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#15 砂地と泥地

普段飲むジンはイギリス製が多いが、ありがたいことに日本産のジンをいただいたので、これでジントニックを作る。定番だが、時や気分を選ばずに美味しく飲め、さらには特別感も味わわせてくれるからありがたい。特に、いつもと違う瓶を眺めながら、ちょっとした非日常の訪れを楽しむ。

凝集性(cohesive)

ビーチによって地質の色や質感は様々だ。

とはいえ、往々にして、最初はサンダルを脱ぎたての足にはチクチク、ざらざらした感覚が伝わってくる。そのうち、波打ち際までたどり着くと海水を含み冷く柔らかい、気持ちの良い質感へと変わっていく。

つまり、これは海岸の手前側は粒子が大きい砂地となっていて、奥に行くほどに細かい粒子の泥となっているということ。

このように、人間には粒子の大きさが質感や足触りとして重要である。一方、生物にとっては、粒子サイズは「凝集性」という特質として捉えられる。

非凝集性(Non-cohesive)の堆積物は、特に砂と呼ばれ、粒子間に空間を広く持っている。そのため酸素は多い。そして、これらは潮汐や波などによって海水に晒されることが多く、変化に富んでいるため、生物にとって「高エネルギー環境」とみなされている。

一方で凝集性のある堆積物は、泥と呼ばれる。粒子間の空間は比較的狭い。有機物を豊富に含むが、酸素は少ない。さらに、変化も少ないので、対比的に「低エネルギー環境」とされる。

巣穴での生活

凝集性の高い泥に巣穴を作って住む生物は、海水の動きで泥が流されることがあまりないため、巣穴から進んで出ることはない。

なぜなら、巣穴は海中や海面から食事をするための避難場所となるからだ。

巣穴に潜っていては勝手に海水は泥の中にしみ込んでこないため、巣穴は海水が入るために、U字状のような二つの入り口がある形状があることが多い。

一方で凝集性の低い砂地では海水が染み込みやすいため、二つ穴を掘る必要がなく、大抵はI字またはJ字型をしている。

潜り方は種によって様々で、貝は丈夫な足を伸び縮みさせて潜る(貝が潜る様子の動画)。他の軟体動物(ミミズ等)は、口などの部位をアンカーとしてひっかけて、他の体の部分を引っ張っていくという方法をとっている。

環境への適応

生物はおよそ水分の中に含まれる酸素を利用して呼吸しているが、水分が染み出しにくい泥では、呼吸方法を工夫しなければならない。

例えば、餌を濾過して呼吸したり、水を自分で引き込んでエラに取り込むなどをしている。

一方、水分や酸素が豊富にある砂地では、大きな環境変化に対して工夫をしている。

例えば、体の構造をチューブ型にしたり殻を身に付けることで、体の全体を覆って守りつつも一部を地表に出すして呼吸や採餌を行っていく。さらには、チューブが海水の流れを変化させて砂地が侵食されにくいようにすることで安定性を向上させている。

隣の芝は青いという諺が生物界にも存在するのだろうか。砂地であっても泥地であっても、生きるために工夫が必要なのには変わりがない。

都内では移動制限が出た。環境のせいにせず、今いる環境で呼吸ができるよう工夫していかなければいけないというチューブワーム精神を発揮する時がきているのかもしれない。


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太平洋
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30代会社員。文系。日々勉強の「日々勉」を日課とします。挿絵はお友達の絵描き兼作家のtakeが描いてくれています。
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