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【テレワーク×評価制度】 テレワークでも機能する評価制度とは?

 テレワークが進んでいる中、「評価制度どうしたらいいか?」という声を多く聞くようになりました。

あしたのチームの調査によると、

・テレワーク時の部下の人事評価について「オフィス出社時と比べて難しい」73.7%
・テレワーク時の人事評価が難しい理由:
1位「勤務態度が見えないから」72.6%
2位「成果につながる行動を細かく把握しづらいから」67.1%

■あしたのチーム 調査リリースより
https://www.ashita-team.com/news/20200420-2/

という調査データもあります。

テレワークとオフィスワークでは、プロセス<結果という、決定的な違いがあるためでしょう。

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私自身、HRのコンサルティングをする中で、この1年で4社ほど、オーダーメイドで評価制度構築のお手伝いをしてきました。

その評価制度は、プロセスよりも結果にウェイトをおきつつ、プロセスの部分も担保できます。

また、

・「非常にシンプルでわかりやすくなった」
・「明確・明瞭で不満が出にくい」
・「納得感がある」

というお声も頂いております。

今まで、クライアントから個別相談があった時のみお手伝いしておりましたが、今回、コロナによりテレワークが進んでいるため、どんな考え方の評価制度なのか、その内容をこちらで公開したいと思います。

評価制度どうしたらいいか?とお悩みの方にとって、何かしらのヒントになれば幸いです。

一旦、期間限定で、【テレワーク×評価制度】ウェビナーも開催しますので、突っ込んだ質問は、コメント欄に投稿いただくか、ウェビナーにご参加頂き、質問頂ければ、直接お答えいたします。記事の最後にURLを掲載します。

それでは、テレワークでも機能する評価制度とは?について、以下にポイントをまとめます。

■ 評価制度におけるそもそもの課題

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これはテレワーク化以前からですが、評価制度に関して、よくこんな声を聞きます。

・「評価制度、これで合ってるのかな?」
・「評価制度を作ったはいいけど、なんやかんや社員の不満が絶えない」
・「評価項目が多すぎて、中間管理者層が大変」
・「辞めてほしくない社員が辞めてしまった」

そして、退職を考え始めるきっかけについて、このようなデータがあります。

【図1-a】退職を考え始めたきっかけを教えてください。(複数回答可、年代別)

201804_エン転職(きっかけ)1-a

エン・ジャパン株式会社の調査より
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2018/13174.html

しかし実は、給与の「額」ではなく、「決め方」の不透明さに不満がある。ということがあるということを私は感じています。

■ 私達が大切にしている3つのコンセプト

構築にあたり、3つの大切にしているコンセプトがあります。

① Extreme Stakeholder Alignment(利害関係者との徹底的な合意)
評価制度においては、給与を支払う側(経営者)と給与を受け取る側(社員)がステークホルダーの関係にあります。
この両者の徹底的な合意プロセスが重要です。
② Co-Creation(共に創る)
多くの会社では、評価制度を経営者(払う側)がつくる。社員(払われる側)がそれにアジャストする。
そして、評価制度の不満や改善に関して会話をすることはタブー視されています。
結果、不平不満となり、退職に繋がります。
お互いに納得がいく制度を、共に創るプロセスが重要です。
③ Continuous Improvement(継続的改善)
ビジネスモデルや組織形態が変化したり、拡大したりすれば、当然「評価されるべき仕事」「重要視される仕事」は変わります。
一度作って終わり、ではなく、定期的に見直し、進化させ続けることがとても重要です。

という、コンセプトを前提に、どんな評価制度か、解説します。

■ (テレワークでも機能する)評価制度の考え方

・そもそも報酬とは?

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この図にあるように、会社はお客様に対して製品・サービスを提供し、その対価としてお金を頂きます。他社より差別化された・付加価値の高いものを提供すると、その価値も上がり、売上も上がります。つまり、お客様との価値交換が行われている原理が働いています。

社員と会社の関係も、同様にこのような価値交換が行われることが大切です。社員が会社に対して提供した仕事・アウトプットの価値に応じて報酬が支払われます。

年々、会社に対して生み出す価値と報酬が向上していくこと、会社との価値交換性が向上することが成長です。

ですので、評価制度の目的は、次の2つと定義します。

評価制度の目的:
1)仕事の成果や貢献と報酬が見合うこと
2)成長支援

・報酬を上げるには?

