明るい気分になれるおすすめミステリ by 神無

エラリイは云った。

「僕にとって推理小説とは、あくまでも知的な遊びの一つなんだ」(綾辻行人『十角館の殺人』〈新装改訂版〉講談社文庫, 2007年 P.13)

そして、彼はこう続けます。

「云いたいのは、遊びを知的に行う、その精神的なゆとりが持てるかどうかってこと」(同上 P.15)

自粛、延期、中止
毎日こんな言葉ばかり目にする今日この頃、気分はどんよりですよね。

でも、こんな時期だからこそ、エラリイのように精神的なゆとりを持って(持ってるふりでもいい)推理小説という、ゲームを堪能しようじゃありませんか！

と、言うことで、明るい気分になれるミステリを〈日常ミステリ〉のジャンルから1つ紹介したいと思います！
(※館シリーズへの愛は場所を改めていずれ書きたいと思います)

タイトル『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』
著者　青崎有吾
発行　東京創元社
ISBN　978-4-488-44313-9

#人が死なない #学生探偵
#短編小説 #読書 #私のイチオシ

こちら「裏染天馬シリーズ」の第3作目になるのですが、これだけ読んでも十分に楽しめる1冊になっています☆

*裏染天馬とは─学年トップの成績を収めるアニメオタクの貧弱駄目人間探偵。

それでは、簡単に収録作品の紹介を。

◆もう一色選べる丼
学食のどんぶりを外に放置した犯人は誰？お箸がないのは何故？頼んだソースカツ丼を残した訳は？どうして外で食べたのか…たくさんの謎とスピーディーな推理に心が躍ります！
#どんぶり推理 #あいつは反省すべきだ

◆風ヶ丘五十円玉祭りの謎
夏祭り。お釣りをすべて五十円玉だけで返してくる屋台。なんのためにそんなことをするのか？仲間との調査、楽しい掛け合い、そして解決。まさに青春ミステリここに来たり！
#そのシロップなんの味ですか #セロリ

◆針宮理恵子のサードインパクト
目つきと口調がきつめの金髪女子、針宮理恵子。吹奏楽部の年下彼氏が先輩たちからいじめを受けている！？ 天馬の推理と、おせっかいと、恋の発展をお見逃しなく♡
#ツーショット以外認めないからな

◆天使たちの残暑見舞い
教室から突如消えた女子生徒の謎に挑む「密室ミステリ」よっ！待ってました！学校ならではのトリックに思わず笑みが。さぁ歌舞伎揚げを片手に読もう！(本を汚さないようにね)
#妙な体験をした #人間消失

◆その花瓶にご注意を
吸い込まれるような黒い瞳を持つ第二の人物が、校内で花瓶を割った犯人を追う物語。頑張れ！負けるな！と応援したくなるドキドキの一編です！
#噛むどころか舐めてたでしょうが

◆世界一居心地の悪いサウナ
映画のエンドロール後のおまけ映像の如く描かれたこの1話。こんな重要なシーンを短編の最後に持ってくるとは……！
#世界で二番目に

***

肩の力を抜いて読めるのが〈日常ミステリ〉のいいところ。

天馬くんと肩を並べて謎を解いたり、柚乃ちゃんと一緒に翻弄されたり、ユニークな登場人物たちと、謎がいっぱいの学園生活を送ってみてはいかがでしょうか♪

風ヶ丘五十円玉祭りの謎 (創元推理文庫)

十角館の殺人〈新装改訂版〉 ｢館｣シリーズ (講談社文庫)