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ジェンダー論公開講座「メディアとジェンダー ~表現ににじむ無意識の価値観」【イベントレポ】

様々な社会課題の背景をジェンダー視点で読み解く「ジェンダー論講座」。今回は「メディア」に焦点を当て、多様性に配慮した表現について考える講座を実施しました。

講師は近代美術史・ジェンダー史を研究する日本女子大学学術研究員の吉良智子(きら ともこ)氏。
2021年1月から12月にかけて東京新聞夕刊で「炎上考」を連載し、2022年3月にEGSA(Education of Gender and Sexuality for Arts)Japanが発行した「芸術分野におけるハラスメント防止ガイドライン」の作成にも関わっています。

なぜ「広告炎上」が後を絶たないのか

講座では「炎上」が起こる背景や社会構造などを解説した後、過去に炎上した様々なCM動画を紹介。

講座の様子

CMの中に「見る男性」/「見られる女性」という視線が潜んでいることや、女性を応援したつもりが性役割を固定化・強化してしまっていることなど、表現のどこに問題があるのかを、ひとつひとつ丁寧に解説していただきました。

表象(表現物)は現実そのままではなく、それを表現した側の意思や欲望が表れている」「たかがイラスト、これはフィクション、で済ませてしまうのは注意が必要」と吉良先生。
繰り返し同じ表象を見ていることで、時に偏見や差別を助長するものが「当たり前」として受け入れられてしまうこともあるそう。

参加者の感想

  • ちょっとした違和感を客観的に分析することで、無意識に刷り込まれているバイアスを修正できるのではと思った

  • 私たちは目で見る表現物の多くに対して油断している」という講師の言葉にはっとした

  • 実際のCMを見て、刷り込みの恐ろしさを感じた

  • 日常的に疑問を抱くこと、それについて考えることが大切だと思った

日頃の生活の中で何気なく目にする広告やCM。ちょっと立ち止まって「これってどうなんだろう?」と考えてみませんか。

メディアとジェンダーおすすめ図書

エル・ソーラ仙台には、以下の吉良先生のおすすめ図書をはじめ、「メディアとジェンダー」に関する本があります。ぜひご活用ください。

  • 諸橋泰樹『メディアリテラシーとジェンダー 構成された情報とつくられる性のイメージ』現代書館、2009

  • 木村涼子、伊田久美子、熊安貴美江編著『よくわかるジェンダー・スタディーズ』ミネルヴァ書房、2013

  • 治部れんげ『炎上しない企業情報発信』日本経済新聞出版社、2018

  • 瀬地山角『炎上CMでよみとくジェンダー論』光文社、2020

  • 佐藤文香監修、一橋大学社会学部佐藤文香ゼミ生一同『ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみた あなたがあなたらしくいられるための29問』明石書店、2019