報酬とは、仕事によって生み出した価値と、それに対する対価です。

価値の高い仕事をする人は、報酬が高くなります。

ですので、この会社・このビジネスでは「どんな仕事」に「どのくらいの価値があるのか」を事前に明確にすることが大切で、市場価値テーブル表を作成しておくと、社員が価値を発揮しやすくなります。

自分が何をできるようになれば、給与が上がるのか?明確です!と言われる状態をつくります。

・「評価」とは?

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そもそも評価するとは、「価値を評する」「どれぐらい価値があるかを見定める」という行為です。

「その人がしている仕事が、どれぐらいの価値があるアウトプットなのか」を白黒はっきりさせる行為が評価です。

評価は、「その人」そのものではなく、「その人がした仕事のアウトプット」を評価します。

人の評価を入れると、低い評価をつけづらくなる弊害や、双方の心理的ストレスが発生する傾向があります。評価された人間のモチベーションが下がったり、上司との関係性が悪くなったりする原因の一つになります。
一方、仕事の内容が、どうだったかは?日常、常に行われていることであり、これをしっかり半年に一回、市場価値に照らし合わせて、どのレベルかを明確にしましょう。というのが(仕事の)評価です。

・評価をどうおこなうか?

その上で、評価は可能な限り「シンプル」にします。

その人がしたアウトプットが、期待する価値に対して、「期待以上」か「期待通り」か「期待以下」か、を評価します。

期待以上であれば、翌年の報酬はあがり、期待以下であれば、あがることはありません。

・プロセスの評価はどうするか?

その人の態度や途中のプロセスは、成長支援対象であって、報酬のための評価とは切り分け、人事施策として行います。

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具体的には、態度や姿勢の評価(フィードバック)は、一緒に仕事をおこなっている同僚間でピア・フィードバックという形で行われる仕組みを作ります。そして、そのフィードバックの結果(評価)は、報酬とは直接紐づけません

報酬と態度を紐づけると、上司の前では、本当に思っていることを言えなかったり、上司の前だけいい態度をとるなどの問題が起きるためです。

繰り返しますが、評価するものは、「その人」ではなく「その人がした仕事」を対象とします。それが期待以上の成果をもたらしたか、期待以下なのか。これはプロとしてしっかり評価しましょう。ということがポイントです。

これがテレワークでも機能する理由です。

ここで重要になってくるのが、上司と部下の「仕事の期待の合意」になります。

1対1で、半年に一回、(その人の給与であれば)、どんな仕事の成果を出すことを期待しているのか?を明確にすることです。 また、どんな成果を出せば期待以上で、報酬アップの対象になるのか?どうだと期待以下か?を運用シートに言語化しておきます。(ステークホルダー間の徹底的な合意のコンセプト)

・目標設定と評価制度の関係は?

個人の目標(仕事で期待するアウトプット)は、全社のミッション/ビジョン、単年の戦略や目標、部門の役割/目標と紐づきます。

全社のビジョン→全社の戦略・目標→部門目標設定→個人目標設定のアライメント(方向性の一致)が大切です。(これもステークホルダー間の徹底的な合意のコンセプト)

そのため、評価者(多くの場合上司)は、会社の戦略、部の目標をしっかり理解した人である必要があります。そして、対話しながら、個人の目標・期待する仕事を合意していきます。

・基本給をどう定めるか?市場価値ステージ表

その会社において市場価値の高い人は、どんなアウトプットを出す人なのか?の、市場価値を明確化したステージ表を用意します。

そして、市場価値のステージと給与レンジを明確化し、どんなアウトプットを出せる人が、いくらの給与になるか?も透明にしておきます。

例えば、飲食店の店長の場合:
「店舗のオペレーションでき、QSCを一定基準でできる」
「業績不振店の立て直しができる」
「新しい業態を開発できる」

では、市場価値のレベルが違います。この例でいうと下に行くほど市場価値が高い人財であり、報酬が高くなります。経営者としてもほしい人財です。

そして、そのステージがアップすることを昇格と定めます。

昇格の認定プロセスにおいて、その人の評価、理念体現しているか、会社を代表するにふさわしい態度をしているか、周りに影響を与えるリーダーとして適切かは行います。

価値の高い成果を出している人であり、かつ、人として会社のリーダー格にふさわしい。となれば昇格する仕組みです。

この昇格プロセスの中で、その人そのものの評価も担保できます。

・どう明確化し、構築するか?

