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【千田琢哉の頭脳】Vol.0571(2010年8月28日発行のブログより)

従業員130人の会社を経営しています。息子は地元の国立大学に通う3年生です。いずれは会社を継がせるつもりですが、いかんせん線が細くて頼りないので一度大企業で数年間修行させようと思っています。周囲の経営者に聞いても異口同音にそれがいいというのですが、何か抑えておくポイントがあれば御教授ください。周囲を見ていると社外に出したら戻ってこなくなってしまった・・・という悲劇も複数あります。

(宮城県・会社経営・Iさん・男性・52歳)

私がコンサルティング会社に勤務していた頃、
お金持ちのオーナー社長の子息がよく入社してきて
2、3年で辞めていきました。

その際に、

「この人は多くを獲得していったな」

という人と、

「この人はもったいない時間を過ごしたな」

という人に分かれました。

多くを獲得していった人は、
社内試験や、社内の評価に猛烈にこだわっていて、

「ひょっとして、実家に戻らずにこの会社でやっていくのではないか」

と思わせるものがありました。

対して、もったいない時間を過ごしたな、と感じた人たちは、

「どうせ自分は3年間だけここにいて実家に戻るから関係ない」

という気持ちが見えました。

この差は非常に大きかったです。

周囲のコンサルタントやスタッフに対しても、その熱は瞬時に伝わります。

だから与えられる仕事も変わってきます。

同じ会社にいても同じ会社でないのです。

同じ3年でも同じ3年ではないのです。

多くの大企業のサラリーマンにとって、
会社の看板がアイデンティティであることをわからない人は
社長には向いていません。

〇〇物産、〇〇海上、〇〇省というのは、
その人にとって戸籍のようなものです。

大企業のサラリーマンにとって、昇級昇格というのは、
学生時代の通信簿と同じで、
会社にとって生きている価値があるか否かの指標なのです。

昇級昇格ほど社長の脳みそを裸に露呈するものはありません。

結局、社長に必要なのは経営学でもなければ経済学でもありません。

経営戦略などはほんのおまけです。

人間の本質にどれだけ近づけるか、です。

人間音痴では何をやっても上手くいきませんし、
人間に精通していると何をやっても上手くいきます。

だからこそ、

「かわいい子には旅をさせろ」

ではなくて、

「実績を残すまで、二度と戻ってこなくていい」

くらいの意志が必要なのです。

社長修行を社長修行だと思った時点で、
単に卒業せずに留年して遊んでいたのと同じなのです。

...千田琢哉(2010年8月28日発行の次代創造館ブログより)

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