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光ファイバーとは?光を通す極細の繊維状伝送路:基礎用語解説📚

はじめに私たちの日常生活に欠かせないインターネットや通信技術。その中で、光ファイバーは重要な役割を果たしています。

本記事では、光ファイバーについて詳しく解説し、その仕組みやメリット、デメリット、さらには応用例まで幅広く紹介します✨


光ファイバーとは何か?

光ファイバーは、光を通すことができる極細の繊維状の伝送路です。主に透過率の高い石英ガラスや高性能プラスチックで作られており、光学繊維とも呼ばれます。

この細い繊維を束ねることで、大容量の光信号を伝送できる光ファイバーケーブルが構成されます。

光ファイバーの概観(引用元:NTT

光ファイバーがなぜ注目されているのか?

光ファイバーが注目を集めている理由は、その優れた特性にあります。電磁気の影響を受けにくく、極細の信号線で高速信号を長距離に伝送できるため、デジタル通信を中心に多くの通信用途に使用されています。

2023年、1本の光ファイバーで22.9 Pbpsという驚異的な通信容量を持つ技術が開発されており、情報通信の未来を支える重要な技術として期待されています。

これまでに開発された技術との比較(出所:NICT)

光の性質と光ファイバーの構造

光は電磁波の一種であり、高速で伝播する特性を持っています。光ファイバー通信では、この光の特性を利用して情報を伝送します。光信号は、電気信号と比べてより高速に変調できるため、短時間でより多くのデータを送信することが可能です。

光ファイバーは、主に3つの層から構成されています:

  1. コア:中心部分で、光が実際に伝播する部分

  2. クラッド:コアを取り囲む外側の層

  3. 被覆:クラッドを保護する最外層

コアとクラッドは、ともに光に対して透過率が非常に高い石英ガラスまたはプラスチックでできています。

光ファイバーはコア、クラッド、被覆から構成されている(出所:日鉄

光がファイバー内を伝わる仕組み

光ファイバー内で光が伝播する仕組みは、全反射の原理に基づいています。コアの屈折率をクラッドよりも高くすることで、光がコアとクラッドの境界面で全反射を繰り返しながら進むことができます。

この全反射により、光信号は拡散することなく、ファイバー内を長距離にわたって伝送されます。

光ファイバー内では光が全反射することで伝播する(出所:住友電工

光ファイバーのメリット

大容量のデータ転送

光ファイバーの最大の利点は、大容量のデータを高速で転送できることです。光信号は電気信号よりも高速に変調できるため、短時間でより多くの情報を伝送することが可能です。

これにより、高画質の動画ストリーミングやオンラインゲームなど、大容量のデータ通信を必要とするサービスを快適に利用できます。

長距離伝送

光ファイバーは、電磁波による影響を受けにくいため、伝送損失が低く、長距離にわたってデータを安定的に伝送できます。

これは、従来の銅線ケーブルや無線通信と比較して大きな利点となっています。

耐ノイズ性

光ファイバーは電磁気の影響を受けにくいため、外部からのノイズに強いという特徴があります。

これにより、工場や発電所など、電磁ノイズの多い環境でも安定した通信が可能です。

光ファイバーのデメリット

施工の難しさ

光ファイバーは非常に細く、取り扱いに注意が必要です。特にシングルモード・光ファイバーは、コア径が細く曲げに弱いため、ケーブルの接続や端末加工に専門の技術と器具が必要となります。これにより、施工や保守のコストが増加する可能性があります。

コスト

光ファイバー、特にシングルモード・光ファイバーは、従来の銅線ケーブルと比較して高価です。初期導入コストが高くなるため、小規模なネットワークでは費用対効果の面で課題となることがあります。

シングルモードとマルチモード(出所:FS.com

光ファイバーの応用

インターネット

光ファイバーの最も一般的な応用例は、高速インターネット回線です。光回線と呼ばれるこのサービスは、大容量のデータ通信を可能にし、動画ストリーミングやオンラインゲームなどの高帯域を必要とするアプリケーションをスムーズに利用できます。

通信ネットワーク

光ファイバーは、長距離通信ネットワークの基幹を支える重要な技術です。海底ケーブルや都市間を結ぶ高速通信回線に広く使用されており、グローバルな情報通信インフラの発展に大きく貢献しています。

その他(センサーなど)

光ファイバーの応用は通信分野にとどまりません。医療機器、計測器、車載ネットワーク、照明など、さまざまな分野で活用されています。特に、光ファイバーセンサーは、温度、圧力、ひずみなどを高精度に測定できるため、構造物のモニタリングや環境計測などに利用されています。

まとめ

本記事では、光ファイバーの基本的な仕組みから、その特徴、メリット・デメリット、さらには応用例まで幅広く解説しました。光ファイバーは、現代の情報通信社会を支える重要な技術であり、私たちの日常生活に大きな影響を与えています。

光ファイバーの主なメリットは、大容量データの高速転送、長距離伝送、耐ノイズ性です。一方、デメリットとしては高コストと施工の難しさが挙げられます。しかし、これらのデメリットを上回る利点があるため、光ファイバーは現代の通信インフラに不可欠な技術となっています。

光ファイバー技術は、私たちの生活をより便利で豊かなものにする可能性を秘めています。今後も技術の進化に注目し、新しい応用分野や可能性について考えてみてはいかがでしょうか。光ファイバーが織りなす未来の通信技術に、ぜひ期待を寄せてください。

参考文献


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