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「国と人は違う」のか?

 国際交流や多文化理解の文脈で、「国と人は違う」という論理をしばしば聞きます。要するに、あの国と私の国は仲が悪いけど、個人間では問題なく付き合うことができるという意味です。この論理は正しいのでしょうか?

 私は半分正しくて半分間違っていると思います。

 民主国家と独裁国家に分けて考えてみたいと思います。

 民主国家の場合、国民は国の所有物ではありません。したがって、国民は政府と異なる見解を自由に述べることができます。一方で、政府の方針は国民が選挙で選んだ結果、つまり政府の方針に賛同する人が多いと言うこともできます。

 独裁国家の場合、一般的に大半の国民は自由に意見を述べることができません。不当に虐げられている人もいるでしょう。この場合は、国と人とを同列にするべきではありません。しかし、公の場では、意に反するとしても政府を批判するようなことは言えないでしょう。政府が主張していることを言わざるを得ません。中には外国にいても言動を監視されているが故に、外国でも自国政府と同じ見解を主張せざるを得ない人もいます。

 このような理由から、「国と人は違う」という主張は、注意しながら捉える必要があると思います。