まずは経営者が、自社のビジネスにおいて、何ができることに価値を置いているのかを明確にしながら、たたき台を作成します。

例えば、コンサルティング会社であるENERGIZEの場合、

・先輩のディレクションがなくても一人でサービス納品できる
・クライアントから信頼され、リピートや紹介をいただける
・納品できるサービス数が複数ある
・新しい売上をつくるサービスを生み出すことができる

などなど、です。

次に、社員のメンバーを巻き込みながら、Co-creationプロセスで、議論しながら、追加したり、より明確化したり、精度を高めていきます。運用方法も議論して明確にします。

運用するときは、自分が今どのステージなのか?を明確にします。またチームメンバーがどうなのか?も話し合い、フィードバックし、ステージ決定します。

運用し始めてからは、ブラシュアップ・見直しを「委員会」形式で行います。

・構築の具体的ステップは?

以下、私がクライアントと一緒に構築をしている際に行なっていたステップをまとめましたので、シェアします。

「Co-Creation型 評価制度」構築にあたっての具体的なステップ:
□ 今の現状とこれからの理想の明確化
□ 評価制度の思想、原則大切にすることの明確化
□ 報酬形態(固定給、賞与、手当て、他)の思想と設計
□ 市場価値テーブル(ステージ表)の明確化、言語化
□ 昇格/降格基準の明確化、成長支援の内容明確化
□ 評価&FB方法、運用方法の明確化、運用ツールの明確化
□ 現賃金テーブルとの整合性確認、イレギュラー確認
□ メンバーとのコクリエイション&シミュレーション
□ 評価者向けトレーニング
□ 全社ローンチ&運用開始

■ 実際の事例:「こんな時なので、給与下げます」と、社員自ら言い出した。

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これは、上記、Co-Creation型の報酬制度を構築し、運用している株式会社ENERGIZEで、この4月に実際にあったお話です。

ENERGIZEは、9月が決算月のため、10-3月,4-9月を半期タームで、給与変動の話し合いをしています。この4月上旬、10-3月の成果を踏まえ、4-9月の給与に関して変更のある方は、給与委員会(経営者含む)と協議して決定するという動きがありました。

そんな中、3名の社員が基本給の10%の減額を自ら申請。1名の社員は、1ランク下のステージへのダウンを申し出ました。

しかも、そのうち2名は、むしろ給与を上げた方が良いと思えるほど、10-3月で成果を上げているメンバーなのです。

緊急事態宣言。これからコロナ禍でどうなるかわからない。

今後の会社の財務状況を考え、自ら減額を申し出る経営者感覚は、私としてもとてもインパクトある出来事でした。(こうなることは、全く予想も期待もしていなかったことでした。

■ 評価制度の本来あるべき姿:自ら自分の価値を評価できること

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報酬制度の本来あるべき姿は、自分が出している成果や価値を自ら評価でき、それに相応しい報酬を頂くことだと思います。

人から評価されるものではありません。ただし、その仕事の成果を、適正に評価できるようになるためにも、上司や経営者など、経験豊富な方、経営視点を持つ人のフィードバックは、初期段階では重要になります。

一度、その経営者感覚が養われれば、自分が出している成果以上の報酬を望むこともなくなりますし、会社の財務状況も考慮するようになります。また、複雑なプロセス評価や態度評価までもする必要はなくなるでしょう。

高い報酬を望むなら、自ら市場価値をあげる成長をし、価値の高い仕事をできようになればよいですし、そこそこの報酬でも良い方は、仕事以外の人生の領域に価値観をおいている方かもしれませんので、その範囲で仕事をすれば良いのです。本人が望んでもないのに、会社から成長すること、市場価値を上げることを要求される必要はありません。

自分が望む報酬は何で、それには何が必要か?が明確で、それを自ら選択できる形態にかなり近い形の報酬制度が、今回紹介したCo-Creation型報酬制度です。

■ 質疑応答はこちら

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今回、ポイントになるところだけを書きました。

テキストでは書ききれないところもありますので、質問のある方は、コメント欄に投稿いただくか、より詳しいお話はウェビナーをしまので、ご興味ある方・直接質問したい方はこちらにご参加ください。

■【テレワーク×評価制度】質疑応答型 特別ウェビナー


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