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【千田琢哉の頭脳】Vol.0229(2009年9月20日発行のブログより)

子どもの相談です。息子は小学校1年生ですが幼稚園の頃から周囲と少しズレていたようです。学年が進むにつれてそれが拡大しつつあり、どうしてよいものか悩んでいます。クラスメイトからのあだ名は「バカボン」と呼ばれてしまう始末ですが、本人はまったく気にしておらずマイペースです。学校の先生からは「テストの成績はいいので特別学級には入ることはできません」と言われています。決まった友達もいないようでこれからが心配です。夫と共に悩んでいます。

(香川県・会社事務員・Jさん・女性・37歳)

周囲とズレているといっても実際にはズレている分野も違えば
程度も異なると思いますので、回答するのにちょっと悩む相談内容ですね。

そこでJさんのメールを読んで
自分が同じくらいだった頃を考えてみました。

幼稚園の頃だったか小学校低学年の頃だったか忘れましたが、
こんなことがありました。

名作童話『あかずきん』の紙芝居を先生が読んでくれて感想を言うように、と順番に当てられました。

他の生徒が何を言ったのかは全く記憶にありませんが、私は担任の先生に

「千田君は間違いです」

とキッパリ言われてしまったのです。

順番が回ってきた私はハッキリと

「オオカミがかわいそうだ」

と答えました。

その瞬間、周囲がシンと静まり返って先生が

「千田君、どうしてオオカミがかわいそうなの?」

と突っ込んできました。

私は

「オオカミにとっては生きるために食事をしただけなのに、
お腹を切られた上に石まで詰められて殺されてしまうのはかわいそうだ」

というようなことをぎこちなく一生懸命に伝えたと思います。

私の中ではあかずきんとおばあちゃんをダシにして
猟師が悪役、オオカミが犠牲者の物語だったのです。

今だから言えますが、当時からズレていたところがあったのでしょう、

「いくら昼寝していてもお腹を切られたら痛くて起きるはずだ」

という疑問も持って口に出さずにはいられなかったはずです。

完全にオオカミに感情移入してしまって、
自分のお腹を切られることをイメージしていたからです。

決して私が動物占いでオオカミだからではありません。

ついでに言えば、恐竜のように大きな生物ならともかく、
紙芝居の絵から見て、大きめの犬くらいの大きさのオオカミが
あかずきんとそのおばあちゃんを傷つけることなく一飲みするには
無理があるのではないかと気になって仕方がありませんでした。

そういった矛盾を感じるとその日は集中して遊ぶことが
できなかったくらいです。

でも先生にはまともに取り扱ってもらえず、
問題児扱いをされたというシーンだけが感情の記憶として
鮮明に残っているのです。

それ以来大学に入学するまで本が大嫌いになりました(笑)

おっとすません、これでは原因他人論者になってしまいます。

でも子ども心に人と違うというのは傷つくものです。

ズレているというのは本当はすばらしい個性であり才能なのに、
ハラハラドキドキして本人も親も周囲も矯正してしまうのです。

するとぎこちない凡人になってしまいます。

社会人になって私が感じたのは、
世の中はぎこちない凡人だらけでもったいないということです。

本来かなりの才能をもっていただろうに、
とんでもなく間違った分野で苦しんでいる人が過半数でした。

ぎこちない凡人と化してしまった大半はズレたまま大切に個性を発揮した
ごく一部の人たちにこき使われてしまいます。

ストレス、不眠症、過労死・・・こうした病理が絶えることがないのは
ぎこちない凡人を大量生産してしまったからです。

もちろん他人に迷惑をかけてばかりではいけませんが、
ズレというのは将来生きるための武器になるかもしれないということは
憶えておかれたほうがいいと思いますね。

幼い頃は少なくとも両親に信じてもらっている、
というのは強烈な安心感になります。

...千田琢哉(2009年9月20日発行の次代創造館ブログより)

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