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【千田琢哉の頭脳】Vol.0232(2009年9月23日発行のブログより)

千田さんは著書の中で、存続のためにはこれからは完全歩合制は衰退するだろう・・・という旨の内容を書かれていました。これについてもう少し詳しく教えていただけないでしょうか。私も曖昧ではありますが、同感です。

(長崎県・金融代理店経営・Mさん・男性・44歳)

Mさんの周囲の完全歩合制のセールスパーソンを擁している組織を具体的に思い浮かべてみてください。

活気があり、ときには感動的なエピソードすら耳にすることが
あるかもしれませんが、中期的なスパンで見れば幸せになっている人が
少ないはずです。

社内は殺伐(さつばつ)として、
足の引っ張り合いも日常茶飯事となっています。

そんなこと言ったらプロ野球選手だとかお笑い芸人の世界も一緒だろう、
プロの世界は厳しいのだ、と思われるかもしれません。

しかしプロ野球や芸能人といった世界とビジネスの完全歩合制の世界では
決定的に違うことがあります。

前者はある程度素質を持ったセミプロが殺到し、
絶対的にその世界に憧れている人たちばかりなのに対し、
後者は特に素質云々はなく、
特に憧れてその世界に飛び込んできたわけではないということです。

むしろ生きていくために仕方なく門をくぐってきた、
という人も多いのが実態です。

こうした世界で生き残る人はごく一部なのは言うまでもありません。

どことなく暗い空気がそれとなく世間に伝わってくるのです。

また常に殺気立っており、
日々新規開拓に明け暮れなければなりませんから、
性格もねじ曲がってきます。

もちろん本人たちは気付いていません。

特徴としては美辞麗句をならべ立てたり安っぽい人生論を語るのが
大好きですが、実際に行動に移されてないことがあります。

完全歩合制の世界には、自己啓発セミナーが大好き人間が多いのも
何かにすがらなければとてもではないがやってはいけないからです。

人間はみんな弱いのです。

何よりも問題なのは1年もすれば
顧客が完全歩合制のセールスパーソンたちの余裕のなさ、
矛盾を見抜き、愛想を尽かすことです。

完全歩合制で成果を挙げた人は同じ世界で生きている人たちからは
憧れられることはありますが、
一歩外に出たらそれに見合った尊敬はされません。

つまり世間からは安定した大企業の管理職として
完全歩合制で成功を収めた人の半分や三分の一の収入しか
稼いでいない人の方を上として位置づけられます。

「ナントカ保険の完全歩合制契約社員で年収3000万稼いでいる」

よりは

「○○商事の課長さんで年収1500万円稼いでいる」

方が世間の評価としては圧勝なのです。

良い悪いは別としてそれが事実です。

市場はいずれ縮小しますし、飽きられます。

完全歩合制は人間を磨くためには素晴らしい手法の1つになることは
認めますが、敗北者を大量生産します。

中には生きるために仕方なく熾烈な競争の世界に飛び込んだのに、
それさえ敗れてしまった・・・という人がいます。

こうした空気は社内と社外に必ず滲み出てしまうのです。

完全歩合制や熾烈な競争の世界でしのぎを削ってきた人たちは
あまり気付きませんが、一歩そうした世界から外に出ると
世間がどのように評価しているのかを実感することができます。

世間の評価なんて関係ない、では済まない時代です。

自分たちさえ勝ち逃げすればいい、
という考えそのものが世間からのステイタスを下げます。

世間とは、即ち顧客だからです。

完全歩合制の世界で勝ち残った勝者には
ぜひとも定性評価と定量評価のバランスを考えて
敗北者の大量生産を食い止める世の中をつくって欲しいと思います。

綺麗ごとではなくて、これが業界のステイタスをアップさせて
存続させるには必要だと思うのです。

少なくともこれからの時代は今までの時代の延長線上にはないのです。

追記.・・・と綴ってきて私自身も完全歩合制の筆頭である、
フリーランスであることを今思い出しました。

...千田琢哉(2009年9月23日発行の次代創造館ブログより)

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