日本は唯一の被爆国というのは本当か?

8月6日は広島に原爆が投下された日です。まずは犠牲者の方々のご冥福をお祈りします。

毎年この季節になるとよく出てくる「日本は唯一の被爆国」という言葉ですが、私は語弊があるのではないかと思います。確かに、戦争中に一般市民に対する無差別攻撃として核爆弾が利用されたケースは太平洋戦争における米国から日本に対する物しか存在しません。しかし、核実験のために自国の市民を巻き添えにしたケースも中には存在するからです。

米国領ビキニ環礁で行われた核実験は有名です。避難後に島に帰ってきた住民は、健康被害に苦しんだといいます。日本の漁船「第五福竜丸」も被爆しています。アメリカが見積もったよりも威力が大きく、被害が拡大してしまったようです。

中国の新疆ウイグル自治区での核実験や、ソ連のカザフスタンなど中央アジアでの核実験は近年知られるようになりました。後者については、「草原の実験」という映画にもなっています。これらの実験については周辺住民への事前通知なしに行われました。当然のことながら被爆したり住処を奪われたりした人も沢山いました。しかし、言論の自由がなく、被害に遭った人が苦しみを訴えることは難しかったといいます。

日本やアメリカは比較的言論の自由が保障されているので、あの時のあんな出来事は良くなかったのではないか、と振り返ることができます。被害を訴えることもできます。でも、世界の中にはそうでなかった人達もいたということを忘れる訳にはいかないでしょう。本当に深刻だからこそ明るみにならないこともあるはずです。