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オウンドメディア運営費用はどれくらい?初期費用から運営費まで概算を出してみた

企業が自社のサービスや企業名で情報発信をするオウンドメディアやコンテンツマーケティングについて、取り組みを考えている企業や今でも多いのかな、と感じています。

顧客とコミュニケーションを取りつつ問題解決をしながら信頼を蓄積する、というオウンドメディアは顧客にとっても情報を発信する企業にとってもメリットがあるように思えます。

ここで1つ考えなければいけないのは、そのオウンドメディアの運営にどれくらいの費用がかかるのか?という点です。

広告に比べたら安上がり?
営業時間外でも顧客とのコミュニケーションが可能な施策?
全部内製で済ませたらコスト的には問題ない?
即効性はある?
などなど。。

オウンドメディアに期待することは多数ありそうです。
今回は、オウンドメディアを実際に運営するのは一体いくらかかるのか?について解説したいと思います。

もし、オウンドメディアの運営について考えている方がいらっしゃいましたら、参考にしていただければ幸いです。

オウンドメディアを運営するために必要な準備

オウンドメディアを運営するためには、いくつか準備が必要です。

まず、コンテンツを格納する器(CMSなど)が必要かどうか?

ブログであれば、記事コンテンツを格納するCMSが必要になります。
私はnoteで記事を書いていますが、外部のブログサービスを利用する、という場合はここの費用はカットできます。
有料プランを使ったとしても月額数千円~数万円くらいです。

ただ、外部サービスを使う場合は1つ注意が必要です。
オウンドメディアの目的の1つに自然検索の順位があるのであれば、オウンドメディアと自社ドメイン、もしくはサービスサイトのドメインは同じものにしておいた方が良いです。

特にYMYL領域に抵触するサービスを行っている企業の場合、外部サービスでこれらのコンテンツへ自然検索からの流入を確保するのは難しいです。
なるべく自社のドメイン内で運用しましょう。

私が外部サービスを使っているのは「伊藤公助」という名前を知ってもらえたらOKだから、という振り切った理由があるから、です。
私のような商売をしている場合は、これだけでもOKです。
今のようなやり方で9年間、困ったことはありません。

フリーランスの方であればOKだと思いますが、通常こういった状況にはならないでしょう。

CMSを自社ドメイン内に設置する流れ

CMSを企業ドメインへ導入する場合のイニシャルコストを計算してみます。
この記事に出てくる数字は、あくまで一例ですので、それ以上になることもそれ以下になることもあります。
どこにどれくらいの費用がかかるのか?を概算で把握していただければ、と思います。

CMSのカスタマイズと必要な工程

無料で利用可能なCMS、WordPressを利用した場合の費用を見積もります。
自社ドメインがデータベースやphpの利用が可能なサーバーを利用して運営されていたケースで計算しています。
サーバー変更まで必要になった場合、更に費用が上がります。

必要な工程
・WordPressのサーバーインストール
・データベースの作成
・テーマ選定
・プラグインの選定
・テーマのカスタマイズ・デザイン作成
・利用するロゴや素材の準備
・WordPressの動作確認

ざっくり、これくらいの工程が必要です。
テーマの選定と、それを自社のCIやBIに合わせてカスタマイズする必要もあります。
ロゴ、オウンドメディアの名称を決める必要もあります。

金額については、構築は時間や日数によって算出されることが多いので、かかった時間がそのまま費用となります。

テーマのカスタマイズやデザインとその修正

場合によってはプラグインとテーマの相性についての調整も必要です。
SEOを気にする場合は、アドバイスを受けて、それをシステムへ反映する必要もあります。

めちゃめちゃ順調に行って1ヶ月ですが、デザインが決まらないなど難航した場合3ヶ月ほどかかると思った方が良いでしょう。

CMS導入の費用はざっくり100~300万円くらい

上記をトータルで出される費用は
100~300万円
くらいになると想定しておいた方が良いです。
途中で何かを変更したくなった場合、また別途費用がかかります。
まず、ここまで完成してスタートラインです。

オウンドメディアの方向性の確定とコンテンツの制作体制

まずは目的や方向性を決める必要があります。
初期設定をしっかりやれていない場合、ほぼ間違いなく崩壊するか全く成果が出ず閉鎖することになります。

具体的には
オウンドメディアによって達成すべき目的
どういったオーディエンスを想定してコミュニケーションを取るのか
オーディエンスの方々に提供するべき価値、発信するコンテンツの方向性
その方向性を実現するための体制と運営リソース
を決める必要があります。

