマ政権の副大統領として、当時40代であったバラク・オバマ氏を支えたことはよく知られる。

もちろん大統領へのステップアップは、ハリス氏が副大統領として良い仕事をした上で、ということになるので、次の4年後を目指してぜひ、頑張って欲しい。

なお、本コラムタイトルにした「『ロスノフスキ家の娘』はいつ誕生するか?」の『ロスノフスキ家の娘』は、筆者がかつて読み倒したジェフリー・アーチャーの小説のタイトル。原作『The Prodigal Daughter』が出版されたのは1982年。ポーランド系移民の娘が米国で初めての女性大統領になるというストーリー(新潮文庫さん、このタイミングで、ぜひKindle化して下さい♫)。この本から40年弱、まだ予言は実現していない。

『ロスノフスキ家の娘』は東欧移民の系譜だが、いずれにせよ、多様な人材のちからが活かされることこそ、良い社会に繋がるのだと思う。さて、日本はどうか……。塩野七生氏は「多様性はローマに学べ」と仰っている。

ローマ帝国反映の鍵としての多様性は女性の参画ではないが、ルネサンス期に活躍した女性については『ルネサンスの女たち』に。




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