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アンドロイド転生471

青海埠頭

マサヤは勢いよく両手でスオウの胸を突いた。スオウは地面に転がった。
「おい!クソジジイ!いい加減にしやがれ!俺を甘く見るな!」

タケルは失笑した。
「何だ親子喧嘩か。バカじゃないか。プランBもあったもんじゃねえな」
ルークもエリカも嘲笑った。人間の無様な姿が滑稽だった。

タケルは声を張り上げた。
「おい!喧嘩をしている場合じゃないぞ!」
だがスオウ親子はタケルの言葉など耳に入らない様子だ。いや違う。マサヤがアオイを見た。

マサヤは眉を上げ、不敵に笑った。
「おい!お前!ソラは返さないんだな?いいよ。欲しかったらやるよ。お前が受け取れ」
アオイは呆れて言葉が出ない。

クレハはマサヤに張り倒されて地面に座り込み、手をついている。唇が切れ、出血していた。それでも精一杯吠えた。
「お前なんて死ね!」

マサヤはクレハの前にしゃがみ込んだ。
「おい?ババァ。いい気になってるんじゃねえぞ?よく考えろ。どっちの方が立場が上だ?」 
クレハは憎々しげにマサヤを睨んだ。

マサヤは意地悪そうにほくそ笑む。
「マジでアイツらにソラをやっちまうぞ?いいか?返して欲しけりゃ俺にお願いするんだ。頭を下げろ。地面に擦りつけろ」

クレハの顎がワナワナと震えた。
「このクソ野郎…!」
「クソ野郎だと?あーあ?そんなこと言っていいのかなぁ?この俺様に?」

スオウはマサヤの言わんとしている事を理解した。ソラを取り戻すにはマサヤの気分次第なのだ。スオウは口調を変えた。
「マサヤ。よし。私から願う。謝罪しろ」

マサヤはジロリと父親を睨んだ。
「謝罪しろだと?俺に命令するな」
スオウの顔が引き攣った。
「…謝罪してくれ。頼む」

マサヤは勢いよく立ち上がると背筋を伸ばした。顎を上げてスオウを見下ろした。
「じゃあよぉ?親父。取引だ。今すぐに組長の座から降りて俺を襲名してくんない?」

スオウの顔色が変わった。
「何だと?」
マサヤは不敵に笑う。
「スオウ組は俺がやる。アンタは退陣するんだ」

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