これらを社内で決める、もしくは外部パートナーと連携して決める必要があります。
大切なことですが、必ず上記の順序で施策を決める必要があります。
目的より先にオーディエンスを想定してはいけません。
運営リソースを決めてから、提供すべき価値を決めてもいけません。
必ず目的から順番に決めてください。

この通りにやらないと振り返りも成果の確認もできません。
よく分からなくなって空中分解しかねません。
途中でやめて成果が得られなかった場合、プロジェクトは失敗となります。

外部パートナーに依頼する場合、この領域はマーケティングを専門にしている方に相談することになります。
私もここはよく相談されますが、全く何も決まっていない、という状態から、途中まで考えたんだけれども分からなくなっちゃった、というパターンまで色々です。

オウンドメディアの初期設定を外部パートナーに依頼して決める費用は30~100万円

外部パートナーに相談する場合、コンサルフィーが発生します。
月額換算で30~100万円くらいを想定しておくと良いかな、と思います。
私もそれくらいの費用で受けています。
プラス社内の人件費ですね。

1度決めたら一定期間は変更しないので、一応イニシャルコストとしています。

社内で全て行った場合、参加したスタッフの人件費のうち、オウンドメディアの方向性確定までにかかった時間分の費用がかかります。

一例ですが、
人件費30万円のスタッフが4名のプロジェクトで3ヶ月、他の業務との兼業の場合、稼働時間の3分の1がプロジェクトに費やされた概算で120万円となります。

スタッフの中に過去にオウンドメディア運営の経験があったり、マーケティングの素養がある場合は、比較的スムーズにいくので、この費用は圧縮できる可能性があります。
社内のリソースやスキル、ナレッジによって大きく振れ幅が出てきますが、
どちらにしても、それなりの費用はかかります。

目標や方向性が決まったら運営体制を決める

オウンドメディアにも色々なやり方があります。
今回は、よくあるパターンとして記事コンテンツを週に1度投稿する体制を構築し、運用する場合の費用を見積もってみます。

記事コンテンツ執筆までの流れ
・記事の企画
・想定する読者と読者の状況
・記事の流れ
・執筆するための取材やデータ集め
・初稿を執筆
・チェックと修正
・ファクトチェック
・本番環境へアップ

執筆するまでに、これくらいのステップがかかります。
これを1週間以内で行う必要があります。

社内の担当者一人で行う事は容易ではないことは想定できる、と思います。
恐らく専任でも難しいです。
複数名で担当し週ごとに担当を分けたり、作業を分担したり、といった運営スタイルにする必要があります。

外部パートナーと連携する場合、ライター、もしくは編集プロダクションとの連携が必要です。
ファクトチェックや表現の修正など、内容についての最終的な責任は企業側で持つ必要があるので、社内のスタッフも最低一人必要です。

編集プロダクションの場合、企画からアイデア出しをしてくれることもあります。
ライターの場合は企画については社内、執筆するための取材やデータ集め、執筆までをライターが担当してくれることが多いです。
この辺りは費用やスキルと相談となります。

丸投げ率が上がれば上がるほど、外部パートナーにかかる料金は多くなります。
また専門性の高い記事コンテンツの場合、その分、執筆費も上がります。

表や図を作ったり、記事内でちょっとしたコーディングが必要になる場合、その費用もかかります。

記事コンテンツ作成費を外部パートナーと連携して行う場合の費用は月額100~200万円

外部パートナーが大部分稼働する場合、月額100~200万円ほどかかると想定した方が良いです。
もちろん、ジャンルや任せる範囲、依頼する方の技量などによっても大きく変わります。

1記事コンテンツ辺り25~50万円くらいかかる、というイメージですね。
取材が必要であったり、一定以上の品質を担保する必要があるので、これくらいの費用はかかります。
取材も不要、コラム的なものでOK、という場合は費用が下がることもあるので目的に応じて決めていただく事になります。

全て社内で完結した場合の費用は月額30~100万円

全て社内で行った場合は人件費での計算になります。
先ほどの例と同じように人件費30万円の4名体制で運用する場合、月額30~100万円(スタッフの技量による)かかります。
他の業務と兼任の場合、そもそも全て内製は不可能である場合もあります。

これまで情報発信をしたことがない、経験のあるスタッフがゼロ、という場合、全て社内でまかなおうとすると崩壊します。
崩壊した状況の現場に呼ばれたことがありますが、立て直す費用もそれなりにかかります。

社内のスキルやリソースに応じて外部パートナーと連携した方が結果的に安上がりになることが多いです。
ここも最初にしっかり設計しましょう。

初期の設計が本当に大切なことが伝わっていると嬉しいです。
外部パートナーとして参画するライターさん、編集プロダクションさん、マーケターさん、同意していただけますよね?(笑)

