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苗字が同じなのに、男女で語尾が違う…!?

みなさん、こんにちは。
最近は世界の名前の仕組みについて書いています。
今回は、同じ苗字なのに男女で語尾が異なる文化圏について解説します。

言わずもがな、日本語では性別に関わらず苗字の語尾は同じです。鈴木さんの奥さんは鈴木さん、佐藤さんの旦那さんも佐藤さんです。しかし、世界には男女で異なる語尾を持つ苗字が存在します。

例えば、スラヴ語圏は、男女で苗字の語尾が異なる文化を持ちます。スラヴ語というとぴんとこない人もいるかもしれませんが、有名なスラヴ語にはロシア語やポーランド語、チェコ語があります。
スラヴ語圏の中でも男女で語尾が異なる苗字を持つ民族には、

・ロシア
・ポーランド
・チェコ

人がいます。

ロシア人の場合、例えば、
男性型がメドベージェフの場合、女性型はメドベージェワになります。

同じように
男チャイコフスキー→女チャイコフスカヤ
男プーチン→女プーチナ
男ゴルバチョフ→女ゴルバチョワ
と変化します。

ポーランド人の場合
男コヴァルスキ→女コヴァルスカ

チェコ人の場合
男ベラン→女ベラノヴァー

のように変化します。
基本的には、男性は子音で終わり、女性はaで終わることが多いです。ちなみにこれは、スラヴ語における名詞の性の特徴と共通しています。

同じスラヴ語圏でも、中には男女で同じ語尾を持つ苗字もあります。

ウクライナ人に多い〇〇エンコ、〇〇コという苗字も男女で同じ語尾です。

世界には様々な名前の仕組みがありますが、語尾が違うからといって別の苗字とは限らないということも念頭に入れておくべきでしょう。

その他、名前や言語におけるジェンダーに関する記事はこちら



https://note.com/sekiseiinko25/n/n6e4ad99e57fe

参考文献

岩井哲士朗・三井レナータ「ニューエクスプレス ポーランド語」(白水社、2013)p.23
髙橋みのり「チェコ語表現とことんトレーニング」(白水社、2013)p.44
森安達也「人名」(川端香男里・他・編「ロシア・ソ連を知る事典」平凡社 、1989年、p.286〜287)
保川亜矢子「ニューエクスプレス チェコ語」(白水社、2014)p.27