もし社内にマーケティング・メディア運営の経験があり、プロジェクトをまとめられる人材がいた場合、もの凄く大切にしてあげてください。
その一人のお陰で大幅なコストダウンにつながっています。

外部パートナー+社内の連携で進める場合の費用は月額130~300万円

最も多いパターンは外部パートナーと連携しつつ、社内のリソースも活用して進めるパターンになるかな、と思います。

外部パートナー:月額100~200万円
社内人件費:月額30~100万円

合計:月額130~300万円

くらいが記事コンテンツの定期的な発信にかかる費用です。
抑えたとしても月額100万円以上はかかり続けると想定した方が良いです。

運営ノウハウが蓄積してくると月額運営費は下がってくることが想定されますが、それでも一定以上の費用はかかり続けます。

その他、かかりそうな費用(SNS、広告、解析)

SNSの運営もセットで行う場合、その費用も考慮する必要があります。
外部パートナーに依頼する場合、月額30~100万円くらいかかります。

SNSも含めた広告を出稿する場合、その費用もかかります。
費用は自由に設定可能ですが、月額10~100万円くらいかかります。

更に解析を行ったり、ある程度の期間運用してきた場合、コンテンツのリライトやメンテナンスも必要で、その費用もかかります。
こちらの月額30万円以上はかかる、と想定されます。

社内でまかなえた場合は、人件費での計算になります。
ただ、SNSの運用も上手で広告運用も出来る、更に解析やコンテンツのメンテナンスも請け負えるスキルを持った人は見たことがありません。

結論、なけなしのお金でオウンドメディアを運営してはいけない!

最初に目的を設定するとありましたが、その目的は、本当にオウンドメディアでなければ達成できないものでしょうか?
今あるサービスの伝え方を工夫するだけで達成できるものではないですか?
今、オウンドメディアへ投資するフェーズであると言えますか?

オウンドメディアは数あるコミュニケーション施策の1つです。
SEOを行う場合、絶対にオウンドメディアが必要なわけではありません。

多くのオウンドメディアの運営に関わらせていただいておりますが、結果が出るまで2~3年かかる、というのはザラで、そこまではプロジェクト単体で見るとほぼ赤字になっています。

以前書いた2つのnote、
網羅性を追わず「選択と集中」で勝つ。限られたリソースでコスパの良いSEOをしよう
SEO施策の解像度を上げる。その施策は何のため?【SEOのために事業をしない】
の中で、しつこいくらい施策のコスパが大切とか、他の施策へのプラスの影響が大切と説明したのは、とにかく金と時間がかかるからです。

何よりコンテンツ自体は資産になりません。
時間とともに価値は目減りします。

オウンドメディアの運営が軌道に乗ったからといって安心してはいけない

オウンドメディアの運営が軌道に乗ると閲覧者が増えます。
炎上する可能性が高いのはここからです。
「何だこの記事」と思われたりして費用をかけてブランド毀損をしてしまう可能性も出てきます。

メンテナンスもリライトもファクトチェックも重要で、一定以上の品質を担保するリソースが確保できないのであれば、やはり運営はオススメできません。

それでもオウンドメディアを運営するのは何故?

費用もかかるし手間もかかる。
それでもオウンドメディアを運営する企業がいるのは何故でしょう?

・広告ではリーチできない顧客がいる
・カスタマージャーニーの特定の層とコミュニケーションが必要
・企業イメージの向上により採用に良い影響がある
・より大きな取引が期待できるようになる

その他にも色々とあるかと思いますが、やり切った先には他の施策で代替が効かない成果があるのは間違いありません。

オウンドメディアじゃなければ出せない成果があるのです。
何より、これくらい大変なプロジェクトになるので、メディアが一定以上の認知を獲得し成功すると大きな参入障壁になるのは間違いないでしょう。

他の企業が参入していない場合、そのジャンルで一人勝ちになることもあります。
他の企業が撤退した場合、続けるだけで勝ててしまいます。

全ての企業にオススメはしませんが、オウンドメディアでなければ達成できない目的がある、という場合は、是非とも取り組んでいただきたい、と思います。

私もデジタルマーケターとして、SEOのプロとして、今日も1つでも多くのコンテンツが多くの人に届くよう日々、懸命に顧客とメディアに向き合っています。


【お知らせ】
オウンドメディアの運営で思うところがある、運営費や設計が適切か気になる。
うちのオウンドメディアどうだろう?と感じられた方は、ご相談いただければと思います。

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